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「助けてください」が言える人は、ハードな状況を乗り越えやすい

僕はインターネット企業でマーケティングやプロジェクトマネジメントの仕事をしている。

「助けてください」「お願いします」「ありがとうございます」。この3つの言葉は僕が仕事で、よく使う言葉だ。

これらの言葉をちゃんと言えるようになって、仕事が格段にしやすくなった。成果も出やすくなったと思う。

社会人になって最初の数年間、自分一人の力だけで成果を出すことにここだわっていた。自分の仕事のテリトリーを作り出して、誰かがそこに入ってくるのを拒んでいた。一人で仕事を抱え込んで、パンクしてしまうことも日常茶飯事。それでも、あまり誰にも相談せずに一人で仕事を進めていた。

そんな風だったからか、一人で進めることができる仕事しか任されなかった。担当していたのは、WEBサービスの広告出稿や宣伝業務。代理店の人とのやり取りはあったものの、予算も目標もがっちり決まっていて、チームで仕事をするという感じでもなかったのだ。

一人でも努力はするので、多少の成果は出る。しかし、所詮一人で出せる成果には限界があるし、会社という規模から考えれば、たいした成果ではない。むしろ、自分のテリトリーに引きこもって他の人を締め出すような仕事のやり方は、業務の属人化を招き、会社からしたらむしろ迷惑な存在だ。上司からしても、扱いづらい存在だったに違いない。

なぜ自分のテリトリーを守りたかったのか。それは、つまるところ自分の力に自信がなかったのだ。誰かが自分の仕事のテリトリーに人が入ってきたときには内心、自分の仕事が奪われるのではないか、成果を取られるのではないかと怯えていた。

このように、こじらせたような仕事をやり方をしていたのだが、社会人3年目が終わろうかという頃に、転機がおとずれた。担当しているサービスの、開発案件のプロジェクトマネジメントを任されることになったのだ。

プロジェクトの内容は、担当しているWEBサービスの新しいUI・機能を実装するというものだった。当然、一人ではできない。開発案件なので、エンジニア、デザイナー、アナリストなど様々な種類の人と一緒に進めなければならない。

開発のプロジェクトマネジメントなんてやったことがないし、どうやって進めればいいのかもわからなかった。

一人で必死になって仕様書やデザインイメージを作成したのだけど、メンバーから色んなツッコミを入れられ、さらには自分が作ったものよりも遥かにクオリティーの高いものを作ってきた。エンジニアはイメージがわかるようにと、サクッとプロトタイプを作ってくれたりした。

みんな圧倒的に優秀だった。僕は絶望的なまでの無力感に襲われる一方で、ちょっとだけホッとした。

そして、開き直ってみた。自分ができることだけやってに、その他のことはお任せしよう。できないものはできないのだから仕方がないと。

この時「助けてください」をはじめて言えた。

メンバー達はみんな全面的に協力をしてくれて、僕が何もしなくてもどんどんプロジェクトを推し進めてくれた。

結果的にこのプロジェクトは成功に終わり、3年経った現在でも成果を生み続けている。

皮肉なことに、自分の仕事を減らした結果、それまでよりも成果が出て、しかも周りからも評価されるようになった。

僕はこのときにはじめて気づいた。本当に大事なことは、誰が成果を上げるのかということではなかった。チームとして成果を最大化させることだったのだ。

これ以降、余計なことを考えずに自分のできることに集中する、できないことは助けを求めるようになった。すると、個人の成果に固執していたときとは比べ物にならないほど、成果がでるようになった。

アフリカの有名なことわざがある。

早く行きたければ一人で進め、遠くまで行きたければ皆で進め

一人で仕事をすれば早く終るかもしれない。けれども、そこからの広がりはない。チームでそれぞれの得意分野の専門性を活かして意見を出し合うからこそ、思いがけないアイデアや成果が生まれるのだ。

これこそが、組織の中で働くことの楽しさであり、醍醐味だと思う。

もし、いま一人で仕事を抱え込んで行き詰まっている人がいたら伝えたい。一人で無理をする必要なんてない。助けを求めてもいいんだということを。仕事ができる人ほど、人から頼られるのも好きだったりするから。


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