実家の餃子は、なぜこんなにウマいのか。

餃子うめぇ…。

久しぶりに、帰省した実家の食卓机でうなった。


外食ざんまいの毎日

ひとり暮らしをはじめて、5年間。外食ざんまいの毎日。寿司屋、焼肉屋、ラーメン屋、定食屋…。本当にさまざまな店を開拓した。ときには、悶絶ものの美味いものにありつけることも。

しかし、その代償として舌がずいぶんと肥えてしまった。学生のときには美味しくて仕方がなかったお寿司屋さんの寿司にも「うーん、まぁまぁだなぁ」などと言い始める。

ちょっとやそっとなものじゃ満足ができなくなってきた。慣れって恐ろしい。

食費は高騰し、健康診断の結果は悪化の一途をたどるばかり…。なんとかせねば…。そういう危機感を抱えて、前回のお正月は帰省した。

お正月はご馳走がでてくるので、日常的とはいえないかもしれないが、毎日出てくるご飯が美味しいこと、美味しいこと。唐揚げ、生姜焼きのような定番料理も美味しく堪能した。

家でこんなに満足できるなら、自分でやったほうがいいんじゃね…?と自炊をはじめたのが10ヶ月ほど前のことである。

ご飯の炊き方もわからん。というか炊飯器も持ってない。そんなところから、すったもんだしながら料理に奔走した。

そのときのことは、料理未経験の僕が、6ヶ月で料理上手と評判になるまでにやったことで書いた。


そして、先週。

料理の腕をあげて帰省した。

ふふふ。もはや自分のほうが美味い料理が作れるんじゃないか。なにせ様々な人気レシピを習得してきたのだから。そんなことを思い、ほくそ笑んでいた。必要とあらば腕をふるおうではないか。

しかし、まあ。久しぶりの息子の帰省とあっては、いろいろともてなしてくれる。こればかりは、ありがたくお世話になる所存。

そして、母から「今夜は、餃子やで。」という通告を受けた。

餃子といえば我が家ではご馳走に位置する食物。何か祝いごとといえば、焼肉よりも、すき焼きよりも餃子を食べる風習なのだ。

目の前のホットプレートで、ジュワジュワと焼く。蓋のなかで熱して、開けたときには、油と水がパチパチと跳ね上がる。仕上がった餃子を、お酢で作ったタレに信じられないほどドボドボにひたして食べる。

これは、うまい。餃子を頬張った瞬間のジュワとした食感の幸福度と言ったら、もう…。


味に思い出補正がかかっているのか

味はたしかにうまい。

しかし、それ以上のものもある気がしている。なんせ食べてるときの満足感が異常である。少なくとも外食ざんまい時代に味わってきたのとは、違うものを感じる。

何かこう、味以外のものが作用しているのではないか。

そう。たとえば、味への愛着や餃子を食べた思い出が、より美味しく感じさせているとか。


僕の父はかつて餃子屋をやっていた。居酒屋じゃなくて餃子屋。餃子を専門に売る店って結構めずらしいんじゃないの。少なくとも大阪では。

テイクアウトもやっている店で、よく売れ残った餃子を大量に持ち帰ってきた。家の冷蔵庫が、餃子で埋め尽くされたことは言うまでもない。

結果、小学校高学年時代の僕のおやつは強制的に餃子となった。おやつに餃子って…。さすがに飽きるわ…と、いまなら思うが、当時は結構喜んで食べていた。

店は数年もしないうちに、流星のごとく潰れていった。そして、餃子のレシピだけが残された。

そのレシピが家庭用にアレンジされ、いまも引き継がれているのだ。週末に家族で一緒に…となったら高確率で餃子を食べる風習が生まれたのもこのときである。

日曜日の夜は、ちびまる子ちゃんやサザエさんがテレビでかかっているなか、餃子を食べた。外で遊び歩いた夜も、受験勉強を頑張った夜も。家に帰ったらこいつが待っていた。


うむ。思い出補正がかかっていてもおかしくない。

せっかくだから、この餃子。自分も引き継いでおこう。ふと、そう思った。

ずっと料理はからっきしだったが、いまは腕が上がっている。受け継ぐことができる。


我が家の『餃子』レシピ

大阪の実家から東京に戻ってきて、さっそく自分でつくってみた。

材料を取り揃える。変わったものは入っていない。

【材料】3人前程度
餃子の皮(大判ではないもの)
しょうが:40g
白菜:60g(キャベツでもいいらしい)
豚ひき肉:200g
卵:1個
にんにく:2かけ
昆布しょうゆ:大さじ1
塩:2g
水:大さじ2程度
味の素:8ふり(たぶんあったほうがいい)
【タレ】
・昆布しょうゆ:大さじ2
・りんご酢:100g
・味の素:数かけ(なくてもいい)

あとで気づいたのだけど、タレはさきに作っておいたほうが、効率がいい。材料をいれて1分〜2分ほど沸騰させればタレは完成。

画像1

それじゃあ、ブツを作っていこうと。


かなり大量にしょうがを入れる。だいたい買ってきたしょうがの半分くらい。僕は料理にこれほどの量のしょうがを一度に使ったことはなかった。

でも入れる。必ずいれなければならない。

画像2

さて、下準備をとりおこなおう。

・豚ひき肉をボールに入れる。
・白菜をみじん切り(かなり細かく)、ニンニク、しょうがをすりおろしボールに入れる。
・卵、昆布醤油、塩、味の素を加えて混ぜ合わせる。
・水を大さじ2加えながら、さらに混ぜ合わせる
(肉が水分を吸収しないくらいひたひたな場合は量を減らして大丈夫)。

まざまぜ、と。

画像3

材料が混ざったら、具を包む。皮は大判サイズじゃなくて、通常サイズが絶対いいと思っている。

ひとりだし、ホットプレートで焼くのは難しいので、フライパンでいっちゃう。

画像4

・油をフライパンの底に結構敷いて火をつける。(面積の半分くらい。結構入れる。)
・フライパンに注ぐ用の水を沸騰させておく。


画像5

・餃子を敷く。餃子はあんまり敷き詰めない。間に少しスペースができるくらいに焼く。
・餃子を敷き終わったら、間を空けずに沸騰させておいたお湯をフライパンの下から1センチ程度注いで蓋をする。
・そのまま3分半蒸し焼きにする(強火)。
・蓋を開けて、いい感じに焼き目がついてたら完成。

蓋をしたら、強火がいい。そしたら、結構いい感じに焼き目がついてテンションがあがる。

オホホ。できました。

画像6

作っておいたタレをかなり多めに器に注ぐ。タレに付けるというよりは、ひたしながら食べる。このタレで食べないと美味しさが50%半減するので、マストである。

さて。食べるとしようか。いただきます。

画像7

とりあえず一口。

じゅわっ。

うまい…!そうそう。この食感。この味だ。自分でも全然作れるじゃないの。YouTubeを観ながら即完食。



しかしなあ。

実家で食べたときのほうが、なんだか美味しい気がする。味はほとんど変わらないし焼き加減も完璧なはずなのに。なんでだろうなあ。思い出補正はどこにいったのか。

うーむ。

結局は、安心できる家族と一緒に食べる。家族団欒。それが、もっとも料理を美味しくしてくれる秘訣なのかもしれない。

そんなことをニンニクのにおいが充満した部屋でひとり思った。



発信用のTwitterアカウントを作りました。こちらでは、

・リアルタイムの気付きのシェア
・よかった本や記事の紹介
・対話を通じたアイデア作り、ディスカッション
なんかをしていければなあ、と思っています。

よければ、覗いてってください〜!


普段、自分が買わないようなものを買って、レビューします。