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「損切丸」を時系列で整理してみたⅡ。ー「過剰流動性」フローの変化。

 復活は喜ばしいが、あまりにトラップ(罠)だらけで動き過ぎの米国債市場。ドル円も完全に振り回されている。ここは一度現状を再認識するために「お金」のフローの変化を時系列で整理してみたい。

 キーワードは「過剰流動性」

 2020年3月の「コロナ暴落」以降、マーケットを牽引してきたのがこの「過剰流動性」だ。@36,000ドル台までいったNYダウ@15,000ドル台まで上がったナスダック@60,000ドルを超えたビットコイン(BTC)も全て「過剰流動性」のおかげ。「損切丸」流では おかしいのは株価ではない、金利だ!!|損切丸|note となる。

 1.日米「過剰流動性」バブル(2020.3~)

 そもそも「コロナ前」から「鯨」=日本の銀行、生保が 「過剰流動性」の震源地「日本」。 ー ばらまかれた「円」の行方。|損切丸|note として400兆円余りの「外債投資」(為替ヘッジ付き)を通じて米株価の上昇に貢献してきた。そこに「コロナ暴落」後、FRB+米政府が「給付金」や「信用緩和」で2兆ドルもの「タダ金」を文字通り "ばらまいた" 

 今振り返って見れば、これで株やBTCが上がらない訳がないのだが、 ”異常値”とわかっていても買いでついていくしかない相場が1年以上続いた

 2.日銀「スティルス・テーパリング」(2021.6~)

 1つ転機になったのが、実は2021.6に始まったと見做される 「お先に!」 ー 着々と進む日銀による「ステルス・テーパリング」。|損切丸|note 。400兆円もの日本からの「外債投資」を逆流させることになり、 続・マネーマーケットの「鯨」ー 円金利が反転上昇したら何が起きるのか。|損切丸|note の結果、米国債金利がじわじわ上昇。ここから「過剰流動性」の是正が始まった

 3. FRB「テーパリング」(2021.11~2022.3)

 そして本家本元、FRBがついに「テーパリング」開始月+1,200億ドルも供給していた「過剰ドル」を半年かけてゼロにした。これで暗号資産も上値が重くなり、「どうせ戻るでしょ」 相場の終焉。 ー 2年米国債は@1%越え。|損切丸|note 。「押し目買い」「ガチホ」信仰が崩れた

 4. FRB「利上げ」(2022.3~)

 遂にFRBが「利上げ」を開始流動性の正常化が進む中「イールドスプレッド」等のマーケット機能が復活最も「過剰流動性」の恩恵を受けていた米株式市場の下落が本格化。次いで同じ「通貨」( ”仮想通貨” )でも金利の付かないBTCなども敬遠されることに。「インフレ」が加速する中、原油や小麦など「コモディティ」(商品市場)が頼みの綱になる。

 5.  FRB「QT」(量的引締)+日銀「無制限国債買取」 2022.6~)

 「戦争」が起き、原油価格が@120ドルを超えるなど「エネルギー危機」の様相「インフレ」は更に悪化米国債の金利上昇は続き、株等を圧迫。まずは「インフレ」退治を優先「QT」(量的引締)を本格化させる。

 想定外の "援軍" となったのが日銀による「国債指値無制限買取オペ」

 金利上昇を嫌った黒田日銀総裁が10年JGBを@0.25%で無制限に買入。その額、1ヶ月としては過去最高の+16兆円。これが 「円、どんどん売ります!」の免罪符。ー 世界的な「真性インフレ」下、「金融緩和」しているのはトルコと日本だけ。|損切丸|note となり、個人の外貨投資が活発化。ドル円は@130円を飛び越えて@139円台まで急激な「円安」に見舞われた。一方の米株には新たな「お金」が流入し、買い戻しの一助になった。

 6.米リセッション観測(現在 2022.6~)

 米国債金利が@3%を超えてくるとウォール街が ”リセッション運動” を展開金利系のリアルマネーが@3%台の米国債を買い始めたこともあり、金利の上昇基調は鈍り ”逆イールド”も現出1年以上「金利上昇」に苦しめられてきた株式市場にようやく反発の機運が見え始めた。

 逆に変調を来したのが「コモディティ」株のオルタナティブ(代替資産)として「一本足打法」で2022年相場を引っ張ってきたが、「QT」の進行が冷や酒のように効き始めている。もはや*「戦争」は題材にならない

 *「戦争」はエネルギー価格上昇の要因にはならない。確かにガスを止められたヨーロッパは苦しいが、その分中国やインドに流れれば彼らの買い需要は減るわけで、全体の需給には中立。つまり「戦争」は買い仕掛けの恰好のネタだったことになる。規模は大分違うが、日本のマスク騒動に似ている買占めている ”転売ヤー” は必ずおり、最後には余って値段が暴落

 ざっとこれがこの2年半の「お金」の流れだが、急激に膨らんだ「過剰流動性」が急速に萎んでいる様がわかる。当然相場は大荒れになるわけで、ジェットコースターのように動く米国債やドル円に "熱く" ならないように(苦笑)。ここはじっくり「お金」の着地点を計ることが肝要。

 この「通常流動性」状況だと何かを買うには何かを売るしかない。今日(8/4)WTI(NY原油先物)は遂に@90ドルを割り込んだが、その分の「お金」は米株に向かっていると考えるのが妥当なところだろう。

 「ガソリンの値段が下がったら、ガンガン走る車を買う!」

 以前原油価格が高騰した時に「ガソリンの値段が下がったらどうする?」NYの同僚に聞いたことがある。日本人の筆者は「燃費の良いハイブリッド車に買い換える」という答えを期待していたが、全く逆「安くなったらドンドン使う」のがアメリカ人のメンタリティーだ。

 その点を考慮すると、原油価格の下落は米国では消費を喚起することになり、米景気は "リセッション" どころか急回復するだろう。実は「お金」のフローで一番気をつけなければいけないのがこの「消費」使ってしまえば「お金」はなくなるわけで「インフレ」なら尚更。その時一番割を喰うのが「預金」や「債券」などの金利系資産だ。

 今の株価が「金利低下」に支えられたものなら「金利上昇」は再度株価の足を引っ張ることになる。「人口動態」の変化から日本を含め世界的に「人手不足」≓人件費の上昇、つまり「インフレ」は続く。そこまでの過程でドタバタ色々あるだろうが、原油価格の動向やそれに伴う消費の動きなど、冷静に見極めていきたい。最後は「お金」が決める

 ただ気になるのは専制国家群の "ブラックボックス" 、中でも無視できないのが巨大な「灰色のサイ」中国だ。まさに "Too Big to Fail" (大き過ぎて潰せない)。「戦争」も含め巨大な "不確定要素" ではあるが、ひょっとすると ”リセッション運動” のコアはここなのかも…。

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