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おかしいのは株価ではない、金利だ!!

 それ程の熱狂はないものの、遂にNYダウが@30,000ドルを突破株価が下がって欲しい ”願望” の強い日本では「株価はおかしい」の意見が根強いようだが、果たして本当にそうなのか? 検証してみようと思う。

 手始めに各国の株価パフォーマンスであるが、3月以降の上昇幅を比較してみると「通貨価値」調整後では日経平均がNYダウを上回る。独DAXナスダックと同等の上昇を見せており米国株が突出している訳ではない

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 では株価は「バブル」なのか。「物価」について再考してみよう。

 「3人で7,000円超え? 随分高くなったなあ。」

 「損切丸」一家がコロナ渦の息抜きのため某ファミリーレストランで食事した時の会計の話。特に贅沢したわけでもなく、普通に食事して7,000円超えは、ちょっとギョッとした。少なくとも4~5年前なら5,000円は超えなかったはず。ざっと+3割ぐらいは値段が上がっている勘定だ。

 消費税@+10%のに加え、食品を中心とした「ステルス値上げ」も生活実感として負担が大きい。メーカーによっては消費者向けに公表している。

ステルス値上げ

 *耐久消費財はもっと露骨だ。最近洗濯機(8年)、電動髭剃り(4年)を買い換えたが、いずれも前回と同程度の物がやはり+3割は値上がりしていた「新商品プレミアム」という奴である。

 *「自動車」もこの10年は「モデルチェンジ」の度に値が上がる一方。傾向として車体が少しずつ大きくなっており、200万円の車が250万、500万の車が600万円台と確実に値上げしている。一方で小型車も増えたが、こちらは車体を小さくする代わりに「ステルス値上げ」している。

 ベースにあるのは「人件費の高騰」だ。現在は「コロナ危機」で倒産やレイオフが全面に出がちだが、日本では「団塊8百万人の引退」という「構造変革」の時期に差し掛かっており、根本的に人手が足りない。2016年以降のアルバイト時給の急騰 ↓ がそれを物語っている。

平均時給(3大都市圏)

 この「リアル」日経平均株価に当てはめてみよう。2016年末の日経225は@19,114.37円だから現在の26,000円台は@+36%様々な「生活実費」の値上がりを考慮すると、株価との乖離は実はあまりないのではないか

 それでは何がおかしいのか。

 まず政府が発表している消費者物価(CPI)がおかしい「生活実費」の事を ”Cost of Living” と表現する事があるが、この数年ゼロ近辺をうろうろしているCPIにきちんと反映されていない**CPIの基準は度々変更されており、意図的に低く抑えられてきた疑いがある。

 **先月(10月)のCPI「GOTOキャンペーン」の影響で▼0.40%に落ち込んだのが良い例「旅行代金」が政府支出分で▼30%以上下がったと言うがこれは「政府補助金」であり、本来「物価動向」とは無関係で 除外すべき要因のはず。このように日本のCPIは「値下がり要因」に対する感応度が高く「ステルス値上げ」「新商品プレミアム」「モデルチェンジ価格」等 ”Cost of Living” 的「値上がり要因」は反映しにくい

 おそらく狙いは2つ

 ①国債金利を低く押さえ込んで財政支出を減らす。 

 ②経済団体が「賃上げ」を阻止しやすくなる。

 「春闘」などは物価と連動する方式が続いており、CPIを押さえ込めば「賃上げ」も押さえ込める企業業績改善で株価も上がるので一挙両得だが、その一方で消費者の懐は潤わない

 ***日銀「+2%のインフレ目標」未達と言って責められているが、おそらく確信犯だ。本当の目的は「国債管理政策」 ”Cost of Living” で考えれば3年前には「出口戦略」を開始していてもおかしくない。

 ***ドイツでも「自動車」は値上げされているので、中央銀行がECBではなくブンデスバンク(Bundesbank)なら「利上げ」されていたかも「コロナ危機」だろうと何だろうと少なくとも12月に追加緩和、なんてことにはならないもっとも周囲の反対を押し切って「利上げ」を決行した1987年には「ブラックマンデー」を引き起こした ”前科” (苦笑)もあるので、どちらが最良かの判断は難しい。

 ここまで書いてくればこの記事のタイトルの意味がおわかりだろう。

 おかしいのは株価ではない、金利だ!!

 1929年世界恐慌直前の「通貨切り下げ競争」、1985年「プラザ合意」以降の「円高対策」等等、「不要な利下げ」が「バブル」を生み出してきたことは歴史が証明している。そもそも正しいパンデミック対策とは医学的な防疫措置であり、金融緩和や財政政策は「不要な政策」とも言える。現在株価が高騰しているのはある意味「正常な反応」かもしれない。

 ちょっと盛りだくさんになってしまったので「日経平均の上昇がそれほどおかしくない」というところで一旦切って、「金利動向」については第Ⅱ部に詳述したい。

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