アメリカの需要は本当に弱まっているのか? - 裏で進行する「脱炭素戦争」。
FRBの「正念場」。- "見通し" 通りアメリカの人手不足は解消に向かうのか?|損切丸|note を迎えているが、改めて 「米国債」と「米株価」、どっちが正しいの?|損切丸|note の展開になっており、すんなりとはいかないようだ。11月の強い米雇用統計に続き、ISM非製造業指数の予想外の急伸 ↑ で、 "FRBシナリオ" に揺らぎが出ている。
アメリカの需要は本当に弱まっているのか?
一時@5%を下回っていたターミナルレート(政策金利の到達点)も再度@5%に乗せ、米国債金利は上昇。それを受けてFXは「ドル買い」、株は反落の動きになっている。
TIPS(物価連動債)によるBEI( Break Even Inflation Rate、予想物価率)も+2.5%近辺で "低位安定" しているが、本当に米CPIはそこまで落ちるのか。「米中対立」によるサプライチェーンの再構築が続く中大いに疑問。個人的には+3%割れは難しいと推定する。日本も同様だが、グローバリゼーションを主導した安い ”Made in China" 喪失の影響は大きい。
「株本位制」アメリカでは、@29,000ドル台から@34,000台まで反騰したNYダウ等による「順資産効果」は桁違い。日本人と違ってすぐ「借金」してモノを買う国民性もあり、その点かなり「インフレ」慣れしている。
そしてもう一つ気掛かりなのが、裏で進行する「脱炭素戦争」。
日本にいると「侵略戦争」を仕掛けている "あの国" はけしからん、となるが、世界全体での批判勢力は半分にも満たない。代表例は中東の産油国。王族が専制政治を行っている点は共通しており、原油やガスなどのエネルギー資源が国家運営の肝。実は隠れた「戦争」支持派だったりする。ワールドカップでも人権問題が取り沙汰されているが、彼らにしてみれば世界の "富" を独占している欧米の ”戯言” に過ぎない。
サウジアラビアの原油の採算分岐点が@80~83ドルというが、WTI(NY原油先物)も*@80ドルを巡るバトルが続く。「脱炭素戦争」の観点から俯瞰すると、今起きている「スラブの戦争」もエネルギー価格高値維持のための方策。実際は「お金」を巡る壮絶な戦いが繰り広げられている。
もともとCTA(Commodity Trading Advisor)が主導する商品市場は、一度流れが出来ると一方方向に傾きがち。だが、それも最近は度が過ぎている。いくら減産合意や上限価格設定があったにせよ、1日で±@10%も上下動を繰り返すのは異常。手掛けている方には気の毒だが、死者続出だろう。
この3年を振り返ってみれば、パンデミックの起点も専制国家だったし、結果として起きた異常な「過剰流動性」が原油価格の@100ドル越えなどエネルギー価格の高騰を生んだ。この間隙を突いて起きたのが「スラブの戦争」でもあり、今も「エネルギー」が強力な "武器" となっている。
露産原油は現在国債価格の▼25%=≓60ドル程度で取引されている。製造コストは@30ドル程ということなので上限@60ドルでも利益は出る。だがミサイルをバンバン撃っている今の状況ではとても足りないし、対欧米の "武器" としての威力も落ちる。@60ドル超の取引には海上輸送保険をかけられないようにするらしいので、こちらの "攻撃" も見た目よりは強力かも。
エネルギー資源も抱え、主要通貨「ドル」を保持するアメリカは、実はエネルギー価格が上がっても下がってもどうにでもなる。あとは "敵" がどうなるか。FRBによる「利上げ」「QT」(量的引締)も「脱炭素戦争」的にはエネルギー価格押下げのための "攻撃" でもある。SDG’sとかグリーン革命とか表向きの綺麗事と違い、実体は血みどろの「お金の戦争」が存在する。
経済指標や中銀のコメントを丹念に追うのは「金利相場」の基本ではあるが、こういう政治的背景、特に「お金」の部分を見逃してはいけない。「中銀の独立性」を掲げてはいるが、日本もアメリカもヨーロッパも政治的背景を伴わない金融政策などあり得ない。特に覇権の絡むアメリカでは顕著で、筆者はそう言う場面を何度も見てきた。
物価上昇に関しては、日本は政府補助等で欧米に半年以上遅れて動いており、2023年もまだまだ「値上げ」が続きそう。「GOTO」や来年初のエネルギー補助金で "見た目" のCPI押し下げを図るようだが、出てきた指標だけを見て「物価が下がった!」などと糠喜びしないこと。
相次ぐ社会保障費負担増や「増税」を見れば明らかだが、結局ツケは我々に回る。「CPIの誤謬」。- 日本で「賃金」が上がらない理由。|損切丸|note を根拠に「マイナス金利」「国債無制限買取オペ」などを続けれれば「円安」も止まらない。いくら我慢強い日本人でももう限界。そろそろ "目覚め" の時が訪れている。
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