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イサク・ディーネセン『バベットの晩餐会』徹底解説・序章

それではイサク・ディーネセン(カレン・ブリクセン)の『Babette's Feast(バベットの晩餐会)』を解説しよう。

1987年にアカデミー最優秀外国語映画賞を獲得したな。

日本でもファンが多い作品や。

知ってる、この映画!

お洒落女子の映画ガイドに必ず名前が出て来るやつ!

そうだね、名画ガイドには必ずと言っていいほど『バベットの晩餐会』は入っている。確かに「映画として」名作だと思うよ。

ネットで検索すると、多くの人がこの作品について言及しているのが見受けられる。

北欧デンマーク人の慎ましく美しい暮らしぶりを絶賛し、老姉妹とバベットの篤い信仰心を称賛し、劇中で振る舞われるワインやフランス料理、そして歌われるモーツァルトのオペラがいかに素晴らしいかを、皆さん実に熱く語っているよね…

でも、そもそもこの『バベットの晩餐会』という物語は「デンマーク」が舞台ではないんだ…

原作ではノルウェー北部に位置する北極圏の寒村「Berlevaag(ベアレヴォー)」が舞台なんだよね…

なにこれ!?全然違う場所じゃんか!

原作の舞台はとんでもない僻地!

そして老姉妹やその父など、登場人物のキャラも結構「ダーク」なんだ…

さらに登場するワインやフランス料理やモーツァルトのオペラも、それ自体にはほとんど意味はなく、実は「別の意味」を引き立てるための小道具になっているんだよ…

しかも映画でのバベットはいつも十字架を身に着けているカトリック教徒の白人女性として描かれている。

だけど原作では彼女が「クリスチャン」だなんて、ひとことも書かれていない。老姉妹が勝手にそう思い込むんだよ。

十字架なんて一度も手にしないし、キリスト教の祈りも捧げない。そして肌の色も「浅黒い」ことが矢鱈と強調される…

だから原作者のイサク・ディーネセン(カレン・ブリクセン)がこの映画を見たら、さぞかし驚くと思うよ。

「そういう話じゃなかったのに…」って(笑)


ハァ!?ど、どゆこと!?

原作と映画は全く違う物語だということだ…

原作はブラックユーモアの塊みたいな短編小説なんだよ…

冒頭からオチまで、ひたすらジョークとメタファーで埋め尽くされているんだよね…

しかもかなり「不謹慎」な類の…

ええ!?マジで!?

映画のイメージと180度違うんですけど!

だってオチである最後のセリフはこれだよ…

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