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アラン・ドロンの『太陽がいっぱい』解説・決定版!

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アラン・ドロン主演の名作映画『太陽がいっぱい』(監督:ルネ・クレマン)を徹底解説してみました。
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アラン・ドロン主演作『太陽がいっぱい』解説決定版・完結編「すべては受胎告知のために…。はたしてルネ・クレマン監督は何を伝えたかったのか?」後篇

アラン・ドロン主演作『太陽がいっぱい』解説決定版・完結編「すべては受胎告知のために…。はたしてルネ・クレマン監督は何を伝えたかったのか?」後篇



さあ、後半を始めるよ。

ちなみに前回はこちら。

しかし驚きの連続やな…

「ホモセクシュアル映画の第1号」なんて言われていた『太陽がいっぱい』が、原作のホモセクシュアル要素を完全に取っ払った全く別の作品になっていたなんて…

人間というのは、己が見たいもの信じたいものを見てしまう生き物だ。そして影響力の強い人物が唱える言葉は、人々の間で無批判に「正しいこと」とされ、世代を越えて伝搬してゆく

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アラン・ドロン主演作『太陽がいっぱい』解説決定版・完結編「すべては受胎告知のために…。はたしてルネ・クレマン監督は何を伝えたかったのか?」

アラン・ドロン主演作『太陽がいっぱい』解説決定版・完結編「すべては受胎告知のために…。はたしてルネ・クレマン監督は何を伝えたかったのか?」



ええっ!?

か、完結編…?

クロージングに入ったな…

一気にまとめるよ。

まずは映画を知らない人のために予告編をどうぞ。

主な登場人物は4人。

■トム・リプリー(アラン・ドロン)

彼は庶民の生まれで、道楽息子フィリップの少年時代からの遊び相手(おそらく使用人の息子?)。学問や教養は無いけれど、小手先の模倣技術は抜群。筆跡偽造からヨットの操縦、女性の扱い方までフィリップから見よう見

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ツルでもガキでもわかる『太陽がいっぱい』の解説【決定版!】<vol.7>「ロストワンの号哭」

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数学と理科は好きだけど、国語がどうもダメなええじゃろうだよ!

げほっ、げほっ…ワイは鶴や…げほっ…ツルヤナンボクや…げほっ…

おや、今日は病弱なワイだね。

大丈夫や、おかえもん…

さあ、vol.6の続き行こか。

じゃあ始めるよ。マルジュを船から降ろしたところからだね。

フィリップは、トムが自分の財産を奪おうとしていることを知る。他人の筆跡を真似ることが上手いトムは、なりすましが可能

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ツルでもガキでもわかる、アラン・ドロン主演作『太陽がいっぱい』の解説【決定版!】<中編>

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さて、前編で提示した謎を解き明かしていこう。

よっ!待ってました!

ディッキーからフィリップへの名前の変更、そしてNYからSFへの場所の変更…

名匠ルネ・クレマンが仕込んだ「神と子と天使」の愛憎物語の仕掛けを説明するよ。

そもそもパトリシア・ハイスミスの原作自体もそうなんだけど、この頃の小説は聖書をストレートに題材にしたものが多い。今みたいに情報があふれている時代じゃないから、訴えたい

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