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変化の予兆

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変曲点の可能性やサインポストの収集
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「参加から参画へ」 – さまざまな立場の人が認知症の課題に取り組む意味(Ⅱ)

「参加から参画へ」というテーマで、ヨークの"Minds & Voices"の人たちの活動を中心に、認知症の当事者も交えたさまざまな立場の人が認知症の課題に取り組む意味について考えた。 同じ英国でも、スコットランドのエジンバラでは、また別の活動が進められている。以下では、変化を少しずつ形にしながら働きかけていくことについて考えていきたいと思う。 変化を少しずつ形にしながら働きかけていく スコットランドで認知症当事者グループを立ち上げたJames McKillopさんは、エジ

「参加から参画へ」 – さまざまな立場の人が認知症の課題に取り組む意味(Ⅰ)

認知症の課題を地域で考えていくためには、多くの人が関与することが大切だ。。そのような活動には具体的に誰がどのように関わればよいのだろうか。そのヒントが世界でも、日本でも、生まれ始めている。 “I want to speak please” 認知症の当事者本人としての声をとどける 冒頭の写真は、ロンドンから列車で2時間ほどの英国中部の街、人口20万人ほどのヨークというところで使われている絵はがきほどの大きさのカードです。 この街では、認知症当事者のみなさんが月に一度集まって

変化の予兆:SCENARIO INSIGHT WORKSHOP

EXIT FILMの田村さんたちが企画したワークショップ「SCENARIO INSIGHT WORKSHOP ポストコロナの未来洞察ワークショップ」に誘ってもらった。 EXIT FILM自体は、シネマ的な映像表現を得意とするチームだ。 今回のワークショップも、映像制作の中のシナリオ制作の部分を大胆に取り入れた手法になっている。いわば、【シナリオ・プラニング】×【シナリオ・ライティング】という2つの異なる考え方をないまぜにしているところに面白さがある。 【シナリオ・プラニ

変化の予兆:Build Back Better

北里大の人を中心としたコミュニティと関わる活動が新型コロナの影響で延期が続いていた。「だったらZoomを使いましょう」ということになり、そのための一歩がはじまった。 元々、北里大の人はこの何か月か授業等でZoomを使っているので、そのリソースを少しだけ外に向けて開けば、ずいぶんと大きな力になる。今日の最初の一歩では、OT(作業療法)の先生が少し話をした。面白かった。 話の中で、オーストラリア作業療法士協会のHPに精神科作業療法士のLorrae Mynard 氏による「No

変化の予兆:京都ソリデールとは【連帯】の意

京都ソリデールという取り組みがある。京都府の事業だが、和風に【次世代下宿「京都ソリデール」事業】と表現されている。事業目的は『若者(一人暮らしの大学生等)へ低廉で質の高い住宅確保と自宅の一室を提供する高齢者との交流を図る、同居マッチングシステムを構築』とある。 ソリデールはフランス語で「連帯」の意。つまり、よくよく目を凝らせば、和風な事業名と目的の中に、若者と高齢者との【連帯】を求める精神がある。 下宿は連帯。「ともに生きるではなく」、「支えあう」でもなく、連帯と言い切っ

変化の予兆:在宅メインの働き方

いろいろなことが一時期のトレンドに過ぎないことはよくある。東北の震災に対する東京近郊の人たちの取組みや関心もそうかもしれない。もちろん「違うよ」という人もいるだろう。けれど、やっぱり自分の日々に直接影響を与えないことはどこか他人事だ。 在宅メインの働き方は少し性質が違うかもしれない。《なぜ通勤して集まって会議しなければならないのか》という素朴な問いを、東京近郊圏など大都市を中心に多くの人が直観したのではないだろうか。会社で働くことが会わないけれどリアルな存在になっていくかも

変化の予兆:コラージュ

最近はあまり見かけなくなってしまったけれど、あるいは、私の身近ではなくなってしまっただけかもしれないけれど、MADムービーが好きでよくみていた。 小説を読んだりしたときに、映画以上にリアルに風景を見ているような気がするときがある。たとえば『風と共に去りぬ』。火災の街を馬車で逃げるシーンは小説を読んだときの映像を映画よりずっとリアルに感じていた。 MADムービーはそれに近い。アニメのシーンがモンタージュされ、もう一つの物語が生まれる。その再構成される感じが好きなんだと思う。

変化の予兆:ユニークさからの帰結

ユニークであることが良いとされていると思う。それが風潮なのだ。 2003年に流行った”世界にひとつだけの花”は、No.1になるかわりにOnly Oneになれという。良い歌だなと思う。曲もいいし、歌詞もいい。 この歌が流行った頃、子どもは幼稚園に通っていた。運動会では子どもたちはこの歌に合わせて踊った。この歌を聴くと思い出す。タンスの奥にはそのときのビデオがある。 ユニークさとは他と違うこと。一番でなくてよい、他と違ってよい。それは祝福と呪いだ。人はそんなには違わない。

時に触れる

好きなSFを一冊だけ選んでほしいと問われたら・・・。 ダン・シモンズの「ハイペリオン」? フランク・ハーバートの「砂の惑星」? それともアイザック・アシモフの「われはロボット」? あげだしたらキリがない。 でも、タイムトラベルものに限定したら? 古典としてのウェールズの「タイムマシン」、エンターテイメントとしての「バック・トゥ・ザ・フューチャー」、いずれも捨てがたいし他にもよい作品は数えきれないほどあるけれど、私はやっぱりハインラインの「夏への扉」を選びたい。 SFでは

変化の予兆:いまなぜ福祉・介護の分野でZoomなのか。

認知症に関わるウェブメディア「なかまぁる」の記事の中で、認知症フレンドリージャパン・イニシアチブ(DFJI)が行っている「Zoom練習会」についてもご紹介いただいた。 各地の認知症カフェを取材してこられた コスガ 聡一 (Soichiro Kosuga)さんが、愛知県の田中恵一さんのカフェを取材されたのがきっかけ。そして田中さんはDFJIの「Zoom練習会」を応援してくれている。 DFJIでは、2017年の夏からすでに2年半以上、Facebookグループ「DFJI-Zoo

変化の予兆:即物的な社会変化

価値が生まれるまでのプロセスを視覚化に表現して、問題や無駄を発見していく方法がある。工場の工程管理の考え方を元に、ソフトウェア開発の分野にも応用されたものは、バリューストリームマッピングと呼ばれている。 バリューストリームマッピングでは、それぞれの工程をいくつかに分け、実際にかかった時間をプロセスタイム(PT)、準備のためにかかった時間をリードタイム(LT)として可視化していく。 下図は、市谷聡啓、新井剛「カイゼンジャーニー」という書籍に描かれているものだが、プロセスタイ

変化の予兆:許しを請うな、謝罪せよ

新型コロナウィルスは、現在は制限されている医療機関が利用できるテクノロジーへの規制を変えてしまうかもしない。米政府は新型コロナウィルスへの対応の一環とし、データプライバシーに関する法律の一部を緩和するかもしれないという。 規制には意味があるものも多い。個人を守るためだ。それは医療だけではなく、介護の分野でも同様だろう。 しかし、本当にすべてがそうだろうか? たとえば、日本でも盛んにおこなわれている「認知症サポータ講座」はどうだろう。関係者に尋ねると「あれはリアルでやらな

変化の予兆:新型コロナは日本人の働き方を変えるか

変化について考えるとき、問いは漠然とした変化の境界を明確にしてくれる。『新型コロナは日本人の働き方を変えるか』も良い問いだと思う 問いのきっかけは下記の『新型コロナで広がるオープンソース運動は日本人の働き方を変えるか』だ。 オープンデータやオープンソースのあり方は、行政の分野ではずっと「必要」「大事」「重要」とずっと言われてきた。しかし、変化はなかなか生まれなかった。記事はそこに変化が起こりつつあることを伝えている。 福祉・介護の分野もそうかもしれない。福祉・介護という

変化の予兆:テレダイニング

チャットを使った飲み会のようなものを初めて体験してから既に四半世紀が経つ。けれど、テレダイニングはやったことがなかった。 なるほどなぁ~。面白い取り組みかもしれない。今度、Zoomを使って試してみよう。