見出し画像

変化の予兆:コラージュ

最近はあまり見かけなくなってしまったけれど、あるいは、私の身近ではなくなってしまっただけかもしれないけれど、MADムービーが好きでよくみていた。

小説を読んだりしたときに、映画以上にリアルに風景を見ているような気がするときがある。たとえば『風と共に去りぬ』。火災の街を馬車で逃げるシーンは小説を読んだときの映像を映画よりずっとリアルに感じていた。

MADムービーはそれに近い。アニメのシーンがモンタージュされ、もう一つの物語が生まれる。その再構成される感じが好きなんだと思う。

物語が創造されるとは、作者によって作られた世界と読み手・受け手の中に生まれる世界との境界があいまいになることだと思う。それは共鳴ではないが、最初に生まれた世界システムと、私たちの中の世界システムが混じり、新たな世界システムになるということを意味している。

私にとって物語を楽しむとはそういうことだ。《物語》の価値を問われたとき、私の中に最初にMADムービーをみたときに近い感覚が生まれる。

私たちは目の前の物語だけではなく、私たちを構成するさまざまな小説世界のフラグメントを統合しながら感じている。

訪問していただきありがとうございます。これからもどうかよろしくお願い申し上げます。