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歳時記を旅する49〔麗か〕後*うららかやことりと離す吹き硝子 

磯村 光生
(平成九年作、『花扇』)
 硝子吹きの仕事は江戸時代、宝永年間(1704~)には始まっていたと言われ、硝子師と呼ばれた。
文化年間の清閑主人『鴨村瑣記抄』には、「江戸にて硝子を吹き始めたるは、長島屋源之丞といへる者、初めて江戸に至り、吹出したる由、其子孫今に浅草に住して、長島屋半兵衛といふ由。…」と記されている。
 硝子吹きで難しいのは、硝子の種を窯から管につけて出す、玉とりといわれるところだそうで、昔から玉取り三年、素地(形づくり)八年と言われているそうだ。
 句は、竿とガラスの器を切り離すところ。竿を叩いて、細かい振動を与えるとぽろりときれいに剥がれる。

(岡田 耕)

(俳句雑誌『風友』令和六年三月号「風の軌跡ー重次俳句の系譜ー」)



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