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歌手は「風邪かな?」をなかったことにしている

コロナの収束もままならない中、気候の変動も凄まじい2020年。
長梅雨に追い打ちをかけるような豪雨。最近はただの雨予報ですら警戒してしまう。
かと思ったら猛暑。まさか炎天下の中マスク着用で過ごす羽目になるなんて思ってもいなかった。
…まったく2020年ちゃんは情緒不安定だ、親近感が湧くほどに。

そのストレスのせいか、職場の人がどんどん体調不良で倒れていく。そんな死屍累々の中、「もう疲れたー!やだー!帰るー!」を連発しながらも一人ピンピンしている、THE・健康優良児な私。

そう、腐っても私は歌手なのだ。そして歌手というのは自分の身体が楽器である。
つまり、身一つで完結しているのは楽な反面、楽器の良し悪しは日頃の体調管理に懸かっている。

音大時代(特に声楽科は)、「あれ?ちょっと喉痛いかも…」なんて言おうもんなら、即刻「近寄らないで!」と村八分にされてきた。これはめずらしいことでもなんでもない、日常だ。
風邪を引くなど言語道断、己が体調管理を怠ったことになる。もちろん、「体調が悪いのでレッスンを休みます」なんて、怖くて先生に言える雰囲気ではなかった。

ましてや本番の日に風邪なんて最悪だ。絶対避けたいし、本番前に体調を崩そうもんなら、追い込みの練習にも響く。そして、大小含めると本番は割と頻繁にあるものだ。風邪なぞひいている暇はないのである。
一線で活躍しているプロではないにしろ、歌手であれば誰でも本番への調整はプロ並みに気を遣っている。

そんなこんなで、そんじょそこらの人よりは健康だ。
(…え?○○は風邪ひかないって?うるせー!)
何か特別なことをしているつもりはないが、体調の変化には機敏になった。

社会に出てびっくりしたのは、しょっちゅう風邪を引く人がいるということだ。”この3ヶ月間で私の3年分以上の風邪を引いてるぞ?!”みたいな人もいる。
もちろん体質もあるだろうが、きっとみんな頑張りすぎなのだ。
ちょっと具合が悪いくらいじゃ、簡単に仕事を休んだりできない風潮もよろしくないよね。

個人的に、風邪を早く治すためには”完全に症状が出る前までが勝負”だと思っている。
初期の初期、なんか肩甲骨周りが強張ってるかも…とか、いつもより喉が乾燥してるかも…とか、ちょっと疲れてるな…とか、なんか寒い…とか、その時点で気づけると、大抵の風邪なんてなかったことにできる。

私は異変に気づいたらすぐ葛根湯とビタミン剤を飲んでいる。病院はめんどくさいので極力行かない(おい!)。でも葛根湯が優秀なので、その必要もあんまりない。
ちなみに葛根湯が効かない人は、多分飲むタイミングが遅いんだと思う。
※咳が出る・鼻水が止まらない・発熱したなどの具体的な症状が出る前の、モヤモヤっとした段階で手を打つのがコツだ。

喉に違和感があるなら”ペラック”もおすすめ。あとは蜂蜜をそのまま舐めて直接喉に流し込む!気分はプーさんだ。
※蜂蜜は熱に弱いので、なるべく溶かしたりせずに常温で摂取すること。
※葛根湯とペラックは同時に服用すべからず!


↑こうか は ばつぐん だ。喉が弱い人は常備しておくべし。

疲れた日は、胃に負担の少ない栄養のあるものを食べ(お腹が空いてないなら無理して食べない方がいい。回復に必要なエネルギーが消化に回されちゃうらしい)、夜はのぼせない程度にお風呂に使ってリラックスし、お風呂上がりにストレッチで強張った身体をほぐす。誰かと一緒に住んでいる人なら、お願いしてマッサージをしてもらうのもいいだろう。ドライヤーで髪を乾かすついでに首の後ろを温める。普段は夜型の私も、この時ばかりは早めにベッドに潜り込む。

すると翌朝はすっかり回復している。それに少々だるい方が寝つきもよく、睡眠の質も上がる(ような気がする)。元気100倍アンパンマンである。人間の身体ってよくできているものだ。

結局、”風邪は未然に防ぐのが一番早く治る方法”なのだろう。
まぁこれは私に合った対処法なので、万人に効くとは思えない。それにもともと基礎体力が低下しているなら無意味だ。
だが、逆にこれで治らないほど体力が残っていないとしたら、やはり普段から無理しすぎなのではないかと思う。

無理しているのが当たり前になって、ちょっとした体調の変化に気づけない人も多い。鈍感になってしまっているのだ。
下手したらそういう人は、気づいた時には重症なんてこともあり得る。でも体調不良は身体が悲鳴をあげている表れなんだから、それを気力だけでごまかそうったって酷な話である。

現代人はみんな忙しいが、自分を置き去りにしすぎてはいないだろうか?
忙しい人こそ、”自分最優先であれ”と私は思う。
何も自己中になれって話じゃない。自分のキャパシティーを把握し、できないことには勇気を出して「NO!」と言ってみる。人の助けもうまく借りる。時には”何もしないDay”を設けて、心ゆくまでぐうたらする。
”頑張れない自分”を認めてあげることから始めてみよう。

いや、そう簡単に言うなよ?!それができたら警察(…この場合は病院か?)いらんわ!って人もいるだろうし、気持ちはよくわかる。でもそんなこと言ってても悲しくなってくるだけだ。
まずは少しでも心に余裕を持った生活ができるよう、自分にとってなるべく心地よい環境を整えてあげてほしい。それが自分を大切にすることに繋がるんではないだろうか?

例えば、いきなり仕事を変えるのは難しいかもしれないが、仕事の一部を誰かに押し付け…いや、手伝ってもらうとか、ちょっとストレッチするとか、たまには食べるものに気を回してみるとか、15分だけ読書をするとか、寝室のカーテンの色を落ち着くブルー系に変えてみるとか、枕にこだわってみるとか、月に最低1回はウキウキな予定を入れることくらいはできるかもしれない。

もうちょっと気楽に図々しくいこうぜ。世間体なぞ、気にしている場合か?
だって元気に生きてさえいれば大体なんとかなる。
でもその何よりも大事な自分の命は、自分で守るしかないのだから。

普段から己と向き合う(私は”自分の気持ちにちょっぴり素直になってみる”だと思っている)ことを意識していると、いざという時(病気に限らず)、それが巡り巡って自分を守ってくれる。なんていうか、勘が働くんだよな。
さあ、今こそ人間になる過程で失われてしまった”動物的勘”を取り戻せー!


幸い、私は比較的無理をせずに働ける環境にいるので、本当に”やばい”と思ったらすぐに早退したりする。
その際、報告をした上司と先輩が心配して「大丈夫?お大事にね」「ゆっくり休んでね」と声を掛けてくれる。みんなやさしくて驚きである。もう音大時代のように村八分されることはない。

それにしても体調不良の時の人のあたたかさってなんてグッと来るんだろう。よくある(?)ナースと患者というシチュエーションで、軽率に恋が走り出す気持ちがわかった気がした。(上司も先輩も人妻です)

#風邪 #対処法 #健康 #予防 #体調不良 #エッセイ




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