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おいしい流域 第1回 -みず:檜原村 源流の冷たい水は海からやってきた- 【開催レポート】

山から海までのつながりを食を通じて体験する「おいしい流域」イベントの第1回を、東京都檜原村にて7月30日(火)に開催しました。


おいしい流域プロジェクトとは?

おいしい流域プロジェクトは、食を切り口に山から川、そして海までの繋がりについて、子どもたちと共に学ぶプロジェクトです。今年は多摩川流域を題材として全6回のイベントを開催し、山の湧水から始まり、川上から海に至るまでの各回を重ねるごとに下っていくことで、水とともに人々が形成してきた流域における食文化と自然環境、土地の歴史や文化について知り実際に食べて触れて体験していきます。

参加者にお配りしている流域マップ

本プロジェクトは、現代の都市生活において、海と川、そして山までの繋がりへの理解が薄いことが、地球環境問題への興味関心をはじめ食文化の理解継承等の取り組みがうまくいかないことに繋がっているのではないかという私たちの仮説及び課題意識をもとに企画しました。次世代へ豊かで美しい海を引き継ぐために、海を介して人と人とがつながる"日本財団「海と日本PROJECT」"の一環として開催しています。


第1回目となる今回のテーマは、「みず:檜原村 源流の冷たい水は海からやってきた」。
川辺を歩き、湧水を汲み、水との暮らしを体験するのがこの講義の趣旨です。
講義のなかで実際に湧水を触って水の冷たさとおいしさを体感しながら、水が様々なカタチに変わっていく旅路に想いを馳せました。

東京都唯一の“村”でもある檜原村が位置するのは、多摩川水系の上流部です。山で生まれた一滴の水は、海へと至るその旅で何を育むのでしょうか?
この記事では、「おいしい流域」第1回目の様子をお届けします!



この講義のキュレーター



Village Hinoharaに集合!

最寄りの武蔵五日市駅で見つけた石。
5つの石は奥多摩の山並みと秋川を表しているそうで、地元の人々にとって
水が身近な存在であることが早速伝わってきました。

武蔵五日市駅からマイクロバスに乗って進んでいくと、東京都とは思えないような豊かな緑にあたりが囲まれていきました。

今回の集合場所である、Village Hinoharaに到着!
Village Hinoharaは、近年増加する移住者や在宅勤務者が共に働き、地域の人々と交流しながら新たな価値を生み出す場として生まれました。檜原村が建物を設置し、今回の講師である清田さんが理事を務める一般社団法人アナドロマスが施設を借り受けて運営するプロジェクトです。

川辺で水について学ぼう!

到着後、早速みんなで川に下りました。

空気が一段と涼しく感じられました!

参加者の方々の自己紹介を済ませた後で、ジンケンさんと清田さんによる講義をお聞きしました。

興味深いお話ばかりでしたので、以下でその内容を一部紹介します。


ジンケンさんからは、水の循環の仕組みについてお話していただきました。
水は循環しています。
ジンケンさんの「水はどこからきたの?」という質問に、子どもたちから「山!」という声が上がりました。正解です!
でも、山からきた水は、実は海からきました。海に溜まっている水が蒸発して雲になる。 雲になって雨を降らせます。 陸に降った雨が川になるのですが、 実は日本の国土の約7割は森や山です。 そのため、陸地に降る雨のほとんどは山に降り、それが染み出してきて川になっています。 そうして水は海に戻っていきます。
このように、地球ができた時から水はぐるぐる回っていて、この循環で人間の生活があるということをお話していただきました。

清田さんからは、木が森に与える影響についてお話していただきました。
循環しているのは水だけではありません。山も木も繋がっています。
春になると、山に生えている木々が葉を出し花を咲かせるために、多くの水を吸収し川の水位が減ります。そうすると山が乾燥して、山火事が起きやすくなります。木が森に与える影響はとても大きなものだということを学びました。


水本来のおいしさを感じたお昼ごはん

講義でたくさん学んだあとは、川辺でお昼ごはんの時間です。

参加者の皆さんから「美味しそう〜!」「味噌汁の良い匂いがする!」
という声が上がっていました。

お昼ごはんには、湧水で炊いたお米の塩おにぎりと、湧水で作ったお味噌汁、ゆで卵、冷やし夏野菜(トマトときゅうり!)をみんなで囲みました。どれも水の綺麗さがよくわかる、シンプルでおいしい料理たちでした。

汗をかいた後のごはんは本当に美味しい!
このお昼ごはんを通して、おいしい水が集まる場所に昔の人々が集い住むようになったことを体感することができました。

村の人々に長い間大切にされてきたお稲荷さん

お昼ごはんの後はまたマイクロバスに乗って、橘橋下にあるお稲荷さんの見学へ。
大きな木の根っこに、水が湧き出している場所がありました。水はそのまま下の南秋川に流れ出ています。

この湧き水がとっても冷たくて、気持ちがよかったです!

川に下りると、「おとう神事」という檜原村に400年続く五穀豊穣を目的とした神事のお話をジンケンさんが話してくださいました。
毎年3月1日の夜中になると、参加者が「六根清浄、六根清浄」と唱えながら、この川で水を浴びて身を清めるそうです。この場所が古くから人々と水を繋ぎ、大切にされてきたことを肌で感じることができました。

お話の中でとても興味深かったのが、私たちが生きている大地や山も、水の動きから生まれているというもの。
地面のプレートは常に動いていて、日本の地形はそれらが互いに押し合って地層が形成されています。
この川を囲む崖も、昔は天然の地形を利用した城壁として使われていたそうです。木造の小さな橋を落としてしまえば崖をよじ登らないとお城に行けないということで、この地形を活用した戦法が取られていたのは面白いですね。

道中に見つけた手作り檜原とうふの「ちとせ屋」。
ここで販売している「うの花ドーナツ」が美味しいと聞きましたが、この日は残念ながら定休日。。またリベンジしに来たいと思います!

ここで雨が降ってきました。
水の一つの姿である雨水を体で感じながら、次の目的地に向かいます。

日本の滝百選 払沢の滝へ

ここまでは地面を流れる水を追いかけてきましたが、今度は滝を見学。
みんな滝の高さに圧倒されていました!
湧き出した水が合流を重ね、滝として吹き出します。水が形を変えながら循環していく始まりを、気持ちよく浴びることができました。

待ちに待った川遊びタイム!

最後は、みんなが楽しみにしていた川遊びの時間!難しいことは一度置いておいて、全力で遊びます!
まずはジンケンさんのおすすめスポットに連れて行っていただきました。小さな滝から流れる水が溜まった場所で、みんな気持ちよさそうに泳いでいました。

そして川辺を少し歩いて、川遊びスポットへ。

希望者はチューブにて、川流しの体験も行いました。友達や親子で一緒に乗ったり運び合ったりして、皆さん笑顔で楽しんでいました!
実際に川に入っていただくことで、水の冷たさと流れを体感することができたのではないかと思います。参加者からは、「次の日に学校休んで川に行きたい!」「川遊び楽しかった!」といった声が聞かれました。

最後に

おいしい流域 第一回のテーマは「みず」でした。
なかでも印象的だったのは、大昔から変わらずに、絶えず水が循環しているということです。水は姿を変えながら地球をぐるぐると巡っていて、人間はその循環にうまく巻き込まれながら暮らしてきました。今回の講義では、実際に檜原村に住んでいる講師のお二人から水と暮らしに関する様々なお話を聞き、その後実際に水と遊んだことで、水がこれまでよりもぐっと身近なものになりました。

第二回「あゆ」のイベントを終えて、次回のテーマは「のりと、経済の、密接な関係」@大森 海苔のふるさと館。
のりが成長するためには、太陽の光と、山から川を伝って流れてくるミネラルなどの養分が必要です。今回の舞台である東京都大田区の大森エリアは、かつてのりの名産地でした。しかし戦後、流域の宅地化や工業化によってのりの養殖がむずかしくなってしまいました。江戸料理研究家のうすいはなこさんをナビゲートに、のり養殖が今や風前の灯火になってしまった背景にフォーカスを当てながら、海にとっての山の恵みの大切さを体験してみましょう。

詳細はこちらからご覧ください。



最後までお読みくださりありがとうございます。




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