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蛇の花 【奥入瀬 24/5/31】

一風変わったデザインの花が
森のあちこちで目立つようになりました。


5本の群生

その名もマムシグサ※。

花の部分が蛇の頭を思わせますが、
名前の由来として広く知られているのは
茎(偽茎)の部分の模様が蛇に見えるというもの。

確かに蛇っぽい

奥入瀬渓流で本物のマムシに出くわすことは
ほとんどありませんが、このマムシには
比較的いろんな場所でよく出くわします。

花のデザインとネーミングが相まって、
食虫植物のようにも思えてしまいますが、
そういうわけではありません。

花粉を運んでもらう為のお手伝いとして、
花の中に虫を招き入れています。

雄花

中から突き出ている突起から虫にだけわかる
フェロモンのようなものを放っているのか、
小さなハエの仲間が誘い込まれていきます。

よ〜く見ると中に入る寸前の虫がいます

一度中に入ってしまうと上から脱出することは
困難な構造になっていて、ハエは出口を探して
花の奥深くへと潜り込みます。

突起の部分は花ではなく、本当の花は突起の
根元のあたりに隠されていて、出口を探すハエが
この花の上を歩き回ることで花粉まみれに。

雄花の写真の根元、白い部分をよく見ると
わずかに隙間が空いていることがわかります。
これが花粉まみれのハエを逃す脱出口です。

雌花を見てみましょう。

出口がない…!

なんと雌花には脱出口が用意されていない!

雌花に迷い込んだハエは雄花と同じように
出口はないのかと探し回りますが、その間に
花粉まみれの身体で雌しべに接触することで
受粉が完了するわけです。

お手伝いと言うと聞こえが良いのですが、実情は
そんなかわいいものではありませんでした。

しかし、雄花からの脱出の時点で相当に
苦労しているはずなのに、懲りもせず
また雌花に誘い込まれてしまうとは、
それほど魅惑的な何かがあるのでしょうか。

個性的な透かし

この動物の爪を思わせるような透かしの部分。
下から覗くとすごく綺麗なんです。

虫の目線から見た時にも、
おっ!?綺麗だな!何アレ!?
みたいな事が起きてたりしないかなぁ?笑


この花には虫の誘い込みだけでなく、他にも
面白い生態があるのですが、実りの秋にも
また紹介することになると思うので、
その時にお話したいと思います(^^)


※マムシグサの仲間にはよく似た種がたくさん
あるのですが、この記事内では仲間の総称として
マムシグサとだけ表記しています。



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