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誰も見た事のない景色を探して

4月20日、土曜の朝はしっかり霞んだ空を朝日が橙色に染めていた。

今朝の広島市

天気予報では午後から少し雨→明日は朝から雨…

この春の天気はどうにも意地悪く感じてしまう。

まぁ昼までなら何とか空も我慢してくれるだろうと、7時前に愛車1号機を携えて家を出る。

夏の日の1号機
愛車2号機

愛車2号機で行っても良いのだが、シューズとペダルを固定させる必要があるので乗り降りが多い時は使い勝手が悪い。

と言うのも今日出掛けるのは、またまた似島に行くからである。1号機は折り畳めるので、港まで車に積んで行き自転車でフェリーに乗って島を走るのが楽ちんなのだ。

本日の目的は似島学園(高等部)の園長先生に会う事。

事前にアポイントを頂いてあるから、曇天だろうと雨天だろうと「行かない」と言う選択肢はない。

使い回しの写真

似島フェリーは相変わらず徐行運転で、20分かけて似島に到着。20分で約3キロ先の島に行くのだから、多めに見積もっても時速10キロくらい。

まぁそれもまた良し。

島に着いたのが7:50。似島は周囲10kmだから似島学園まで遠回り方向に向かっても自転車なら30分もかからない。

「午前中に」というふんわりしたアポイントにさせて頂いたのだが、流石にあまり早く伺ってもご迷惑だろう。

遠回り方向(反時計回り)に自転車を走らせ、右手に海を見ながら進む。

荒神社

家下地区の神社にも行ってみたり。

学園前桟橋
スパルタンな構えの待合所

ちなみに似島フェリーは宇品側だけではなく島の反対側(学園側)に離発着する便が数便に一度ある。

職員さんや通学の生徒はこれを利用するのだ。

頑張って寄り道した割に結局学園には9時前についてしまい、どうしたものかとウロウロしたがあからさまに不審者なので、やむを得ず事務室を訪れた。

職員の皆さんは丁度朝礼中だったか、打ち合わせ室に通して頂き暫し待たせて頂いた。

ふと壁を見ると「明るく元気に」の言葉。

とても大切な事だ。明るく元気にいるだけで、他人からの評価は必ず上向く。そしていつしか内面も変わっていく。

人は見た目で判断する。これは過去も未来も恐らく永劫変わらない。自身をプロデュースする上でその自覚がない人は大きく損をする。

そんな事をぼんやり考えていると朝礼を終えられた園長先生が来られた。

ざっくばらんな方で、良い意味で園長先生っぽくない。

先日一度、立ち話させて頂いた事を覚えてて下さり、今日に至る。

「ちょっと園内をご覧になられますか?」

有り難いお言葉に遠慮なく甘える。

高等部の建物は、小中学の建物と別棟になりとてもモダンだ。

聞くと小中学校と高等部は管轄省庁が今は分かれているらしい。

小中学の方は措置入園の児童が多く、高等部は契約入園がほとんどとの事。

措置=いわゆる児童養護施設。

契約=就労支援施設寄り。

概ねこんな認識になるのだが、契約の場合は国から出るお金も少なく、各家庭の負担は増える。

メイン廊下

建築は広島の設計事務所と建築会社で建てられているが、設計士の方のコンセプトが「どこからでも海が見えるように」らしく、窓が多くとても開放的だった。

食堂から見える江田島

全寮制なのだが、コの字型に建てられた窓の多い校舎と寮の窓からはどこからでも海が見える。

光が差し込む
寮からはこのビューが見える

環境が感情や生育に与える影響は想像よりはるかに大きい。この環境なら勉強嫌いな私でも頑張れる気がした。

一通り内見をさせて頂いた後、今回の面会の本題になった。

広島市の役所側と話してきた「国有地の借り上げの話」と「観光農園の立ち上げ」についてだ。

卒園した生徒たちは、もちろん通常の就職をする場合もあるが、多くはA型B型の就労支援施設で働く事になる。

働いて得られる賃金は12,000〜120,000程度にしかならない。もちろん、雇用側としても賃金は出来るだけ出してくれてるのだが。

私としてはなんとか、自立して暮らせる程度の豊かさを提供できる方法がないかとずっと考えてきた。

今現在、その可能性が少し見えてるのがブルーベリーの観光農園なのだ。

園長先生からも、アイデアとして可能性を秘めているしトライする価値はあると感じていただけた。

もちろん法人化する必要もあるし、各種の準備費用も必要だ。自治体の協力なしでは難しい。

しかし、難しいが不可能ではないと私は思っている。

学園では、畑で20本ほど今もブルーベリーを作っているらしく、生徒たちもブルーベリーには普段から向き合っているとの事。

まだ微かな光ではあるが、差し込む光が見えた気がした。

「7月に学園のブルーベリーを収穫するので、ぜひ一緒にやりましょう!」

最後に園長からとても嬉しいご招待をいただき、似島を後にした。

やることがうんざりするほど山積しているが、誰もみた事のない景色を見るためには、険しい道を歩くのは当たり前だよなと妙に納得した帰り道だった。

こんなに大きい品種もあるよ

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