眠くならないアレルギーの薬はどれ?理論で選ぶ3つの薬
【はじめに】
今回のはなしの中で、少しむずかしい内容はこの文章のような「引用の囲み枠」の中に書いていこうと思います。
少し内容が難しいなと感じた方は、囲み枠の中を飛ばして読んでいってください。
アレルギーの薬をもらっている人は、「自分の薬がどこに該当するのか?」確認しながら見ていくと興味を持って読みすすめてもらえるかなと思っています。
アレルギーの薬にはどんなものが?
iPad、iphoneなどにも「第1世代」「第2世代」と世代があるように、アレルギーの薬にも世代があります。
アレルギーの薬で眠気が出るのは、抗ヒスタミン作用と呼ばれるものの働きで、この副作用を利用した市販の睡眠薬(ドリエル®)まであるんです。
眠気以外にも、口の乾きや便秘、目の乾き、おしっこの出づらさといった症状が出ることもあります。
こういった副作用が強くでるのは、「第1世代」の抗ヒスタミン薬と呼ばれるものになります。
第1世代抗ヒスタミン薬に該当する薬は比較的少なく、「ジフェンヒドラミン(レスタミン®)」「クレマスチン(タベジール®)」「クロルフェニラミン(ポララミン®)」「プロメタジン(ピレチア®、ヒベルナ®)」「ヒドロキシジン(アタラックス®)」「シプロヘプタジン(ペリアクチン®)」などがあります。
総合感冒薬には第1世代の抗ヒスタミン薬がよく含まれています。
逆にこういった眠気の副作用が少ないのが「第2世代」の抗ヒスタミン薬です!
アレルギーの薬の眠気
眠気の出方については個人差があって、まったく眠気を自覚しない人もいれば、強い眠気を感じる人もいます。
眠気を自覚しない人は運転などしても問題ないと考えがちですが、そうではありません。
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インペアード・パフォーマンス
というのをご存知ですか?
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本人が眠気を自覚していなくても、集中力、判断力や作業効率の低下がみられることがあります。これをインペアード・パフォーマンスといいます。
お薬の説明書にも注意書きが書かれていて、
【眠気の一番強い薬(鎮静性)】には
「自転車の運転等危険を伴う機械の操作には従事させないよう十分注意すること」
の記載があります。
つまり、運転してはいけないということです!
【眠気が中くらいの薬(低鎮静性)】には
「自動車の運転等危険を伴う機械の操作には注意させること」
の記載があります。
これは少し弱まって運転する際には注意が必要となっています。
いずれにしても、実際に表に出てくる眠気だけでなく、眠気が出る薬を飲んでいるんだという自覚が必要になってくると思います。
これ意外と皆さん知らなくて、
でもとても大切な部分です!!
こういった眠気の作用は、第1世代の抗ヒスタミン薬よりも、第2世代の方が少ないと言われていますが、この違いはどこから生まれるのでしょうか?
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アレルギー薬の眠気はどうして起こるの?
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眠気がでるかどうか!?
それは脳の中へ薬がどれだけ移動するかにかかっています。
血液と脳の間でモノが交換されるには「血液脳関門」という細胞の膜を通過する必要があります。
この膜を通過しやすいものが脳へ移動して、脳の中のヒスタミン受容体(H1受容体)というところにたどり着くと眠気をもよおす原因となるのです。
どういうものが血液脳関門を通過しやすいのか?
・分子量が小さい
・血漿蛋白結合率が低い
・脂溶性が高い
この逆に、分子量が大きい、血漿蛋白結合率が高い、脂溶性が低い(ーCOOH、ーNH2がついた構造)ものは通過しにくいです。
主に第2世代の抗ヒスタミン薬は脳へ移動しにくく、眠気も起こしにくいと言われています。
第2世代抗ヒスタミン薬をいくつかのせてみます。
ここまでの内容を総合して考えると、
運転に関する注意点が載っていなくて、かつ脳の中に入ってからの「ヒスタミンH1受容体占拠率」が低いものが、より眠気の少ない薬ということになります。
脳の中のH1受容体占有率が10%以下では、集中力・判断力・作業効率などの低下は測定できないと言われていて、眠気がおきない
すなわち
■ビラノア®(ビラスチン)
■アレグラ®(フェキソフェナジン)
■デザレックス®(デスロラタジン)
が理論上、最も眠気が少ないアレルギーの薬です!
これがこの記事の中の疑問の答えになりますが、どうでしょうか?
自分が服用している薬は眠気の少ないものだったのか、眠気の強いものだったのか。
特にアレルギーの薬を服用しているときは、車の運転などに十分注意してください。
ここから先は、少し薬剤師的な観点で書いていきたいと思いますので、興味があればみてみてください(話が難しくなると思います)。
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ここで2つ表を載せます
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「非鎮静性」であっても用量依存的そして連続投与で脳内に移行する場合があり、感受性の高い患者は眠気を感じると言われています。
この中だと「クラリチン®(ロラタジン)」は非鎮静性に分類されていますが、増量した場合には脳内に移行して眠気をもよおします。
また、抗アレルギー薬は比較的半減期が長いものが多いため大半が『半減期✕4>投与間隔』となり「定常状態のある薬」に分類されます。
そのため、血中濃度も単回投与よりもあがることになり、上の表にある単回投与の場合のH1受容体占拠率よりもあがることがあります。
この表の中ではオロパタジンがその1例となっています(単回投与の場合は15%、4週間投与後は55%)。
すなわち、今回ピックアップした眠気の出にくい3種類の薬剤以外は、使い方によっては眠気が強くでる可能性もあるということです。
参考資料:総説 薬理作用から見た理想的な抗ヒスタミン薬治療.日本耳鼻咽喉科学会会報,123(3),2020
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