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あの日の君に恋をした。第一話

<あらすじ>
主人公の小林ひでが沢山の出会いから成長していく物語だ。
と聞けはごく普通である。
ひでの中には二人の人間が存在する。
そんな自分を認めて貰えない苦しさ、現代の問題に影響された変化。
過去を引きずって恋愛ができない辛い主人公が成長し、やがて大切な人と出会い、パラレルワールドで生きていく物語である。
みなさんは大学時代楽しんでいましたか?それとも遊んでいましたか?勉強していましたか?
あの時こうしていればという後悔はありませんか?
あの日の君に恋をした。誰もが一度は経験しているはずです。
好きになるって事は好きになった瞬間があるはずなんです。
いくつもの苦しみを感じてください。

「僕は、変色がうまくできないカメレオンだ」
そう、僕は小林ひで。何にでも対応できるイケメンに憧れていたのだ。
モテたことはない。「『優しそう』『モテるでしょう』という社交辞令の嵐を受ける僕。」
気が付いたら、その場に必要な自分を演じてしまうカメレオンになっていた。

…………
「ありがとう。出会えてよかったよ。カメレオンになれた」
カメレオンは光や熱を浴びると反射する仕組みを持っている。
ただ、変色するだけしかできなかった僕が変わるきっかけになったのは
この先出会う、大切な人によってカメレオンになれたのだ。
合わせるだけでなく、自分の意見を発し、相手の意見や世界観を
飲み込み、自分の考え方に取り入れる。そして、なりたい時になりたい色に染まることができるようになった。
反射もするし変色もできる。こんな素敵な人間になれたのは、君のおかげだった……
そんな人に出会うのは先の事だった。

あの頃、わかっていた。
僕はカメレオンであり、カメレオンになるために努力していたのだと。

これには過去の辛い経験がある。
ひでにはもう一人の自分がいる。そいつは芸術家と破壊神とでもいうのであろうか。
そのため感情と行動に矛盾が起こることがある。
ひではとても温厚で優しく、基本友達はいる。

ただ時折、友達が大切にしているものを見ると、これを壊したらこの子はどんな気持ちになるんだろう。僕の事どう思うんだろうと考えてしまうことがあった。
これは破壊神である。もう一人の自分だ。
「ぞくぞくとこみあげてくるこの感情はなんだろう。サイコパスってやつなのかな?」

この考えに至ったのはきっと親からの愛をしっかり受け、反対の感情が知りたかったんだろう。
よく背が低い人間は背が高い人を羨む。
人はないものねだりの人生でそれをいかにポジティブにとらえられるか今の現状で何ができるのかを考える事が本質だと考えている。

一度だけそう考えていた時だ。友達が他の子の大切なものを壊した。
それを見た瞬間、自分は何もしていないからかぞくぞくとする感じはない。
ただ、ひどく物を失う感覚を得て、それ以降芸術家だけが僕の子心の中生きている。
きっと根はやさしさに溢れている人物なんだろう。ポジティブに生きようと捉えていた。

そんなわけで恋愛をしようとすると、僕はいつもこの関係を壊されたりしたら、きっとひどく心の中で眠っていた破壊神が僕の心臓にナイフを刺すのではないかと恐怖でいっぱいだった。
そして、好きになった子は今までで3人くらいだろう。
1人目は幼馴染だ。
2人目は中学時代に一目ぼれをした子だ。
中学三年生でようやく同じクラスになった。
三年生といえば修学旅行がある。ひでは同じ班を勝ち取ったのだ。
それから割と良好な関係を築いていた。
しかし、学園祭の時に勇気をしぼって気持ちを伝えた。
3日後手紙で振られたのだ。それから話しかけても空返事。ひでは深く失望した。
それから受験に集中し、気持ちを切り替え高校生へ。
しかし、あまりにも幼稚なひでには刺激が強すぎたのだ。
そう。そもそも中学時代3クラスしかなく、とても平和な環境だった。
中学生が夜の営みをするなど考えもしないレベルの平和地帯。
それに比べ他は違い色気から違うことに腰を抜かしそうになった。
それから顔も知らない同じ高校の子と話し始めたのだった。
しかし、実際に話さないまま高校三年生でようやく同じクラスになった。
これは運命ではないかとまで思った。ただこのジンクスは続くのであった。
ひでは好きな子に親友を紹介した。悲しいのか喜ばしいのか、知らぬ間に裏でその二人は付き合っていたのだ。
もう人を信じるのはやめてしまおう。破壊神の自分が蘇ってしまうと感じたのだ。
それと同時に怒りの感情からかチェリーを失った。その時だ、破壊神の自分がもう一度蘇った音がした。
この先ひではどうなるのだろうか。それは誰も知ることはない。もちろん本人も。

人間だれしも「もう恋なんてしない」と決めたつもりが時間と共に忘れ、新たな出会いに興味を持ち、恋に落ちる。
大学生になり、新たな人にも出会った。
誰に対しても恋心はあるけど愛がない状態であった。
好きなラッパーが言っていた。恋している時は疑い、愛している時は信じる。それが僕のもっとうだ。
ただ、そのせいか付き合う前に関係が終わってしまう事ばかりだった。
それ以来僕は人を好きにならず、カメレオンのように周りに変色するようになった。
ただ、色はなぜか濁っている。いつも

Hi! My name is Hidetoshi Kobayashi.
Please call me hide.

僕は大学四回生で休学し留学に来た英語が好きでもない大学生だ。
「なんで海外にいるんだっけ、」
そう、僕は承認欲求という現代問題視されている魔物に狩られた平凡な大学生であった。
夢もなく就職活動から逃げてきたのだ、そして今も英語がわからず、逃げだしたくなっている。
こう言えば聞こえはよくある留学生にも聞こえる。

そう、僕が本当に留学した理由は……

あの頃、僕はまだ何にでもなれると本気で信じ、夢多き学生であった。
緊急事態宣言が発令されこの先どうなるのかわからない、総理大臣がスキャンダルでもめていた時のことだ。
僕、小林ひでは大学に入学して、沢山の出会いに感動して、夢を見つけるまでの物語だ。

ピロロンピロロロン。
朝から僕にかまってもらいたいアラームが僕を呼んでいる。
「いま何時だ?」
時計は部屋においてない。スマホの眩しさと眠さの葛藤が始まる。
しかし、時間は待ってはくれない。
「入学式に遅れる!」
大学一年生の春、僕ははれて大学生!楽しみで胸を膨らまそうとしていた
そんな中、寝坊しかけるというあわただしいスタートを迎えた。

「なんでいるんだよ、ひで、寝坊したって言ったから期待してたのに。」
なんてひどいセリフを言っているのだ。
こいつは中学時代先輩たちの引退試合で負かされた友人だ。
試合会場で何回か会い、話す中である。
とても陽気ないいやつである。
彼もまた芸術家の風格を持っている。
「あおいこそ、昨日寝坊するって言ってたじゃん~。」
ひでも負けじと返す。
なんと意味の分からない高校生、いや中学生が抜けていないような大学生たちの会話だ。

その時だ、隣を通った小さい子が微笑みを向けてきた。
やっぱ東京は可愛い子が多いんだな。
デリカシーがないあおいは僕に向かって唾を吐くように物申した。
「ひで!そんなこと言ってるから彼女いない歴=年齢なんだよ。」
ソンナこと言われるほど仲良くはない。

ひでは必死に抵抗しようと頑張った。
「ほんと、僕のキャンパス山の奥にある大学、お前は東京の新校舎。こっちは自然なんだよ!」
妬み半分、あと半分はなにかわからない。がうらやましい。

僕の住んでいる街は畑があったりと和な街である。
そこから少し離れた海の近くにあるキャンパスはさぞ、綺麗なところなんだろうと思っていた。しかし、実際は山の上にあり、何もないレンガで建てられた教会をイメージするような大学であった。
それに比べ、東京の新校舎は今年からできたばかりのぴかぴかの校舎だ。
皆、人目を気にしておしゃれをしなければという人間が集まったような校舎だった。

僕は俗にいわれるB専とかいうやつだ。
「それにしても可愛くなかった?」
「ひで、お前は相変わらず見る目がないな」
初めましての友人Aはあおいが連れてきたSNSで知り合った大学の友人だ。
こちらからすると、キャンパスが違う人との交流を作れるのは楽しい。
友人Aはどこか距離を感じるがうまく合わせてる感じが自分に似ていて鼻につく。
そんな本日初めましての人間も続いてなにか言っている。
「ほんと、ひで君って、いわゆるB専ってやつなの?」
なんで本日初対面の友人Aの友達にB専と言われているんだ。

ひでは自分を正当化しようと必死だった。
「可愛いだろう。見た目で人の性格もわかるんだ、直感がいいから!」
〇坂64より△坂64の方が良いいだろう、可愛いんだから。
そんなことを言っている並みの自分勝手な意見だった。

そんなこんなで話しているうちに入学式は終わった。
ガタンゴトン~ガタンゴトン~
ゆられゆれて、あの時の子に次ぎ会えるのはいつだろう。
東京の子なんだろうな、育ちがよさそうだったし、

そんな余韻に浸っているのも束の間だ。
「ひで……ひで!!」
「うわっ!」
あおいの最寄りについたようだ。
「じゃあな!またそのうち飯でも行こうな。」
「「またね~」」
会うのは最後だろうと思いながら『またね~」と言った僕は
きっと単なる嫌な奴なんだろう。

#創作大賞2024 #恋愛小説部門

作品一覧
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第七話 第七話(2) 第八話 第九話

第十話 第十一話 第十二話 第十三話 第十四話



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