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あの日の君に恋をした。第13話

あれから三日後ひでとココロは出かけた。
教会の裏にある墓石を見に行った。
その前に写真展に別々で見に行った。
その後合流して、カフェで買った写真をシェアした。
ひでは写真はわからないが、意見は言った。
「この写真さ昔の自分を見ているみたいで買ったんだよね。」
首がないバスケットボールのシュートを構えた姿のマネキンの写真だ。
昔、バスケは好きであるが本心でバスケをしていなかった。
その時、一番大切ななにかを失っていたと思う。
きっとそれは心だと皆は言う。たしかにそう思う。
ただ、首から上も生きていくという面では大切である。
それを比喩して好きなんだと伝えた。

ココロは驚いたように感心した。
別に笑ってもいない。
「そうなんだ。なんかそこまで考えてみてるのすごい」
こういう必死に人の話を聞いてくれる人には頭が上がらない。
「まあ、初心者がそう語って見ました」
ひでは照れ隠しに謎の敬語で自分を取り繕った。

「ひかれたのか?」
女性慣れしていないひでは余計なことまで考えてしまう。
一旦気にしないように思いながら近況など話していた。

ココロはひでに心配そうに問いかけた。
「お仕事は見つかった?」

現在この国はたくさん人がいて、あまりにも仕事がみつからない
ひでは当然のように答えた。
「人多すぎる上に言語通じなくて、難しそう。」

ココロがどのようなところに履歴書をだしているのかを問いかけた。
それに対し、ひでは当たり前かのように答えた。
「中華料理屋!」
ただ、ひでの感性は少しずれていた。

そう英語圏で、中華料理屋?
中華料理屋の会話は中国語だ。
そのため、英語を学びに来たひでには合わない。
そして、中華料理屋はチャイナタウンと呼ばれるところにしかない。
そのため、ローカルレストランと間違えることは絶対にない。
だからこそココロは笑っていた。
「え、嘘でしょう。初めて聞いたんだけど、チャイナ店に出す人」

なんか嬉しい。笑ってくれた。
ひでは笑いながら答えた。
「料理は大切だ、中華料理はおいしいから賄い食べたくて、」

ココロは笑いながらやさしく答えてくれた。
「今度作ってね~」
それに加えて「私、今日みんなの料理作るんだ~」
意外な一面を見せてくれた。
ココロはあまり料理せず、デリバリーで生きている人間だとひでは思っていた。
その言葉にひでは
「こ、今度料理作ってね。」
良い感じで話も進んでいき、良い感じの時間になった。
帰宅する時間になった。

ただその前にお互い散歩をしたいという事が一致した。
初めて見るものなど、沢山共有し合った。
とても楽しかった。

そこからカフェを出て歩き始めた。
アンティークな店、服屋など沢山あった。
笑いながら歩いている。
そうすると、途中で教会をみつけ、その周りを歩いてみた。
「そ、そういえばさ、ココロ、寒くない?」
「大丈夫~暖かい格好できたから」
「確かに暖かそうだね、そのコート。足元ぬかるんでいるから気を付けてね」
本当に女慣れしていない感じ満載だ。
「どこの過保護親やねん、いやパパ活のパパかよ」
「一時間10万円でいいですか」
っと心の中でひでは自分のボケにツッコんだ。

森の茂みに、僕たちを招き入れるかのように墓石が並んでいる。
少し不気味だ。
崩れている墓石。倒れかけている木などがある。
木がたくさんあり、さっきまであった日差しがない。
とても暗いのだ。
ココロは笑っていた。
なんなら目が輝いていた。
「とってもきれい!写真撮ろう。」
無心で目を輝かせて、独り言を言っていた。
ただ、たしかに綺麗で神秘的である。
「あ、おちつくね~、写真に光うまく入るの?」
ひでは疑問を素直に伝えた。
「よゆう~編集でなんとでもなるし!」
さすがカメラマン自信が違う
好きなことをしている人はとても輝いて見える。
写真を撮っている姿を自分も写真で納めていた。

気持にこの時気が付いたのだ。

ひでは恋愛に慣れていなく、会話がぎこちない。
「もっと恋しておけばよかったな。」
そして、
「あぁ、今日僕は恋したんだな。」

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