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アメリカ本土で最も高い山で、最も低い場所のことを思う

2年半前、アメリカの国立公園を旅した。ヨセミテ国立公園でジョン・ミューアトレイル(JMT)の存在を知ったことは以前書いたが、思い出に残る国立公園はまだ沢山ある。

◇ ◇ ◇

ヨセミテ国立公園の後に行ったのが、デスバレー国立公園だった。デスバレー、日本語に訳すと「死の谷」だ。ここは年間降水量がゼロの時もある、乾燥した地域。塩の結晶が広がるバットウォーターや、デビルズゴルフコースといった見所が沢山ある。

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ヨセミテ国立公園を出た私たちは、レンタカーでデスバレー国立公園を目指した。予約したキャンプ場は灼熱だというレビューを見たので、太陽が沈んでからテントを設営し、太陽が昇る前に起きた。

太陽が昇るにつれ、気温はどんどん上がっていく。この場所がデスバレーというのも納得する。

まずは涼しいうちに砂漠を歩いた。それでも1時間半歩けば、ヘトヘトになった。看板には「Heat Kills」の文字がある。

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車でビジターセンターへ向かうと、今日の気温が書いてあった。ここは世界最高気温56度を観測した場所。10月でも35度あった。

そこで、北米一標高が低い場所があることを知った。

前述したバットウォーターという観光地だった。早速行って写真を撮る。海抜マイナス86m。そして一面に広がる塩の世界。当時はまだ行っていなかったウユニ塩湖への想像を膨らませる。

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その地で観光客の人と話す機会があった。

「不思議な所でね、ここは海抜マイナスなのに、少し行けば4000m超えるんだよ。アメリカ本土で一番高い所がすぐ側にあるんだ」

知らなかった。アラスカを除くアメリカ大陸で最も高い場所が、こんな近くにあるなんて。調べると、マウントホイットニーという。1泊2日や2泊3日で行ける山だそうだ。

その後友人がパーミットを取って、ホイットニーに登った。「いいな。いつか私も行ってみたいな」ずっとそう思っていた。


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ジョン・ミューアトレイル最終日、標高3300mでのキャンプは風の強さから全く眠れなかった。

今日で最後だ。最終目的地はマウントホイットニー。アメリカ本土で最も標高が高い山だ。ここでJMTが終わるなんて、なんてドラマチックなトレイルなんだろう。

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真っ暗な朝5時半に出発する。ナイトハイクから始まり、黙々とガレ場を登った。風が強い場所もあれば、トレイルが崩れている所もあった。雪も残っていた。

ひたすらに歩くこと4時間、とうとうマウントホイットニーの山頂に着いた。それと同時にわたしのJMTが終わった。

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何も考えられないけど、涙が溢れて止まらない。ひとりで全て歩いた達成感と、自然の美しさと。いろんな感情がごちゃ混ぜになって、上手く言葉で表現できない。ただ、これだけは思った。

「あの先には海抜マイナスの所があるんだな」

昔、アメリカのロードトリップで行ったデスバレー国立公園。その時に知ったアメリカ本土で最も高い山。私は今ここにいる。

ホイットニー山頂からデスバレー国立公園は見えなかった。でも私の心は少しだけあの頃へタイムスリップしたのだった。

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