瞑想は"書く"時代へーー「ジャーナリング」とは
瞑想は心の健康を保つ古代の技術ですが、近年、新たな形の瞑想が注目を集めています。
それが「ジャーナリング」です。具体的にどういったものでしょうか?
頭に思い浮かんだことを書き出す「書く瞑想」
ジャーナリング(journaling)という言葉を聞いたことがありますか?
これは、自分の思考や感情、体験を文字にする行為を指します。
このシンプルな行為が、自己理解を深め、ストレスを軽減する効果を持つと言われ、これまでにも多くの研究者が効果性検証に取り組んできました。
その中でも特に注目すべきは、James(1986)による研究です*1。この研究では、大学生を二つのグループに分け、一方にはトラウマや動揺した出来事を、もう一方には日常的なことを書いてもらいました。その結果、トラウマを書き出したグループの心身の健康が向上したという驚きの結果が出ています。
さらに、James(1993)の研究では、毎日感情を20分間書き出すことがメンタルの強化やストレスの減少につながり、数週間から数ヶ月でうつや不安の改善、血圧の低下、免疫力の向上が観察されました*2。
これらの研究以外にも、ジャーナリングの効果を探るための研究は数多く行われています。
それらの研究から得られた知見を一言でまとめるならば、「どんな内容でも書いてみると、不安やストレスが低下し、心身の健康が向上する」ということです。
では、このジャーナリングの効果を最大限に引き出すためには、どのような方法を試すべきでしょうか?
たったの4ステップで、心と精神の健康を高められる!
ジャーナリングの方法はさまざまなアプローチが提唱されていますが、そのうち、もっともシンプルなアプローチを紹介したいと思います。
全部で4ステップあります。
最初のステップ1では、ペンとノートを用意します。使い慣れたもので構いません。書きやすい環境を整えることが重要です。
ステップ2では、テーマを決めます。自分の気持ちや出来事に焦点を当てることで、ジャーナリングがより効果的になります。慣れてきたら、テーマを決めずに書き始めることもおすすめです。
ステップ3では、思い浮かんだことを書き続けます。誤字脱字や考えごとにとらわれず、とにかく書き続けることが大切です。書くことが途切れたときは、その状況についても書き留めましょう。
最後のステップ4では、書いた内容を振り返ります。自分の気持ちや気付きを整理し、新たな気づきを得ることができます。
ジャーナリングは、瞑想の一形態として、またはそれ自体で、私たちの心と精神の健康を高めるための有効な手段となります。ぜひ、今日からジャーナリングを始めて、自分自身との対話を深めてみてください。
(参考文献)
*1 Confronting a traumatic event: Toward an understanding of inhibition and disease.By Pennebaker, James W.,Beall, Sandra K.Journal of Abnormal Psychology, Vol 95(3), Aug 1986, 274-281
*2 James W.Pennebaker, “Putting stress into words: Health, linguistic, and therapeutic implications”, Behaviour Research and Therapy, Issue 6, July 1993, 539-548.
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