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人的資本経営の重要指標「eNPS」とは何か?

昨今、「人的資本経営」という言葉をたびたび耳にするようになりました。

企業が持つ人的資源を最大限に活用し、企業価値を高めるための経営手法ですが、その中で重要指標の一つとして用いられる「eNPS」について見てみましょう。




eNPSとは何か?


「eNPS(Employee Net Promoter Score)」とは、従業員エンゲージメントを表すことのできる指標です。具体的には、従業員に「職場を親しい友人などにどの程度推奨できるか」を0から10までの11段階で回答してもらい、そのスコアによって「推奨者」「中立者」「批判者」に分類します。

具体的に見てみましょう。たとえば、「eNPS」では従業員に次のように質問します。

  • あなたの会社を0から10で評価してください。

  • あなたは会社を他の人に薦めますか?

こうした質問に対して得た回答を「0〜6 :批判者(Promoter)」「7〜8 :中立者(Passive)」「9〜10:推奨者(Detractor)」で分類します。そして、「推奨者」の割合から「批判者」の割合を差し引いた値がeNPSの値になります。

例えば、推奨者が50%、批判者が20%だった場合、「30」がeNPSのスコアとなります。スコアは、−100から+100までの範囲で表されます。高いeNPSスコアは、従業員のエンゲージメントの高さを表しています。反対に低いeNPSスコアは、組織内に不満が広がっていることを示しています。

なぜ、人的資本経営の中で「eNPS」が使われるのか?


人的資本経営では従業員エンゲージメント、つまり、従業員が自分の仕事や組織にどれだけ情熱を持って取り組んでいるかが大切になります。高いエンゲージメントを持つ従業員は、生産性が高く、創造性があり、組織に対するロイヤルティも高いと言われるためです。

こうした従業員エンゲージメントを図る上ではさまざまな活用できますが、このうち「eNPS」は比較的ポピュラーな指標であり、他社比較もしやすいと考えられます。

たとえば、大手保険・SOMPOホールディングスさんでは、中長期的に財務価値・企業価値につながる価値を「未実現財務価値」と呼び、その実現に向けたインパクトパスが可視化されています。各営業店のエンゲージメント関連スコアとしてeNPSが用いられています。eNPSの高い営業店ほど翌年度以降の達成率が高い傾向にあることから、従業員エンゲージメントの向上が品質や業績につながることが記されています。

また、金融業の北國フィナンシャルホールディングスさんでも、社員が働きがいを持てること、社員と会社が対等かつ互いの成長に貢献し合う関係になることを目指しており、その施策の一つとして2022年1月からeNPSを用いて社員エンゲージメントサーベイを実施しています。

メガベンチャー・メルカリさんでも3ヵ月ごとにeNPSを実施しており、「仕事のやりがい」「成長実感」「マネージャーへの信頼」「心身コンディション」という四つの要素をeNPSに影響する課題と認識し、改善のために取り組んでいるといいます。

このように、複数の企業でeNPSを活用して従業員のエンゲージメントを向上させ、組織のパフォーマンスを向上させるための具体的な取り組みを行っています。それぞれの企業がどのようにeNPSを活用し、どのような改善策を実施しているかを理解することで、他の企業でもeNPSの活用方法を参考にすることができるのです。

eNPSを高めることは、組織のパフォーマンスを向上させ、企業価値を高めるための重要な戦略となります。人的資本経営を成功させるためには、eNPSを理解し、それを向上させるための取り組みが必要となります。それが、人的資本経営の重要指標「eNPS」の真髄と言えるでしょう。


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