社内で"学びのコミュニティ"をどう作るか?
社員には自主的に学んで欲しい――人事なら一度は願ったことあるはず。
そのとき、参考になるのが「実践共同体」という考え方です。
学習理論を学んだことのある方なら一度は聞いたことのあることでしょう。
解説します。
「実践共同体」とは、組織内外に作る"学びのコミュニティ"のこと
実践共同体という考え方は、二人の学者・ジーン・レイブとエティエンヌ・ウェンガーの著作『Situated Learning』などで提唱されました。
平たく言えば、特定の知識習得や研鑽などのために生まれた集まりのことです。
身近な例だと、勉強会や研究会が該当します。
さて、実践共同体か否かを決定づける要素として、さまざまな考え方がありますが、一説では次の3つの要素を含んでいると言われます。
この3つの要素を持たない共同体は、実践共同体ではないとされます。
実践共同体は、公式の組織ではない!?
他にも実践共同体か否かを決定づける特徴を見てみましょう。
さまざまな考え方がありますが、概ね共通見解として挙げられるのが「実践共同体は非公式の組織である」という点です。
つまり、実践共同体は公式の組織図では定義されていないということです。
たしかに言われてみれば、社内で自発的に取り組まれている「〇〇勉強会」などが、営業部や人事部などと横並びになっているのはおかしいですよね。
ただ、公式の組織ではないというのなら尚更、社内でこうした実践共同体をどう作るといいのでしょうか?
実践共同体を作るには、その土壌を耕すことが大事
実践共同体は、基本的には自然発生的に生まれるものです。
したがって、例えば人事部などが「社員の皆さん、学んでください!」と旗を振り、何かしらのコミュニティが生まれたとしても、それはあくまで形式上の組織でしかなく、持続性のないコミュニティに留まりがちです。
昨今e-Learningを導入し、それを使って学び合うカルチャーを作ろうとされる企業を見かけます。
表向きはうまくいっているように見せても、裏では人事部が色々と動き回ってサポートし、何とかコミュニティとして成立させているのが実情ではないでしょうか?
もしこうしたご苦労をされているなら、実践共同体の考え方を学んでみることをオススメします。
その上で、人事部ができることがあるとすると、その土壌を耕しておくということでしょう。
例えば、実践共同体がうまく成立した事例に、戦略コンサルティングファーム・マッキンゼーさんの取り組みがあります。
マッキンゼーさんでは、コンサル同士が知識を十分に生かすための様々な仕組みがあります。
事例のデータベースを整備する
実践の武勇伝・物語を聞く機会を増やす
know-howデータベースを構築する
人事としてこうした足場を作っておけば、その後、実践共同体が生まれやすくなります。
これらはあくまで土壌を耕すための取り組みであって、人事部が実践共同体そのものを作ったり、手を貸したりしている訳ではありません。
もどかしくてもじっと待つ。この線引きができるかどうかが、実践共同体を成功させるための秘訣だと感じています。
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