"うつ病"になったからベランダを大改造してもらった話
時を戻すこと、2ヶ月と少し前。
当時の私は、"うつ病"で通院を始めて2週間が経った頃。
服薬を続けても、症状の重さは受診前とほぼ変わらず、苦しくつらい時間を過ごしていました。
そんな4月の下旬の私は"うつ症状"以外に、ある悩みを抱えていました。
それは、5月上旬に迫りくる
MYうつ病サポーター・Yさんへの
"誕生日プレゼント"どうしよう問題です。
私の"うつ病サポーター"は2人います。
Yさん(男性/アラフィフ)
Kさん(女性/ミドサー)
しかし彼らは、家族でも、恋人でも、友人でもない。
2人共、元職場の先輩たちです。
一緒に働いていた、当時の職場環境はこんな感じ。
社内では様々なプロジェクトが同時進行で行われるため、毎回同じメンバーと一緒に仕事をするわけではありませんでしたが、年間の3分の1くらいの割合で、2人と同じプロジェクトに参加する感じでした。
当時の私は一部署のアシスタントという立場でしたが、プロジェクトの実行期間においては、各部署のトップと連携・意思疎通を図りながら、プロジェクトが円滑に進むように全体を指揮するコトが必要なポジションでもありました。
そんなこんなで私は、自分の部署以外の先輩たちともお付き合いしてました。
よく『アットホームな会社』とかいうじゃないですか。
うん。
元・弊社、"アットホーム"の域、軽く超えてた。笑
単純に、家にいるよりも会社にいる時間の方が遥かに長かった。っていうだけじゃない。
なんつうかねぇ。
"家族以上"。笑
まぁ私は"機能不全家庭"育ちなので、"普通の家族"っちゅうモンがどんなモンなのか、よく知らんのですけど。
1日15時間以上も一緒にいるコトなんて、ザラ。
春夏秋冬、ほぼ毎日、職場の誰かと一緒にいた。
海も山も川も滝も、灼熱のコンクリート地獄も、共に乗り越え。
雨に打たれ、風に吹かれ。
寒さに震え、太陽に身を焦がし…。
一体どんな仕事やねん!ってなるかと思いますが、
世の中にはね、そんな"オシゴト"もあるんです。笑
そんな職場の先輩たちは
オヤジであり兄貴であり。
オカンであり姉御だった。
……家族っちゅうより、
"組"かな??笑
もしくは"賊"。笑
元々体育会系のノリは得意。
私はそんな"賊"たちが跋扈する、その会社の居心地が良かった。
性に合ってた。笑
他の部署は、それぞれが専門的な知識や経験・技術が必要な『プロフェッショナル集団』でしたが、特段なーんの才能も能力もない私は『やる気とガッツ&体力!』だけを武器に仕事してました。笑
あと、"少々デカめの声"。笑
私は何故か、たくさんの兄貴や姉御たちに、可愛がってもらいました。
「オギ!今日飲み行くか!」
「メシ食いに行こうぜ!」
「プリンあげるわ」
……うん。
ほぼほぼ、飲みかご飯の誘い、、、
"餌付け"だったけど。笑
でも"組"で"賊"だから。
当然その絆は並大抵のモンじゃない。
なんか、兄弟の杯とか交わしたっけ?ってなるほどのアットホーム感。笑
時折、『仁義なき戦い』のテーマソングが流れてきそうな雰囲気の時もあった。笑
病気や怪我で家から出られないとなると、
ありとあらゆる仲間たちが部署を超えて
「メシ食えるか?!」
「何か要るモンねぇか?!」
「病院、送っていくぜ!!」
と連絡よこし続けてくる。
そんな"アットホーム以上"の職場でした。
そして。
後にMYうつ病サポーターとなる2人も、そんな兄貴と姉御のひとりでした。
しかし今年2月中旬。
私は大好きだったそんな職場を辞めました。
自らの意思で。
自らのケジメと、貫くべき仁義の為に。
そして、さらに重なり続ける苦痛MAXのイベントに押しつぶされていき、私は、"うつ病"を発症するに至りました。
YさんとKさんは、偶然そのイベントに巻き込まれただけの2人。
言い方を悪くすると、 "ただの"職場の先輩たち。
"絆"はあれど、言葉にしてしまうと、ただ、それだけの関係性。
でも2人は、私が仕事を辞めた理由も、これまで育ってきた環境も。
うつ症状が悪化していく過程も、その理由も、すべてを知りながら。
ずっと、私のそばにいて、支え続けてくれた。
"そば"は、物理的な距離感じゃない。
それぞれ仕事があって、別に家族でもなんでもないから、四六時中一緒にいられるワケでもない。
仮に一緒にいられる時間があったとしても、当時の私は2人の『どうにかして荻野を助けたい』という思いからも逃げていた。
何度も"自死"を覚悟しては
「会うのは今日で最後だ」
「もう連絡しないし、しても出ない」
と言い続けた。
でも、2人は。
そんな私の"言葉"にも"態度"にも表せない『助けてほしい』という僅かなSOSを見逃さず、常に、"そば"にいてくれた。
彼ら自身も、悩みながら。
でも、ずーーーっと。
頑なだったはずの私は
彼らに"根負け"しました。
そして、イベントがひと段落した頃。
私はようやく、病院に行くことにしました。
それまでは"死ぬ"コト以外に『一刻も早く楽になる』術を考えることはできなかったけど、ようやく。なんとか。
Yさんは、初診にも連れ添ってくれました。
病院の初診予約が取れたことを報告すると
「そっかー。良かったなぁー。俺も行きたいなー」とか言って。
"ただの"職場の先輩、が。
そうして4月中旬。
私は通院・服薬治療を開始し、"うつ病"であることを診断されました。
しかし、薬効は特に感じられぬまま。
苦しみの中でもがくしかなかった私には、1つの悩みがありました。
5月初旬のとある日。
その日は、Yさんの誕生日、だった。
これまで散々と大迷惑をかけた。
心配かけて、時間を奪い。
私のためになんとかしようと、出来る限りのすべてをしようとしてくれていたYさんの誕生日が、すぐそこまで迫っていた。
プレゼント、どうしよう…。
収入もなく、病気でほとんど身動きも取れない状態で。
何か私が、彼にしてやれること。。。
何かを買って、贈ることはできた。
そうしたかった。
でもYさんは絶対に、ソレを喜んではくれないと分かっていました。
貯金を切り崩しながら、いつまで続くかも分からない闘病生活を送る私から、買って贈られるプレゼントなんか、Yさんは絶対に喜ばない。
例えそれが『タバコ1箱』だったとしても。
喜んだふりしながらも「何してんだよ」と逆に怒られそうな気がしていた。
でも、贈り物以外に、私には何もできない
どうしよう。
でも、何もしないワケにはいかない。
何か『喜んでもらえること』をしたい。
……散々考えた結果、私が贈ったのは
「病気治す為に、チカラになってくれ!!」
と伝えるコトでした。
それまで散々、他人に頼ることや甘えることが苦手で。
彼らからの思いやりや愛情を受け取ることを、ひたすらに拒み続けてきた私ができる、最上のプレゼント。
それは、
頼ること・甘えることでした。
当時の私は、
家にいたくない。
でも外の世界も怖い。
そんな症状に悩まされ続けていました。
家にいると、元気で幸せだった頃の自分を思い出して辛くなるから。
外の世界は、誰かに見られることや、他人の話し声が怖かったから。
だから私は毎日、近所の喫茶店に出かけては、その一番隅っこの席で、耳栓代わりのイヤフォンをして、ただただ日が暮れるのを待っていました。
時折2人も、その喫茶店にやってきて、私の様子を伺ってくれてました。
でも、そんな生活をいつまでも続けるわけにもいかない。
たかだかコーヒー1杯300円ちょっとのお店です。
でも、毎日通えば、相応の金が掛かる。
定休日も、もちろんある。
私はできるなら『家にいたい』そう思っていました。
だから私は。
Yさんに
"ベランダ"を居場所にするから
改造してくれねぇかな?
とお願いしました。
元々YさんはDIY的な作業が大好き。
そして"うつ病"の治療には、陽の光を浴びることが有効的。らしい。
車通りや人通りの多い道に面したマンションの低層階に住む私は、
・道路からの視線を遮る目隠しが欲しい
・日光浴用の椅子が欲しい
誕生日を過ぎ、最初に2人に会えた時。
私はYさんにそう伝えました。
あと、手土産に、自宅の冷蔵庫を占拠していたアルコールを持って。笑
もう当分、薬を飲む為にアルコールはNGだと分かっていたから。
その廃品回収役として、お酒好きなYさんに渡しました。
Yさんは私の提案を喜んで引き受けてくれました。
ちょうどYさんが携わっていたプロジェクトが佳境に迫っていたタイミングだったので「この仕事終わったらすぐ取り掛かるな!」と言って、ルンルンで準備に取り掛かってくれました。
うん。めっちゃ、すぐに。笑
ベランダの寸法、測って教えろ!
と言い。
仕事明け、すぐに送られてきた写真がコチラ。
……私、ひとっことも言ってないんですよ?
ベランダに"すのこ"が欲しい
だなんて。
なのに、気づいた時にはもう、すのこが出来上がってた。笑
我がベランダに合わせた、完全オーダーメイド(オーダーしてないけど)すのこです。
そして数日後。
YさんはKさんを"助手"として引き連れ、我が家に"すのこ"を搬入しに来ました。笑
若干のパワープレイで、室外機を数ミリ動かすという大胆な技も披露しつつ、その"すのこ"は、完璧に我が家のベランダに収まりました。
そして『目隠しが欲しい』と言っていた部分の寸法を再度測り直しては、うんよしよし、見えてきた。と。
「オギ、体調よかったら、これから目隠し用のグッズと椅子買いに行くの、着いてくるか?」と尋ねられ。
その日は体調が良かったので、うん、行くよと。
少し遠くの巨大ホームセンターで、突っ張り棒やお洒落なすだれをゲットし。
キャンプ用品専門店で、リクライニング機能付きのアウトドア用チェアもゲット。
ここは流石にね、自分で支払わせてもらいました。笑
Yさん、何故か財布取り出してたけど。笑
『やってもらうコト』が私からのプレゼントなので。
『買ってほしい』わけじゃなかったので。笑
そして帰宅し、目隠しのセッティング作業が行われました。
外への落下をきちんと予防しつつ、捲り上げれば布団なんかも簡単に干せる。
うん、素晴らしい。
想像していた100倍、いい感じのベランダになりました。
これで、毎日、ここで過ごせるなぁ。
室内にいるのはまだちょっとしんどいけど、
ベランダなら陽にも当たれるし風も感じられて最高だなぁ。
なんて思って、大満足でした。
……しかし、Yさんたちはそれに飽き足らず。
「あとはテーブルが要るな!!」
と、買ってきた椅子の高さに合わせてサイズを測り、後日。。
手作りテーブルが即お届けされました。笑
いやぁ、最初ね。
『ベランダを居場所にする』って言っても
せいぜい30分とか。1時間とか。
なんか毎日そのくらいの時間だけでも
そこで過ごせたらなぁなんてくらいにしか
思ってなかったんですがね。
"いま"は、起きている時間は、
ほぼずっと、ベランダで過ごしています。笑
食事・トイレ・風呂・睡眠。
それ以外は、ほぼ全部、@ベランダ。
こうしてnoteを書くのも、漫画を読むのも、ドラマを見るのも、ぜーんぶベランダでやってる。
マクドや牛丼をテイクアウトした時は、ベランダで食べてる。笑
1LDKだったはずが、2LDKにパワーアップ。笑
わずか1畳ちょっとの場所に、家賃の大半を貢いでるコトになる。笑
目隠しのおかげで、少々強く雨が降っている日でも、雨粒が降り込んでくることはないし。
直射日光が暑い時は、物干し竿からバスタオル吊るして、日陰も作れるし。
タオル濡らせば、少々の暑さも涼しく過ごせる。
うん。めちゃくちゃ居心地が良い。笑
先日2人と一緒にお昼ご飯を食べにお出かけした時には「これからの季節、蚊取り線香が要るな!」と言い出し、急遽焼き物で有名な町までドライブ。
豚の蚊取り線香入れまで買ってくれました。
『ぶぅちゃん』って呼んでます。
こうして、どんどん充実していく私のベランダ生活。
「次は風鈴が要るな!」とか言い出してるので、それは全力で止めてます。笑
だって私、ベランダにいるときはノイズキャンセリングヘッドフォンしてるから。
風鈴の音、私の耳には届かないから。笑
ベランダ生活、いいです。
最近は症状も良くなってきて、室内でも過ごせるようになってきたけど、でもやっぱり、できるだけベランダにいたいなぁって思います。
太陽・風。
これらに当たると、やっぱり少し、気持ちいいです。
"うつ病"治療に有効的な、セロトニンとやらを分泌?活性化??させるのには太陽の光に当たることがイイらしいんですがね。
まぁ、それオンリーの効果かどうかはわかりませんが、最近はイイ調子の日々が続いています。
直射が当たる時間は少し暑いけど、でもそれも、サウナみたいで気持ちいい。
汗だらだらかいて、シャワー浴びるの、気持ちいい。
誕生日プレゼントなのに "やってもらう"
そんなお願いをするのは、なんだか筋違いな気もしていましたが…。
でもこれが、"いまの私"が"サポーター"の2人に贈れる、最大のプレゼントだと思ってます。
結果、楽しんで、喜んでやってもらえて良かったです。
私も快適な"入院治療病室"をゲットできてwin-winです。笑
……。。。
すのこ代とテーブル代は、奢ってもらうことにします。笑
なんせ、"発注してない"んで。笑
「noteで稼ぎたい!」そんな想いで書き綴っているのでは決して無いのですが…。 なんせ無収入の現実です。。。 もしお気持ち・お心添えを頂けることがあるのなら、めっちゃ嬉しいです! 治療に向けての日々のため、大切に使わせて頂きます。