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【目印を見つけるノート】282. 雪で思い出す漫画のこと

あ、なんやかんやで夕方に。
こんばんは。

きょうこちらは雲ひとつなかったのですが、北陸の雪は落ち着いたのでしょうか。
たいへんでしたね。
どうかお気をつけて。

さきほど、ほんの少し見えた富士山です。
じかに見るのは今年初でした。


⚫『草迷宮・草空間』のはなし

もう今は中古でしか売っていないと思うのですが、内田善美さんの『草迷宮・草空間』という漫画があります。私も実家に置いていて、手元には持っていません。
泉鏡花さんの方ではありません。

不思議な漫画でした。
(内容はネタバレになるのかな。漫画には解がありませんが)
大学生の草(そう)くんが市松人形を拾ってうちに連れて帰るのですが、そのおかっぱ人形の「ねこ」は草くんと二人きりのときだけ、「子ども」になります。今風のお話だと、そこからファンタジーになるのでしょうが、そうはなりません。
同級生の「ときふる」や「あけみちゃん」が時たま出てきますが、基本的に二人の生活が淡々と描かれています。「ねこ」はわがままを言ったり、味醂干しを食べたりして、人間のときは着物を着た幼児です。そして草くんに質問を矢継ぎ早やにしてきます。
彼はどこか超然とした青年で、ときどき手こずりながらも、「ねこ」に付き合っています。
草くんはその超然としたところを「ときふる」くんに指摘されます。「あけみちゃん」と草くんがいい感じなのに一向に進展しないからヤキモキしているのですね。
「すべてがおまえの中で同じ比重を占めているなんてこと、女の子には理解不能なんだよ」
草くんは「ときふる」くんに返します。
「おまえは分かってると思ったけど」
「俺はわかってるよっ」
(※会話は記憶で書いていますので、正確ではないと思います)
すべてが草くんの中で同じ比重を占めています。非現実的な「ねこ」の存在も。

単行本の最後の方で、雪が降ってくるシーンがあります。雪に気づいた「ねこ」が草くんのところに駆けてきて知らせます。

「たましいが降ってきたよ」

そして草くんは雪を途切れなく降らせる空をじっと見上げます。

美しいシーンでした。
それ以降、雪が降るとよく空を見上げて草くんの真似をしてみるようになりました。

いのちってどこからくるのだろう。
そう意識する自分はどこからきたのだろう。
たましいはそこらじゅうにあるのだろうか。

草くんと「ねこ」のやりとりを思い出しながら、そんなことを考えてみたりするのです。

雪というとまっさきに思い出す作品です。

⚫桜の写真を

これも先ほど撮った写真です。

『お会式桜』と呼ばれている、長生きの、冬に咲く桜です。
由来を引用します。

弘安5年(1282年)10月13日辰の刻(午前8時)。日蓮聖人が、弟子や信者一同による法華経(ほけきょう)読誦の中お亡くなりになられた時、大地は揺れ動き、庭の桜が一度に時ならぬ花をつけたと伝えられます。
この桜は、今も「お会式桜(おえしきざくら)」として大坊の敷地内に現存しており、毎年、聖人がご入滅された旧暦の10月13日前後から約6ヶ月もの長期にわたり花を咲かせます。
https://www.hongyozi.or.jp/report/0007.html
より引用。

この桜が咲いていると、少し明るい気持ちになります。今年も咲いてくれてよかったです。
どうか、世の桜の花が満開になる頃には希望のつぼみもほころびますように。

それではまた、ごひいきに。

尾方佐羽

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