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【目印を見つけるノート】20. ボブ・ディランの魔法のメモ

Bob Dylanの直筆歌詞が立て続けに販売されています。『The Times They Are a-Changin'』、『Lay Lady Lay』、『Subterranean Homesick Blues』の3曲です。そのお値段はというと、『The Times They Are a-Changin'』が220万ドル、『Lay Lady Lay』が65万ドル、『Subterranean Homesick Blues』が120万ドルだそうです。
Yahooニュースより
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200420-00000477-bark-musi

買えるはずもないので円換算はしませんが、かなりのお値段です。

でもどれも名曲、眼福です。私はBob Dylanの手書きノートが大好きなのです。以前、それで励まされたことがありました。

⚫書くのを再開した頃に

これは今まで別のところに何度も書いてきたのですが、角度を変えてまたやっちゃいます。

私が小説を書き始めたのは2011年のことでした。それが2015年の春に突然まったく書けなくなりました。テーマはあるのに、1000字?いえ、500字も書くことができなくなりました。
理由はいろいろあったのですが、うーん、とにかく困りました。アイデンティティ・クライシスという感じです。
2016年も半ばを過ぎた頃、ようやく再開できました。これには森博嗣さんの本とブログが大きく影響したのですが、それはまた改めて。

『肥後の春を待ち望む』という小説を仕上げるのが再開第一弾だったのですが、かなり根を詰め、本気で取り組みました。国会図書館に終日籠ったり、九州にパッと行ってしまったりもしました。そして、最終盤はネットカフェで徹夜作業です(うちではできません)。夜の8時頃、家事を終わらせてから出かけて朝帰るというのを週末に続けました。
もうできないですね、おそらく。

2016年も暮れようとしていました。
私はふと、ニュースが見たくなってテレビのスイッチを入れました。すると、そこには何と若い頃のBob Dylanが映っていたのです。「ここで会ったが百年目」ではありませんが、しばらく原稿打ちは休憩してテレビに見入っていました。

その年のノーベル文学賞は彼が受賞しました。2016年の12月が授賞式でしたが本人は出ず、代理が「パンクの女王」といわれるPatti Smithでまあ!びっくり。スピーチで緊張されているのがとても愛らしかった。

その記念のドキュメンタリーがNHKで放映されていたのです。
NHKスペシャル「ボブ・ディラン ノーベル賞詩人 魔法の言葉」
https://www.nhk.or.jp/docudocu/program/46/2586886/index.html

そこで彼の直筆メモ(紙だったかな)を初めて目にしたのです。目は文字通り釘付けです。もっとクセ字かと思いましたが、割とサクッと読めました。
などと、人様の字のことをとやかく言える立場ではございません……。

そのメモは私にとって、新鮮な感動でした。
すごかったんですよ! 
書き込みや修正がこう、ガガガーッと。
Bob Dylanほど、詩をたくさん歌にしている人ならば、何の苦もなくスラスラ書いているものだと思っていたのです。
でも、一字一句もじっくり吟味して、納得がいくまで直している。
本当に、感動しました。
私はまだまだだなって。
何が? 書くことへの向きあいかたが。

そのときネットカフェで、私はプリントアウトした原稿に入れた修正赤字を打ち替えているところでした。原稿用紙換算で300枚分でしたか。この作業は意外とダレるんです。「何でこんなところを直そうと思ったんだろう」などと自分に突っ込んでみたりして、グダグダしてしまう。

それが心から頭から、シャキッとしました。
新しい風が流れ込んできたような気分でした。
本当に私にとって、それは魔法でした。

Bob Dylanについては書きたいことがまだあるので、いつかまた書きますね。


⚫手で書くこともときどき

今はキーボードを叩いて文章を作るかたが大半だと思います。その方が速い。私もそうです。でも時々、手で書くようにしています。前に比べて退化したなあと痛感もしています。自分の手で、自分の字で書くことは自分を振り返るとき、特に有用な手段だと思っています。

書いたものがまるまる、「その人」であるように思います。

Bob Dylanのメモに教わったことをないがしろにはしたくないかなと思っています。


⚫お籠りクラフトとバラ

きのうはフォスフォシデライトという天然石をどうしようかなということで、またチャームを作りました。フォスフォシデライトと合わせたのは、アパタイトです。

マットなラベンダー色のフォスフォシデライトは他と合わせるのが少し難しい石です。アメジストのように紫の石がいいかとも思うのですが、質感が違うので違和感がちょびっとあります。そこで……鉱物的に考えました。あ、数字が小文字にできません(涙)。どうかお察しいただけますと幸いです。

・フォスフォシデライトの組成
 Fe3 PO4 2H2O
・アパタイトの組成
 Ca5(PO4)3F

はい、PO4というのが共通しているのです。これはリンと酸素の化合物です。石の見てくれはまったく違うのですが、組成が通じている、よしこれだ!と。実際に組んでみたら、ブルーベリー畑風の色合いになりました。組成で合わせるというのはいいかもしれません。

組成、組み合わせというのはすべて自然の魔法です。組成が分かったとしても、おそらく人間はまったく同じものは作れないと思います。ダイヤモンドも人工のものがありますが(ジルコニア)、ダイヤモンドと同じではありません。
この組み合わせの妙をありがたく楽しめるのが、天然石の世界だと思います。

きのうはアースデイだったのですね。

ここのところ作っているチャームはすべて、機会を見て委託販売しようと思っています。売り上げはあまり期待しないものの、あった分は寄付しようと思っています。

大輪のバラは開ききってきました。まだ茎はしっかりして、がんばっています。

それではまた、ごひいきに。

おがたさわ
(尾方佐羽)

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