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【大国イングランドのリアルなスカウト事情】 ひとチームにスカウトマンが◯人もいる背景には、たくさんの育成のヒントが詰まっていた!

━━━━━━ 140字じゃ語れないことがある

今回は、ロンドンにて3つのサッカークラブのスカウトとして働いているユウキさんをお招きし、以下のツイートについてお聞きしました!

大国イングランドでスカウトとして活躍されるユウキさんに、“向こうのリアル” について存分にお聞きすることができました!
ぜひ、お楽しみください!!

◎インタビュー:シー(OFF THE PITCH Staff)

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【スカウントの数、そんなにいるんですか…!?】


◎シー:
よろしくお願いします!
ユウキさんは、現在はどこのクラブでスカウトをされているんですか?


◉ユウキさん:
現在は、チェルシーアカデミーでインターンをしています。
並行して、スコットランドのプロクラブとイングランドのセミプロクラブでそれぞれ1stチームのパートタイムスカウトとして活動しています。


◎シー:

スカウトについて日々Twitterで発信をされているユウキさんのことを、少し前から「これは現地の様子を覗き見できる!」と思い、個人的にフォローさせていただいていました!

実際のところ、ヨーロッパのスカウト事情はどういったものなのでしょうか!?


◉ユウキさん:
フォローありがとうございます!

スカウト事情はというと・・・
特にイングランド、中でも私が普段活動しているロンドンでは、単純にスカウトをしている人、そしてスカウトを目指す人の数がすごく多いというのは一つ大きな特徴だと思います。

さらには、カバーされているリーグの範囲も広く、1部から一番下の11部くらいまでスカウトの目が行き届いています。


◎シー:
スカウトの規模が大きいことはもちろん、そこまで目が行き届いていることに驚きです…!


◉ユウキさん:
大体どのクラブにもスカウトがいて、アカデミーにも専属のスカウトがいます。

こちらのスカウトはパートタイム、あるいはボランティアという形で働いている方が多いです。
スカウトとしてフルタイムで働いている人は少なく、地域のチーフスカウトやコーディネーター、各年代ごとのチーフスカウトくらいにならないとフルタイムで働いている人はほぼいないですね。
プレミアリーグクラブも例外ではなく、育成年代のスカウトはパートタイムやボランティアが多いです。


◎シー:
そうなんですね。
スカウトの人数でいくと、例えばですがチェルシーには合計何人くらいのスカウトがいるんでしょうか?


◉ユウキさん:
詳しい数字は分かりませんが、年代別で言うと、U7,8,9年代、メイソンマウントやロフタスチークがスカウトされてきた年代には、実に50人以上のスカウトがいると聞いています。


◎シー:
50人・・・(唖然)
とてつもないですね…


◉ユウキさん:
全年代で合わせて8000人以上の選手データを扱っていると聞いたことがありますよ笑


◎シー:
すごい規模で、驚きです!!


【 各レベル感によって変化する “スカウト” の意味合いの違いとは? 】


◎シー:
ところで、ツイートの中に「スカウティングとリクルートメント」という言葉があるんですが、どういう違いがあるんでしょうか?


◉ユウキさん:
基本的に、スカウティングは「選手を探してきたりその選手の情報をクラブに共有する段階」です。
一方、リクルートメントは「実際に選手を入団させる段階」になります。

契約の条件についてや金銭的な話、宗教的な事情や、どの地域なら生活できるかなど、入団に際して実際にクリアしなければいけない部分を担当しています。


◎シー:
なるほど。


◉ユウキさん:
最近は、リクルートメントアナリストという名前で、スカウトからリクルートまで行う役職を置いているクラブも増えています。
日本だと「強化部」という名前でどちらもやっていることが多かったり、スカウトという名前でリクルートメントまでやっている場合が多いと思います。


◎シー:
そうですね、日本ではそうかもしれません。

実際にユウキさんがスカウトに行く際には、どのように行っているんですか?


◉ユウキさん:
ターゲットやクラブによって大きく異なりますね。

例えば、1部に属するチームが獲得したい選手は、基本的に映像やデータ、契約情報に至るまでほとんど知っている状態であることが多いので、その上で「この選手をチェックしに行く」という目的でいくことが多いです。

反対に、8部に属するチームが獲得したい選手は、まずデータもなければ映像もなく、なんならチームシートがないので選手の名前すら知らない状態で見にいくことがあります。その場合は「足で稼ぐ」という表現になりますけど、たくさん試合を見に行って良い選手の情報を集めることが目的になります。


◎シー:
「スカウト」と一言に言っても、データがあるかないかによって、さらには目的によって様々な違いがあるんですね。

ユウキさんがインターンで働いていらっしゃる[チェルシーU23]では、実際のところどんな感じなんでしょうか?


◉ユウキさん:
私がチェルシーU23で所属している部署、Non-League Emerging Talent Scoutの場合だと、ターゲットになる選手は7部〜9部のファーストチームでプレーしている16~19歳の選手たちがターゲットになります。
なのでさっき言ったように「足で稼ぐ」、コーチ伝い、スカウト伝いで情報を集める必要があります。
もちろん、他の部署が他のアカデミーや他の国から16~19歳の選手をチェルシーU23にスカウトしてくることもあります。


◎シー:
なるほど!
カテゴリーの中でもスカウトは別部署に分かれているんですね。
非常におもしろいです!


◉ユウキさん:
そうなんです!
このような事情があって、多くのクラブがパートタイムやインターンシップ、ボランティアでたくさんのスカウトを雇っているんです。


◎シー:
海外のスカウト事情の解像度が上がりました!

・・・次回へ続く!

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<ゲスト紹介>

◉ユウキさん
チェルシーFCのインターンアカデミースカウトとして活動。並行してイングランドとスコットランドのプロクラブで1stチームスカウトとして活動中。
ロンドンエリアの2部~9部+U18~U23を担当し、英St Mary’s大学Football学部に在学中。
▷Twitter:https://twitter.com/talkofterrace?s=21

<運営紹介>

◎ 一般社団法人FiC
「WORK WITH PRIDE 〜誇りと共に働く〜」をコンセプトに、日本サッカー界で起きている様々な問題を解決するべく、サッカー指導者が総合的に学べるコミュニティ事業を展開。10代〜40代まで幅広い年代の、サッカーや指導に想いを持つメンバーが所属する。
現在は、関東圏のみならず関西、そして全国に200名以上の会員を抱え、サッカー指導者が学べる機会や情報のほか、会員一人一人のキャリア支援や、講演会をはじめとしたイベントの企画/運営も実施している。
2021年7月に大阪支部がスタートし、2022年2月には第6期生の募集を終了した。

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<作成>
◎取材:シー
◎文/編集:八田 凌雅


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