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おもひでボロボロ

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ボロは着てて心もボロ
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#友達

2001年のどーでもいい奴

2001年のどーでもいい奴

忘れもしない、ことではなくて、忘れていた話。

インターネットという文明の利器で調べてみると、それは2001年の1月15日。金沢は、十何年かぶりの大雪に見舞われた。

その日1限から大学の授業があった僕は、朝も早くからマンションの階段を降りた。

そこには、小さな雪の山があった。

ああ。そっか。まあそうなるわな。

僕の愛車トヨタマークIIが雪に埋もれていた。何も不思議はない。

積雪量はかなり

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青臭い

青臭い

「青臭いかもしれないけどさ、青臭いことは、言えるうちに言っとかなきゃね」

フッと笑いながら友人が話した夢。いや、夢未満の動機。

以来、それについて話したことは、お互い一度もない。本人も忘れてしまったのかもしれない。

それを僕は憶えている。あながちずれてないなあ、と思いながら。

世界が美しいと言うのは早計だ

世界が美しいと言うのは早計だ

まだ本格的な寒さは来ていない、秋の夕暮れの頃。大学図書館の玄関近くの段差に腰かけて、友達と話をしていた。

「今度、A君と遊びに行くことになったよ」

ふと彼女は言った。

へえ、うまくやったじゃん、A。

彼には以前から、彼女のことを紹介してほしい、と頼まれていた。

「そう」

僕は応えた。

それから一週間くらい経った、ある日の帰り道。

彼女から「この前、A君と遊んできたよ」と報告があった

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神戸

神戸

待ち合わせは19時、JR三ノ宮駅。

2003年の夏、大学時代の友人に会いに行った。

お昼頃に大阪に入り、何となくレコードを見たり三角公園でたこ焼きを食べたりしてから、夕方に神戸に向かった。

珍しく時間通りに現れた彼女の言うがままに連れられて、起伏のある道を少し歩く。

夜の街の喧騒。

春に交通事故で骨折した脚が痛み、時々しんどかった僕は「痛え、痛え」と言いながら歩き、友人はからからと笑った

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夏の花火とクリスタルパーク

夏の花火とクリスタルパーク

大学4年生、2001年の夏。

宝くじに外れるように、僕は全ての公務員試験に落ちた。

うどん屋のアルバイトを一か月でクビになった時も多少は堪えたが、これは親善試合ではない。人生の公式戦での敗退である。

社会から「あ、君は要らないから」と宣告されたような気持ちになる。

それまで要領よく生きてきた僕にとって、横並びから脱落するのは初めてのことだった。

挫折、と言っていい。

友人達は皆、民間企

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