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公共政策の専門家が語る、地域の問題を広く、深く捉えるために不可欠なこと

この夏、福島県南相馬市小高区に1ヶ月滞在し、地域課題を調査するインターンを開催いたします。
報酬あり、交通費補助あり、凄腕コンサルタントの伴走あり。
地域課題を徹底的に考えぬく1ヶ月の地方インターンです!
詳細はこちらをご参照ください!

過去参加者には起業やコンサルタントを志望する方々が参加くださっただけでなく、伴走いただくメンター陣営にも一線で活躍される方々にご協力いただいてます。
メンター一覧はこちらの記事をご覧ください。

今回は、政策領域に特化したシンクタンクの中核メンバーを担われる若生さんに、問題を捉えるコツを伺ってみました。

若生さんプロフィール


若生 幸也
株式会社 日本政策総研 理事長 兼 取締役
岐阜県関市出身。2006年金沢大学法学部公共システム学科卒業、2008年東北大学公共政策大学院修了(総長賞受賞)、2008年に株式会社富士通総研入社、自治体経営や府省受託調査を中心にコンサルティング・情報発信に従事。2011~13年に北海道大学公共政策大学院専任講師として在籍出向。2013年4月に復職し、2020年に富士通総研公共政策研究センター長に就任し、シンクタンク部門の長として対外情報発信の責任者を務める。2021年12月に行政経営グループシニアマネジングコンサルタント、自治体経営高度化・自治体DX分野のチームリーダーを務める。2022年4月より日本政策総研副理事長・研究主幹。2023年4月より日本政策総研理事長・取締役。

聞き手:原田 以下Q
話し手:若生さん 以下A

公共政策コンサルタントの活動内容とは?

Q:本日はよろしくお願いいたします。
まずは若生さんの活動について教えていただけますか?

A:主な活動は、日本政策総研というシンクタンクで、公共領域に対するコンサルティングです。
例えば、南相馬市でCIO補佐官として、市全体のデジタル化や業務改革の支援をしています。
他にも自治体で「総合計画」と呼ばれる中長期戦略の立案や地域課題の議論に参画し、必要な施策を検討する支援もやりますね。

もう一つの軸として、情報発信活動も積極的にしています。
最近では、マイナンバーカードに関する解説でテレビに出演したりしました。
その他には、論文執筆、講演や研修活動をはじめ、新聞やメディアにコメントを出すなど。
シンクタンクの仕事は多岐に渡ります。

Q:情報発信の内容としては、どのようなテーマが多いのでしょうか?
A:最近は、デジタル化や自治体DXと呼ばれる取り組みが国や地方自治体で進められています。
このようなテーマについて、自治体の方々や一般の方々に対して「こんな観点で考えたらいいよ」や「こういうことをやるべきではないか」といった情報を分かりやすく伝えています。

Q:公共部門に対するコンサルティングで重要な点はどのようなことでしょうか?
A:事業やサービスの先にいる地域の住民や事業者が抱える課題を適切に把握することが大事です。
そもそも、自治体が提供する施策や事業は、地域住民の方々や事業者の問題を解決するために行われるわけですよね。
例えば、南相馬市でジャンボタクシーを走らせるのも、地域の課題が前提にあって施策や事業が組まれるというのが本来の流れです。
したがって、施策や事業を組む背景として地域課題に対する本質的な理解が当然必要になります。
しかし、自治体によっては地域課題に向き合わずに事業を進めてしまうこともあるんです。
このような際は、事業自体の見直しや、より良い改善策を提言するべく私たちが取り組みます。

問題解決に不可欠な「具体と抽象の往復」

Q:まさに今回のリサーチインターンの内容とすごく近いですね。インターンでは、地域の本質的な課題を見つけることがテーマですが、若生さんの具体的なアプローチ方法についてお伺いしたいです。

A:データがあれば統計データを見て、関係者にインタビューし、これらの情報を構造化して、要因を明らかにする流れです。
そして、他地域や企業などの取組を参考にし、地域課題に合致した取組を検討します。
基本的な問題解決手法を使い、地域の本質的な課題を見つけるために思考を深めることが重要です。
構造的な問題をどう捉えるかで言うと、なぜを5回繰り返す、みたいなトヨタで言われることも重要です。

Q:私自身去年参加してみて、どうしても目の前の課題に飛び込んでしまいがちでした。若生さんが本質的な課題を見つけるために意識されていることは何ですか?

A:まず、問題の「広さ」と「深さ」を見ることが重要だと考えています。
公共部門が取り組むべき1番重要な課題は生命や財産の侵害を防ぐことです。
住民の死亡を減らすという意味で言うと、これは自治体課題としては深いわけですね。
一方で、より多くの人が働けるような産業を小高に作り出すという発展的なテーマもあります。
一見比較すると、生命財産の方が基本的には優先順位が高い。
しかし、産業創出をやらないと地域的には沈没してしまう。
そのための関連した問題を広く見て検討する必要がある。

そのあたりの優先順位を強く意識していますね。

次に、具体と抽象をきちんと往復させることです。
例えば事例を事例で捉えてそのまま終わりじゃなくて、この事例から何が言えるんだろうか?と考える。
また、事例Aと事例Bと事例Cがあったときに、共通の要素ってなんだろう?と括ってみる。
共通してうまくいっている点、うまくいってない点はなんだろう?の言語化を試みる。
これがコンサルタントの能力として非常に重要で、活躍している人の多くはこの「抽象化力」を身につけています。
たとえコンサルでなくても、この力が未知の問題に対する解決策を導き出すためにすごく重要です。

最後に、問いを立てるためには、自分なりの基準を持つ必要があります。
例えば地域課題を見つけるためにも、自分の出身地域と南相馬市を比較して初めて、「なぜ?」という問いが生まれます。
その意味では、南相馬市小高区に住んだことのないインターン生は、普段は他の地域で暮らしているので、既に比較対象を持っている。
1か月暮らすこと自体にすごく価値があると感じます。

最先端の課題が詰まっている。
リサーチインターンの意義とは?

Q:リサーチインターンのテーマは、地域の課題を見つけることです。今回のリサーチインターンに参加する意義についてお聞かせください。

A南相馬市小高区は日本の最先端の地域課題を持つところだと思っています。住民全員がいなくなった地域は普通ありません。
その上で、そこから何を創り出すか?という最難関レベルの地域課題に向き合うことが価値だと捉えます。

また、何もなかったところから未来を創り出そうと、必死でもがいている人たちと間近に接すること自体も価値ある体験です。
彼ら彼女らがもがいた結果として生まれたいろいろな取り組み自体、とても筋の良い取り組みが多いと評価します。
これを間近に見られることには大きな価値があると思います。

Q:リサーチインターンのメンターとしてご協力いただける理由をお聞かせください。
A社会に問題解決をする人がたくさん必要だからです。
のほほんと生きない人が増えることが重要だと思います。

Q:学生にとって今回のリサーチインターンに参加する意義について改めてお伺いしたいです。昨年のインターン生の成長についても教えていただけますか?

A:「使えるものは何でも使う」という意識が生まれることではないでしょうか。
昨年のインターン生も、最初のうちは自分で何とかしようとする思いが強かった印象を受けました。
しかし、最後の方になると自分でいろいろな人に聞かないと分からないということで積極的にアポイントを取るようになりました。
インターンのゴールは問題解決の提案を出すことなので、そのあたりにいる大人を使い倒せば良いと思います。

社会に出ると、結局自分だけで頑張ろうと思っても絶対に限界があり、組織の中でいろいろな人たちと協働しながら物事を前に進めていかなければなりません。
この目的思考・ゴール思考、 そのためには手段を選ばないという姿勢が身につく点が、最も意義があると思いました。

若生さんからのエール。一緒に学びましょう!


Q:最後に、リサーチインターンに申し込みを考えている学生に一言エールをお願いします!

A一緒に問題解決ができるように勉強しましょう。
社会に出ると問題解決することがたくさんありますので、このインターンがそのきっかけとなれば良いと思います。ぜひチャレンジしてください。

編集後記

シンクタンクで働く方の言葉は説得力がありますね。
具体と抽象を往復的にするためには、構造化ができていることが不可欠。
まさしくリサーチインターンで必要な力についてお話しいただきました。

そして、「使えるものはなんでも使う」というポイントはまさしくです。
外からやってくるからと言って遠慮をせず、聞きたい方へのアポどりや移動の足でも、目的と目標の方向に進むべく頼れるチームとして活用してください。

改めて若生さん、ありがとうございました!

夏の地域滞在型調査インターン 
6月30日二次募集締め切り!詳細はnote記事へ。


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