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南相馬の「農と食」を考える③-小高工房 廣畑裕子さん-

Next Commons Lab 南相馬(以下、NCL南相馬)では、南相馬での「農と食」に関わるテーマで事業を立ち上げるメンバーを新たに募集します。
この記事では、既に南相馬で「農と食」に携わる方々にインタビューを行い、それぞれのプレイヤーの活動内容や南相馬の魅力についてご紹介します。

小高工房 廣畑裕子さん

本連載の最終回、お話をうかがったのは、南相馬市小高区で事業を営む小高工房の廣畑裕子さんです。
移住してきた人達に対していつも温かく迎え入れてくれる、「地域の母」的存在の廣畑さん。
小高工房が販売する「小高一味」をはじめとした唐辛子製品は、辛いだけではない美味しさが病みつきに…。
廣畑さんや小高工房の魅力を探るべく、いざ突撃!

小高工房の事務所と廣畑さん

事業内容

―まずは小高工房の事業内容をお伺いしてよろしいでしょうか。
廣畑さん(以下敬称略):小高工房は南相馬市小高区で、主に国産唐辛子の生産・加工・販売の「七次化」事業を行っています。

―「六次化」ではなく「七次化」とはどういう意味が込められているのでしょうか。
廣畑:通常の「六次化」だけではなく、小高工房では唐辛子の生産・加工・販売の過程の中で「人と人とを繋げる」ような「七次化」の役割を果たしています。農家だけで六次化産業を作っていくには時間的や知識面のハードルがあり、限界があります。震災後色んな人たちが集まってくる場として、「人との繋がり」の価値を発揮してきた小高工房だからこそ、「七次化」を掲げてただ唐辛子製品を作って売るだけではない事業を心がけています。

―唐辛子を商材として扱うに至った経緯を教えて下さい。
廣畑:小高区で避難指示が解除された2017年ごろ、何もなくなってしまった町になにか作れないかというところからコミュニティスペースを作ったのがきっかけです。そこに集まる人たちの話の中で、せっかく作物を作っても鳥獣に荒らされて困っているという話を聞きました。そこでその現場に行ってみると、たまたま唐辛子だけが荒らされずに残っていたんです。「あれ?唐辛子なら動物に食べられずに栽培できるんじゃね?」みたいなところから唐辛子の栽培を始めたのがきっかけです。

小高工房の看板商品「小高一味」

―商品を実際に作って販売する上で工夫されたことなどはありますか。
廣畑:三種類の辛さの一味を作って、他の唐辛子商品との差別化を考えました。お客さんに手に取ってもらえるように、パッケージのデザインなんかも工夫しましたね。「被災地商品」みたいなことはやりたくなかったので、いかに「いかに商品を手に取ってもらうか」、「美味しくなければ2回目は買わない」を念頭に商品開発をしてきました。

南相馬という場所

―小高で事業をやることのメリットって、どんなとこにあると思いますか。
廣畑:地域の人が応援してくれやすいところじゃないかな。みんな「応援したい」と思っていても、どう応援していいかわからないということはよくあります。なので「困ってます!!」ってことをオープンにすることは大事。唐辛子事業始めた時、ある人に手伝いをお願いしたら「おら、やんねえ!」と断られたんだけど、次の日には両手に材料抱えて持って来てくれたり。人の温かみが感じられる場所だと思います。

―なかなか東京では味わえない地域の空気感が伝わってきますね。
廣畑:そうですね。東京では町に自分が所属しているという感覚が軽薄になりがちですが、小高では自分が「町の一員」という感覚があります。歴史的に移民の町だからよそ者にも寛容です。かといって、変にみんなベタベタしているわけでもなく良い意味でドライです。私はこれを「お隣さんが困っていたら代わりに救急車を呼んであげるぐらいの付き合い」と呼んでいます(笑)

ゆずを両手にお話しをしてくれる廣畑さん

―なかなか知らない土地に来てチャレンジするのは難しい部分もあるかと思いますが。
廣畑:失敗したって何回でもチャレンジできます。さっき言ったように困っていることをオープンにすることで助けてくれる人はいくらでもいますし、人との繋がりはこの地域の魅力です。実際に人気商品である坦坦焼豚うまくて生姜ねぇ!!も、人に繋いでもらったり、声をかけてもらって実現した商品です。

どんな人に来てほしいか

―今回NCL南相馬では「農と食」に関するテーマで起業する方を募集していますが、廣畑さん目線で「こんな人に来てほしい!」というアイデアがあれば教えてください。
廣畑:何か自分のやりたいことを持っている人に来てほしいですね。何かしら自分の価値観を持っていて、それを表現できる場所が小高だと思っています。

―確かに、この地で活躍されている方は何か自分の価値観を強く持っている人が多い気がします。
廣畑:変な話、引きこもりでもいいと思っているんですよ(笑)それってその人がその人らしくあるための表現であって、何かを探しにくる場というよりは自分を表現する場として南相馬に来てくれると嬉しいです。

東北芸術工科大学の学生が小高工房の建物に描いた壁面アート

Agripreneur Projectについて

プロジェクト概要

Next Commons Lab 南相馬では「予測不能な未来を楽しもう」をテーマに、南相馬 で次世代のサステナブルな「農と食」にチャレンジするプレイヤーを募集します。

求める人材

農や食をテーマに、既存の概念に捕らわれず新たなチャレンジをしたい人(3 名程度)

採用に関するお問い合わせ

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