小児の新型コロナの特徴、食物アレルギーのスキンケアについて ~第31回日本外来小児科学会年次集会参加レポート~
こども、未来、つなぐ。
オーシャンキッズクリニック院長の日比です。
今日は、当院の健康に関するモットーである、
「まずは、腸からはじめよう。」に少し関係があります。
毎年、夏の終わりごろに、日本外来小児科学会の年に一度の集会があります。コロナ禍で、オンラインが増えなかなか現地参加していませんでしたが、今年は8月27日、28日と福岡で開催され、久しぶりに現地へスタッフと共に勉強に行きました。
大きくてきれいな会場で、コロナ禍で準備も大変だったであろうと思うと、運営の皆様には感謝しかありません。
この学会は、小児科開業医を中心とした小児医療関係者が会員となり、日常診療の向上をはかるための会と認識しています。多くの小児科開業医がこの日に休診してしまうのはそのためです。勉強のためだから、ご容赦くださいね。。。
オンラインの講演や発表でも勉強に変わりはないと思っていましたが、やはり現地での臨場感やオンライン配信されない発表、企業展示やポスター展示など、現地参加の意義は大きかったです。
1.新型コロナウイルスについて
やはり、新型コロナの話題は多くありました。感染者の危険因子は、濃厚接触者以外には、38度以上の発熱、頭痛が有意な危険因子だとのこと。いずれも該当しない場合は、検査を急ぐ必要はないと思いました。
第5波までは、熱性けいれんの合併は少なかったのですが、第6波以降は次第に増え、5歳以上でも起こることが報告されていました。当院でも経験されています。決して軽症者ばかりではないのです。
ビタミンやミネラルが感染の予防や重症化に重要との報告は、以前から多々認められます。しかし、それをサプリメント単体で摂取するのは大変ですし、そもそも小児用のサプリメントはほとんどありません。また、検査もせずに当てずっぽうに摂取すれば過剰摂取になる危険性もあります。やはり小児こそ、食事が重要でしょう。
ちなみに、ミネラルについては、今回の学会で私も発表をしました。
「現代人は様々な要因からミネラル不足は避けられない。ミネラルは体内で合成できないので、食事から摂取するしかない。重要なのは、魚介類と野菜である。」みたいな発表でしたが、会場の皆さんにはあまりピンとこなかったようですが、決して個人的な意見ではなく、やはり専門家も同様のことを報告しています。
米ジョンズホプキンス公衆衛生大学院の発表です。
(糖尿病ネットワークHPより)
やはり、私もそろそろ50歳に近づきますので、自分自身の食事を見直すきっかけになりました。
2.食物アレルギーについて
食物アレルギーのシンポジウムに参加しました。乳児期からの湿疹のコントロールや、離乳食は遅らせないこと、アレルギー食でも安全な範囲でなるべく摂取することなどは、ここ最近の大きな診療方針変換の流れのようです。
今回驚いたのは、以前までは「スキンケアが食物アレルギーを予防する」と言われていましたが、ハイリスクのお子様以外にはあまり効果が無いということでした。もちろん、スキンケアしたほうがいいけれど、それだけで食物アレルギーが防げるわけではないということのようです。むしろ、わずかな量を早期からいろいろ食べさせた方がいいという報告もありました。つまり、大事なのは、皮膚よりも「腸」なのだと解釈しました。よく考えたら、皮膚も腸もつながっており、いずれも外界に接していますから、両方とも重要なのでしょうね。特に乳幼児にとっての腸は、初めての食べ物が次々やってきます。必要なものは取り入れ、不要なものは排除する。その働きにとって重要なのが、腸内フローラ(マイクロバイオーム)と考えています。
腸内フローラは、1歳までに劇的に変化し、およそ3歳までにほぼ決まってしまうことを考えると、母乳栄養や補完食(離乳食)が、ますます重要になってきていると感じました。
3.結論
この学会は、小児科開業医にとっては勉強になるだけでなく、すぐに臨床でも役に立ちます。つまり、すぐに患者さんに有益な情報や治療を与えることができるので今後も参加していきたいと思います。研修医や医学生や、コメディカルの方も参加できる数少ない学会です。企業様の展示も充実し、多くの企業様の製品に直接触れられる数少ない機会でもあります。
第32回の来年は、横浜。
第33回の再来年は、高山。実は、この33回の実行委員に任命されました。
2024年9月 in 高山。会頭は岐阜の矢嶋小児科循環器クリニックの矢嶋茂裕先生。さるぼぼと赤。覚えておいてくださいね!地域貢献や出典企業様にとっても有意義な会を目指しておられます。
子育ても、健康管理も、
まずは、腸からはじめよう。