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花しぐれ、桃源郷を見た〜新長谷寺藝術祭「十一面」に行ったら心を奪われた話〜

「現代アートデザイン×お寺」
「新しいものと古くからあるもの」
ある種、性質の異なるこの2つが、混ざり合い重なり合って、作り上げられた不思議で面白い空間が広がる新長谷寺の藝術祭「十一面」へ行ってきました。

本当に、ほんっっとうに素敵な藝術祭だったので、目を通して頂き、足を運んでいただけると尚一層、いや、そんな堅苦しいことではなく、ただ単純に、この感動をシェアしたいいいい、誰かと共有したいいいが本音です。かっこつけて、すみません。
感動溢れて書きたいこと山ほどあるし、まだまだ整理できていないのですが、この想いを伝えたくて、僭越ながらnoteにしました。

新長谷寺を舞台に開催されている藝術祭、その名も「十一面」は、新長谷寺の御本尊である十一面観音自在菩薩に因んでいるそうです。12人の多彩なアーティストさんたちが作品を展示されています。

現代アートを語れるほど芸術に肥えているわけではないのですが、シンプルにアートやお寺が大好きで、学生時分から寺巡りや美術館巡りをしていたので、十一面の藝術祭が始まる前から楽しみで密かにインスタをストーカーしていました(気持ち悪くてすみません)

とうとう開催されたーーー!!と、思ったら私の(勝手に)心の恩師でフリーライターの村上智子さんが十一面に行かれていた写真や記事を目にしました。

その記事に「雨さえも表現にとりこんだ作品」という言葉が…

なんだこの超絶気になる文言に作品…。雨をも芸術に変える新長谷寺の美しい景色の写真に心を奪われた私は、

晴れたら行こう〜

なんて呑気なこと言ってましたが…

これは

こ、これは

むしろ雨曇りの日に行かねば!!!

と、気持ちが変わり、急遽予定を変更し十一面に行こうと決めました。

だって、こんなにも雨を味方に取り込んだ作品展があったでしょうか…バンザイ雨曇り、最高のエモさ。
古来の日本人が愛してきた陰翳の美しい風景と現代アートをはやく体感したい。日曜日行こうと思ってたら、村上さんを始め、次々と友人たちが上げていく写真にどんどん楽しみが膨らみました。爆発しそうでした。

そして待ちに待った当日。
着いて早速、目にした作品が、こちらの作品でした。

新長谷寺名物、枝垂れ桜と佇むお堂に鮮やかな水平。
桜とのコントラストに思わずうっとりです。うつくしい。写真で撮るとまた尚良き。
すーーっと消えていきそうな、でも力強い不思議な気持ちにさせてくれる水平です。そして、今思えば、この時から藝術祭という名の冒険が、始まっていました。スタート地点から心を奪われる仕組みが出来上がっていたということか。恐ろしいぞ十一面!!!

入口の説明書もクリエイティブ!!こんなおもしろい設置の仕方を一体誰が考えたんだろう。さながら戦国時代にお城の入り口にすごい大きな石(鏡石)を置いて大名たちをビックリさせたクリエイティブ戦国武将、豊臣秀吉のようだ。現代の豊臣秀吉やで…とよくわからないツッコミを心中でしてしまいました。※織田信長もやってたそう。

たまたま赤い服を着て行ったので、おそろっぽくなってしまいました。十一面のロゴもオシャレすぎます。そして雨の新長谷寺は、懐かしいような清められるようなそんな厳かな雰囲気に満ち溢れています。

この作品を見た瞬間、やっぱり今日、雨、雨で、雨だから、よかっっったーーーーー!!!!と心の中で合掌しました。雨の雫と作品のコラボレーションは、悪天候というデメリットでさえメリット…いや、それ以上のものに変える力を持っています。

色彩鮮やかなアート。十一面観音さまの1日を描かれているそうです。かわいくてポップな観音様が素敵です。子どもたちも目をキラッキラッさせながら、わーお!!と喜んで眺めていました。それにしても、十一面観音さまとっても可愛い。

その近くには、旦那さんイチオシの作品「山風」がありました。四国中央市のある意味名物、やまじ風からインスピレーションを受けた作品だそうです。滋賀県出身の旦那さんはめちゃくちゃ共感できたらしく、自然の力を表現しているこの作品がおもしろい!と感動していました。写真は下からですが、上から見てもまた違った姿を見せてくれて面白かったです。

道中、無茶苦茶、エモい唐箕発見しました。

助け合いながら登る兄弟に成長を感じつつ、息子が1番興味を示し、ちょっと怖いけど、好きと言った作品へ。

「過去は消えていくもの。忘れられるもの。そんなのはいやだ。」
まず、この言葉にドキッとしました。そして、この作品の想いにビビッときたのは、長男ではないだろうかと感じました。「好きだけど、ちょっと怖い」と言いだします。この好きだけどちょっと怖いと思う感覚、わたしにも経験のある感覚です。なんかリンクするんですかね?人の魂がこもったアートをみてリンクした時、すごい!!!という気持ちと同時に、見るのが怖い!という謎の感覚が湧き上がります。なにかといわれるとわからないのですが、なにも言わない作品が言葉以上に想いを伝えてくれた瞬間なのかな?と感じました。

つづいて、村上さんの記事でもみた「雨さえも表現に取り込んだ作品」へ。私のこっそり推しメン大西満王さんの作品でした。「御真言」という書の作品。自然との一体化も表していて、朽ちていく姿をも芸術に変えていました。深い、深すぎる、とてつもなく味わい深い作品だ。こちらの作品の変化は村上さんの記事を見ていただくとさらに感動します。わたしも1日目撮影したかったーーー!

自然に還る書と和紙

そして、長男が隠れミッキーの如く、見つけながら歩いた素敵な短歌や文字の作品たち。この作品のお陰で歩かない男日本代表の長男がなんと歩ききりました!
見つけては、なんて書いてる?と聞いてくれるので、目で見るだけでなく、声に出して読み上げることで、その言葉の響にも癒されました。自然に溶け込むように展示されており、文字が風景とマッチしています。

そして、個人的に心を奪われた作品がありました。「桜を泳ぐ」というテーマの作品です。桃源郷があったら、きっとこんなところなのかしら…と思うほど、ため息がでるほど、美しかったです。散りばめられた鏡に雨粒と桜の花びらが広がり、鏡の中を覗けば、美しい桜が透き通った水面のように映ります。

写真では伝えきれないのが悔しいのですが、霧がかった山が背景に写り、この世のものとは思えない景色でした。ほんっっっっとうに桃源郷でした。涙出るかと思った。

上まで登ると、グッズや作品が展示されています。このガチャガチャを見つけた瞬間、ガチャガチャする!と一目散に走っていく長男。仏教の餓鬼をモチーフにしたパンクでクールなステッカーたちが入っていました。

うれしそうな顔

本堂近くの護摩堂では、美しい切り絵の作品がありました。「不死鳥」だそうです。神様を具現化してくださったような神々しさを感じます。まさに神業!今にも羽ばたいていきそうな躍動感、力強さを感じます。切り絵を通して、映し出された陰も美しく、その繊細さに多くの人が魅了され、写真を撮っていました。

ショップにいたアーティストさんが「長谷寺の蝶」の作品を作られている作家さん、内海敦彦さんでした。藝術祭のことや作品のことなど、たくさんお話をして頂き、ありがとうございます。
実は、私、内海さんの作品のひとつである透明な蝶を見たいと思いつつ、見つけられないまま山頂まで来てしまっていました。
お話している時に、優しい内海さんから、蝶の切り絵のあった場所にあります。と教えていただき、帰り道「長谷寺の蝶」の場所へ戻りました。

切り絵の蝶の場所へ

そしたら、なんと!!!!透明な蝶が!!!
ありましたーーーーーーー!!!!!!!!

透明な蝶を無事に見つけることができましたー!!家族総動員で探してもなかなか見つけられなかったので、見つけた瞬間は、「おわーーあったぞーーーー!!!」と年甲斐もなく大喜びしてしまいました。子どもたち以上にはしゃいでしまった。
でも、めちゃくちゃ嬉しかったです。雨粒を輝かせながら桜の枝に止まる透き通った羽のちょうちょ。
諸行無常の響きあり…青空バージョンも素敵だろうなぁ…晴れてる日も見にこよう…と心に誓うのでした。

その他、実は、ゆっくりと見れていない作品、撮りきれなかった作品がまだまだあります。心残りだらけです。映像作品や便所ドラム客殿の作品などなど本当にまだまだ見どころたくさん。次もリベンジしようと思います。

そして、道中で見つけた花時雨のなかの新長谷寺に芽吹く春の植物たちの美しさも芸術的だったので撮影しました。

自分の好きなアートを探したり、作家さんたちの想いに心を揺さぶられたり、共感したり、感動したり、日常に溶け込む非日常に、子どもたちも、私たちも、とても良い刺激を頂きました。また、家族でも、好きな作品が違い、みんなのお気に入りの作品を話したり、見たりすることができたことも面白かったです。

藝術祭は、4月2日まで開催されているそうです。イベントやワークショップもあるそうなので、是非行ってみてください。そして感動を共感しましょうううう。最後に、長男は餓鬼ステッカーお気に入りでさっそく自分の道具に貼っていました。


新長谷寺藝術祭 2023 
十一面(JU−ICHIMEN)
3月24日〜4月2日

新長谷寺(四国中央市寒川町3214)
料金 : free

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