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翻訳小ネタ/鴨は洞穴を目指すか?

村上春樹訳、レイモンド・カーヴァーの短編集『頼むから静かにしてくれ』に所収の「鴨」The Ducks の冒頭。(太字強調は引用者、以下同様) 「洞穴」をめざして飛び立ったはずの鴨が「沼地」に降りるというのは少し違和感を覚えました。加えて、個人的には「林の奥にある静かな洞穴」といわれると鴨が洞穴(ほらあな)で雨宿りしている牧歌的な光景が頭に浮かんでしまいますが、仮に読者がそういうイメージを抱いてしまうならこの訳は失敗……という気がします。 原文は以下の通り。 鴨が目指す「

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    • note 記事のバックアップ用スクリプト

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      • 誤訳の旅/村上春樹訳ジョン・チーヴァーその他

        とりあえず村上春樹訳のジョン・チーヴァーはこれで終わり。といっても『巨大なラジオ/泳ぐ人』(新潮社 2018)を読んだだけだが。読みながら気になって確認した箇所を二点、どちらもわりとどうでもいいといえばどうでもいい。 「愛の幾何学」 「愛の幾何学」The Geometry of Love。初出は1966年『サタデー・イブニング・ポスト』掲載。(引用部分の太字強調は引用者、以下同じ) この短編は数学とか幾何学のタームがいろいろ使われているのが面白み(?)のひとつではある。

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        • 誤訳の旅/ジョン・チーヴァー『ああ、夢破れし街よ』:「刮目すべき資産」という訳は可能か

          ふたたび村上春樹訳のジョン・チーヴァー。今回は『巨大なラジオ/泳ぐ人』の二作目に収録の「ああ、夢破れし街よ」O City of Broken Dreams から。原著は1948年『ニューヨーカー』掲載。(引用部分の太字強調は引用者) 主人公夫婦と娘が一家三人でNYに向かう電車の中のシーンです。五歳の女の子が古びた毛皮のコートを「刮目すべき資産」のようにさすっている………「刮目すべき資産」とはいったい何か? この原文を見て「まあ誤訳だろうね」と思った人はこの記事のつづきを読

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        • 名作の誤訳を味わう

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          海外文学などの日本語訳で見つけた誤訳あれこれ

        • 翻訳小ネタ集

          • 2本

          海外文学などの翻訳について考えたこと、誤訳とはいい切れないけど気になる翻訳、その他

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          • 誤訳の旅/ジョン・チーヴァー『泳ぐ人』:背中なのか尻なのか

            村上春樹訳のジョン・チーヴァーの短編「泳ぐ人」The Swimmer から。原著は『ニューヨーカー』誌上に1964年発表。有名な短編です。 小説のわりと冒頭から引用します。(太字強調は引用者、以下同じ) 太字にした箇所に違和感があったので原文を確認しました。 問題は単純で、"give someone's backside a smack" に類する表現は「背中を叩いた」でいいのか、という点です。もっと端的にいえば backside は「背中」か? ということ。ここで「あ、

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            • ジョン・チーヴァー『四番目の警報』:「貸与品」とは何か

              村上春樹訳のジョン・チーヴァーの短編「四番目の警報」The Fourth Alarm を読んでいて気がついた(気になった)こと。 この場面は、いろいろあって主人公が登場人物がみんな裸で性的な行為をやってみせたりする前衛演劇の舞台を見に行き、あれこれあって自分も服を脱いで舞台に上がろうとしている、という場面です。訳者の村上春樹によると、この作中の演劇は出演者が全裸になることで話題を読んだ実在のミュージカル『ヘアー』を元ネタにしてるのではとのこと。原著の初出は1970年の『エス

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              • 誤訳の旅/ミシェル・ウエルベック『素粒子』:レーユヴァルデンは何処にあるのか

                最近小説読んでないな、と思って寝る前に適当に本棚にあったのを読み始めたんですよね。たまたま手にとったのがミシェル・ウエルベックの『素粒子』でした。読んでいるのは野崎歓訳で筑摩書房から2001年に出た邦訳です。(以下の記述はこの単行本の話なので、文庫化時その他のタイミングで修正されてる可能性はあります。) 最近英訳で話題になったチリのベンジャミン・ラバトゥ(Benjamín Labatut)とか思い出しながら、そういえば二十世紀科学史的な蘊蓄を物語のフックにするやり方はあるな

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