考えないために走る
白、赤、青、さまざまな色の屋根や車が、茶色い濁流にのまれる映像が、面前の大きな画面に映し出されている。そしてその数日後には、テーブル脇の小さな画面のまたその先にぼんやりと映し出された原子力発電所の建屋が、白い煙を吐き出していた。私たち家族が住む東京から北にわずか200km離れた原発だ。
それから、ちょうど49日後、東京から西に250km離れた北信州に妻と3歳9ヶ月の娘を伴った自分は、はじめて滞在する村営ホテルの部屋から、縁あって自分だけが見慣れたゲレンデを見つめていた。
山菜