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PLANETSCLUB ランニング部 走るひと 立ち食いそばが好き 食いしん坊

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マガジン

  • 食べるふたり-食にまつわる往復書簡

    • 10本

    食べることに対して貪欲なアヤモと食べることの楽しみを見つめ直したいシュニチ。 食べたものの感想や自宅での調理で感じたことなど、往復書簡を通して暮らしの中の食の楽しみを見つける機会になればいいなと思います。

  • WE Run | Write, Eat, Run

    • 266本

    私たちが(そして誰かが)走り続けるためのリレーマガジン

最近の記事

#4椎名町『南天』で、いつもの肉と四季を感じて食べる蕎麦(食べるふたり第7回)

シュニチさん 年度末、何かと忙しい人も多い時期だとは思いますがいかがお過ごしでしょうか。 私も忙しい日が続き、疲れたときこそ美味しいものが必要だなと強く感じています。 前回紹介していただいた俵形が3つ仲良く並ぶ『洋食の辰五郎』のプレートは、見た目も可愛らしく、この子たちと並んで私もデミグラスソースの海に溺れてみたくなりました。 そのくらい愛おしいハンバーグとカニクリームコロッケを、いつか食べてみたいと味の想像をしながら眺めてたところ、口の中が唾液でいっぱいになってしまって

    • 食べるひとり#2冷凍庫に潜む誘惑のパスタ

      実はパスタが大好きなのだけれど、人にあまり言ったことがない。 なぜなら誰かと外食するときに、私の好物だからとパスタ屋さんを選んでくれても、「当たり」のパスタに出会える確率が少ないからだ。 せっかく外食したのに私の好みではなかったとき、嘘でも美味しいとは言えず「珍しい食感だね」とか、「具が大きくて贅沢だね」といった感想を述べることしかできない。だから一緒に食べている人に申し訳なくなるので、パスタのことは日頃から黙っている。 パスタ専門店だから良いとか、本格的だから良いとか、そう

      • 食べるひとり#1深夜に現れる悪い女

        「なんか変な匂いがするんだけど」 キッチンに飲み物を取りに行ったであろう高校生の娘が、ものすごい顔で私の部屋に入ってきた。さらには、部屋の中に全身を突っ込んだ瞬間、 「え?なにこの匂い?やばっ」と言いながら、険しい顔をした。 そりゃそうだろう。この部屋もキッチンも、ものすごい匂いを発生させているのだ。 夕食も終えて、何もかも片付け終わったにも関わらず、4合の米を炊き、シャケの切り身を5切れ焼いた。さらに米が炊き終わった21時過ぎから、鶏肉を2枚と冷蔵庫の中にあった牛蒡やに

        • #3吉祥寺『ワールド・ブレックファスト・オールデイ』で、口の中から世界を旅する(食べるふたり第5回)

          シュニチさん 京都に暮らす人だからこそ知る貴重な味のご紹介ありがとうございました。 朝からラーメンを食べる「朝ラー」なる文化があったとは驚きでした。私が想像するよりも多くの人たちが、すでに朝の時間を楽しんでいるのですね。ますます朝食に対する期待が高まります。 朝食と言っても、和食洋食中華……ジャンルによって味付けや食材など全然違いますよね。海外旅行に行くと、これが朝ごはん?なんていう経験をしたことがありませんか? そこで今回は、東京にいながら世界の朝ごはんが食べられるお

        #4椎名町『南天』で、いつもの肉と四季を感じて食べる蕎麦(食べるふたり第7回)

        • 食べるひとり#2冷凍庫に潜む誘惑のパスタ

        • 食べるひとり#1深夜に現れる悪い女

        • #3吉祥寺『ワールド・ブレックファスト・オールデイ』で、口の中から世界を旅する(食べるふたり第5回)

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        記事

          #2北新宿『伊勢屋食堂』で、疲れた身体に沁みるトマトの味(食べるふたり第3回)

          シュニチさん 一気に冬が来たような寒さに震える東京です。 シュニチさんからのお返事を読み終えた翌日のお昼に『味のタテハラ』のコロッケを想像しながらランニングをしてきました。 食べるときの「ハフハフ」という4文字には、揚げたてコロッケの魅力がギュッと詰まっていますね。 この寒さの中で食べたら美味しいだろうな、そんなことを考えて走っていたところ、偶然にも揚げたてのお惣菜が買える「町のお肉屋さん」を発見したのです。 このお肉屋さんとの出会いは、冬のランニングの楽しみを倍増させて

          #2北新宿『伊勢屋食堂』で、疲れた身体に沁みるトマトの味(食べるふたり第3回)

          #1小伝馬町『田そば』の、忘れられない味は立ち食いで(食べるふたり第1回)

          シュニチさん 毎年秋になると金木犀の甘い匂いに包まれながら家の前の道をランニングしているのですが、今年は走らぬままに金木犀のシーズンを終えてしまいました。 ここからは気温が下がり空気もきゅっと引き締まってくるので、私の怠けた気持ちも引き締めて、次の休みは久しぶりに長距離のランニングをしようかなと考えたりしています。 シュニチさんの住む京都は、まだ金木犀の香りが漂っていますか? 私の家から駅までの道のりはちょっと長くて15分程度あるのですが、朝の通勤時は目を覚ますのにもちょ

          #1小伝馬町『田そば』の、忘れられない味は立ち食いで(食べるふたり第1回)

          #0-はじめに-

          食べることは生きていく上でとても大切なことだ。そして、わたしにとって食べることは日々の暮らしの中でも最大の楽しみだと言える。 食べたいもののためならば、いくらでも早く起きるし、遠くまで行くことも苦にならない。 辛いことや悲しいことがあったときは、美味しいものを1キロ分くらい食べて負の感情をチャラにする。実際にそこまで食べることは難しいのだけれど、好きなものを好きなだけ食べても良いという自分に対するご褒美は、心の平穏を保つために絶対的に必要なのだ。 おいしいものは私を幸せにして

          #0-はじめに-

          湯と共に暮らす人たちに囲まれて、ある温泉街について考える

          「ねぇ、絶対に通り過ぎてるよ!」 助手席に座る娘と目を合わせた。 温泉街に来ているはずなのに、どこを見ても温泉が見当たらない。 ここは熊本県水俣市だ。熊本空港からレンタカーを借り、約1時間半車を走らせて到着した。 熊本県には有名な温泉が幾つもある。1番有名なのは阿蘇の奥地にある「黒川温泉」だろう。反対に、あまり知られていない温泉の1つに水俣市の「湯の鶴温泉」がある。 どちらも空港から車でおよそ1時間半の距離だというのに、有名な温泉とそうではない温泉の違いは一体どんなところに

          湯と共に暮らす人たちに囲まれて、ある温泉街について考える

          見どころは「何もないところ」

          去年の5月、私は「観光しない京都」という旅の楽しみ方を知った。 「観光しない」と決めただけで、これまでわざわざ足を運ぼうと思わなかった土地へ行くきっかけが突然訪れる。 米原の水田に魅せられて、滋賀をもっと知りたい、祖母が住んでいたあの土地を、大人になった私がじっくりと全身で感じてみたい。そんな風に思った。 そして1年後の5月、私は祖母の家の前に立っていた。 汲み取り式のトイレも洋式のトイレになり、ほとんどの畳はフローリングになった。 それでも外観は全く変わらずに古い町屋

          見どころは「何もないところ」

          駅のそば、私のそば

          この駅は一体何なのだ。 電車を降りて改札に向かう階段で、ほわんと良い匂いがしてきた。駅の階段でこんなにも私を誘惑できるなんて、ナンパ師も見習いたくなるような手口だろう。そしてこれは、確実にあの匂いだ。 平日午前10時の新橋駅で、私はとても興奮していた。その匂いは改札に向かうにつれてだんだんと強くなる。急いで改札を出ると、想像通りの店があった。 立ち食い蕎麦屋である。 「うまい、安い、早い」と呼ばれる立ち食い蕎麦屋は、時間のないサラリーマンたちの救世主でもあり、都内では多く

          駅のそば、私のそば

          大人の休日にスタンプラリーとランニング

          スタンプラリーといえば小学校を思い出す。お楽しみ会などのちょっとしたイベントで開催される校内を巡ってクイズに答えながらスタンプを集めるものや、図書室で本を借りるとスタンプがもらえる読書スタンプラリー。どれも地味なのだけれど、参加してみると結果的に楽しかったという記憶の方が大きい。 そんなスタンプラリーに、もうすっかり大人になった私が再び挑戦することになった。 私はランニングが趣味で、週に10キロを2回程度走っている。理由をつけて遠くまで走りに行くことが多いのだけれど今回もそ

          大人の休日にスタンプラリーとランニング

          ファーストシューズのサンタクロース

          突然メールが来た。 ここ何年も知り合いや友人からの連絡は、LINEやメッセンジャーだったりするので、Eメールに「お久しぶりです!」なんてタイトルのメッセージがくると、9割の確率で開封せずに迷惑メール行きだ。 だけど送信元の名前を見て、これは迷惑メールなんかじゃないとすぐに確信した。 今から20年以上前に、私は百貨店の子供靴売り場で働いていた。シューカウンセラーという資格をとり、毎日沢山の子供の足を見ていた。 子供の足はどんどん成長していくので、「少なくても半年に1回は計測

          ファーストシューズのサンタクロース

          1冊の雑誌と一緒に走る

          2時間しか寝ていないからこそ、ハイになってくる午前9時30分。 仕事を終えた私は、自宅と反対方面に行く電車に乗ってぼんやりと大根のことを考えていた。 そろそろだよね、そろそろ。 今年の2月に三浦海岸を訪れたときには、シワシワのくたびれた大根がたったの2列、干されているところしか見ることができなかった。 私はある雑誌を読んで、いつか三浦海岸にずらりと並ぶ大根たちを見に行こうと考えていた。それは『モノノメ』という雑誌の2号だ。 表紙の大根と海が美しく、大根と海と空だけなのに、

          1冊の雑誌と一緒に走る

          食いしん坊と金沢マラソン

          美味しいものを食べるために走る! それは、ここ数年私の密かな楽しみである。 油、肉、こってり、ガッツリが大好きだ。 とはいえ、40歳を越えてそんな食生活ばかりしていては太るだけでなく、健康診断にいくつも引っかかり始めてしまう。 欲望のままに生きていると、色々なリスクが生じてくる。 だから、せめてカロリーだけは消費できるくらいのランニングを、食べる前にするようにしている。走ったご褒美に美味しいものを思う存分食べる。それを私は「ご褒美ラン」と名付け、月に1度か2度、美味しいものの

          食いしん坊と金沢マラソン

          夏至とランニング

          多分絶対、私の膝は限界だ。 コンビニのトイレに寄って一時的に座ったことで、もう膝が悲鳴をあげている。 スマホのアプリを見ると、29キロと表示されていた。 夏至の今日、私はまもなく過去最高の距離を走り切る。 ***** それは2年前の夏至だった。 ランニングという趣味を持つようになって約1年経った私は、「夏至の日にいつもより長く走る」というオンラインイベントに誘われて、それまでの自己最長となる約14キロのランニングをした。 いつもふざけた顔をしているからか、あまり真面目だと

          夏至とランニング

          「観光しない京都」という旅の楽しみ方を知った日のこと

          京都を1人で走る  午前7時、池袋から私を乗せた夜行バスが京都駅に到着した。 天気予報は、あてにならない。 昨日まで雨マークなんて付いていなかったはずなのに、バスを降りたら雨が降っていた。 しょんぼりしながらも、夜行バス用に履いていたむくみ取りソックスやリラックス着からとりあえずランニングウェアに着替えようと、コインロッカーを探した。 京都駅には驚くほど沢山のコインロッカーがある。国内外から大勢の観光客がこの地を訪れていることが、コインロッカーをみただけでもよくわかる。果

          「観光しない京都」という旅の楽しみ方を知った日のこと