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大人の休日にスタンプラリーとランニング

スタンプラリーといえば小学校を思い出す。お楽しみ会などのちょっとしたイベントで開催される校内を巡ってクイズに答えながらスタンプを集めるものや、図書室で本を借りるとスタンプがもらえる読書スタンプラリー。どれも地味なのだけれど、参加してみると結果的に楽しかったという記憶の方が大きい。
そんなスタンプラリーに、もうすっかり大人になった私が再び挑戦することになった。

私はランニングが趣味で、週に10キロを2回程度走っている。理由をつけて遠くまで走りに行くことが多いのだけれど今回もそれで、「品川でスタンプラリーをやっている」という情報をランニング仲間が教えてくれたことがきっかけで品川を走ることにした。本来なら電車で巡るところを走って巡るというランナーらしい仲間の提案に乗っかって、約15キロ程度を走りながらスタンプを集めることにした。

山手線に乗り品川駅を降りた私は、中央改札へと向かった。平日の午前中だけど、大きなスーツケースを転がしている人が多くて、きっとこの人たちは京浜急行線に乗って羽田空港へ行き、どこかへ旅立つのだなと想像する。
品川とはあまり縁のない私は、この駅が乗り換えのための駅だという印象しかない。それこそ羽田空港に向かうため、三浦海岸へ向かうため、京浜急行線に乗り換えるため、あとは駅構内で食事をするために利用した以外の記憶がない。(というか思い出せない。)
品川駅の改札を出て、着ていたダウンをリュックの中にぎゅうぎゅうと詰め込み、ランニングウェアに変身した私はスマホでランニングアプリを立ち上げて、小走りで京急北品川駅へと向かった。北品川駅近くにあるお店で、スタンプラリーの台紙となるエコバッグをまずは手に入れなければならない!

目の前を走る赤い京急がとても可愛いくてテンションが上がる。ちょっと田舎臭さが残るおさげをした女の子のようなイメージで京急線をいつも見ている。

あっという間に北品川駅近くの目的地に到着した。

指定されたお店はSHINAGAWA1930の中にあるいにしえ酒店である。
ルンルンとお店を探す。
しかし、平日の午前10時50分、お店は開いていなかった。というか、ビックリすることに16時30分オープンだったのだ。愕然としたまま立ち尽くし、スタンプを自分の着ているTシャツに押して帰ろうかなどとブツブツ独り言を言いながら、他の販売店を探すことにした。
ネットで検索したところ、どうやら鮫洲駅の京急オリジナルグッズ専門店でも販売しており、もちろんこの時間も営業しているとのこと。今日はこのスタンプラリーのためにたっぷり使うと決めていたので、スタンプを押すためにまたこの駅に戻ってきたって良い!そう思い、北品川駅から3駅離れた鮫洲駅まで走ることにした。

この沿線を走るのは初めてだった。
ひと駅ごとの距離が思いのほか離れていなくて、あっという間に次の駅に着く。だから、3駅離れていたって約20分後には私は鮫洲駅に到着し、無事にエコバッグを手に入れ、改札前にあるスタンプを押すことができた。

鮫洲駅「おとどけいきゅう」

ここからは機嫌を取り戻し、立会川駅、大森海岸駅へとタッタカ走ってスタンプを押していく。
大森海岸駅から先にチェックポイントは無いので、この先どう効率よく残り4ヶ所を巡るかを考える。

そこで登場するのは裏技である。
「京急に乗ってみよう!」

本来電車で巡るスタンプラリーなのだ。躊躇する必要などない。
そして本来、北品川駅でエコバッグを手に入れることができていたならば、北品川→新馬場→天王洲オーシャンスクエア→青物横丁→鮫洲→立会川→大森海岸と、大森海岸駅でゴールのはずだったのだ。エコバッグが売っていなかったのが悪い!そんな風に色んな理由をつけて、再び北品川駅へと電車に揺られて戻って行った。
1時間ほど前に、「今日はこのスタンプラリーのためにたっぷり使うと決めていたので、スタンプを押すためにまたこの駅に戻ってきたって良い!」などと発言していたことはすっかり忘れていた。最近物忘れが激しいのである。

電車で北品川駅に着くとスタンプを押し、その後は新馬場→天王洲オーシャンスクエア→青物横丁の順で走った。
天王洲オーシャンスクエアだけ、なぜか離れているのにチェックポイントになっていて、それがちょっと面倒に思えた。しかし、この地点に到着したときに今回初めて運河を見ることができたので、主催者がここにわざわざ来させた理由が分かった気がした。京急の6駅を巡っただけでは、ただの道路沿いをひたすら進むだけで終わってしまったのだ。そんなコースでは品川が海の近くにあることも忘れてしまう。

計算されたちょっと遠くまでの寄り道は、結果的に大成功のように思えた。簡単にスタンプを集められてしまうのも、ゲームとしての面白さに欠ける。

天王洲オーシャンスクエアでスタンプを押し、私のゴールである青物横丁駅までラストスパート。一気に走った。
そして、7ヶ所全てのスタンプを集めて、スタンプラリーの最後は、スタンプ全部を集めた人だけが参加できる抽選会場へと向かった。青物横丁駅から徒歩5分ほどのところにある加藤五郎商店というお店だ。
お店に着き、店員さんにスタンプラリーのことを話すと、「おめでとうございます!写真撮りましょうか?」などと歓迎された。そして抽選のクジを引き、見事当たりをだした!

景品は足袋風ソックス。かわいい!
1人で大喜びしながらお店の人にお礼を言って店を後にした。スタンプラリー用のエコバッグ300円でこんなにしっかり遊べてお土産までもらえるなんて。ご満悦である。

スタンプラリーを終えるともう13時になっていた。この日は2時間近く走ったことになり、良い運動をしたしお腹も空いた。これはご褒美に美味しいものを食べなければ!
青物横丁の駅付近では焼肉の良い匂いがプンプンとしていた。焼肉も良いな。久しぶりに1人焼肉でもしちゃおうかな。しかし、私はそんな誘惑には負けなかった。なぜなら、品川に来たら絶対に行きたいお店があったからだ。
そのお店は中延駅にある。青物横丁駅から約3キロ。これは走っていくしかない!
すでに10キロ以上走って疲れかけていたけれど、ご褒美のためにとにかく走った。

中延駅に行く途中で見えた線路を新幹線が通過して、これってレアじゃない?などと子供のように興奮した。

いつもと違う土地を走ると、こんな風に見えるものが違うから面白い。品川は想像以上に坂が多かったのと、新しい建物が多いのだけれど、古い可愛いアパートも多く残っていて、そのごちゃついた感じが案外好きだった。
「品川区はあまり知らない」場所だったけれど、今回走ったことで、知り合い程度の距離感にはなれた気がするし、また走りに行きたいなと思えるような美味しそうなお店もたくさんあって、前よりも興味がわいた。
電車も色々な線が通っていて、少し走ると別の線の駅に着くので、住んでいる人は便利なんだろうなと感じた。私は走って移動していたので電車に乗らなかったけれど、この線はどこに繋がるのかなぁとか考えながら走るのも楽しかった。

さて、約30分ちょっと走るとお目当てのお店に辿り着いた。じゃーん!

立ち食い蕎麦屋である。
私は立ち食い蕎麦が大好きだ。店内の雰囲気も好きだし、蕎麦の上に乗る揚げ物(特にコロッケと春菊の天ぷら)が大好きなのだ。
コロッケ蕎麦が好きだという立ち食い蕎麦マニアは世の中に結構存在していて、彼らのSNSの投稿を毎日眺めていると、かなりの頻度でこの中延駅前にある立ち食い蕎麦屋『大和屋』が登場する。
コロッケ蕎麦が好きなら一度は食べておきなよ。そんなコメントを見つけて、いつか食べに行きたいと思っていた。
そしてこの日、念願の大和屋さんでコロッケ蕎麦をいただくことができた。

コロッケは最後まで形を保てるほど固めで、味もしっかりとついていて、存在感がとても強かった。こちらのお店は、元々は揚げ物屋さんだったそうで、ショーケースにはいろんな種類の揚げ物が並んでいて夢のようだった。

思わず春菊天も乗せてもらって、今日走った分のカロリーを全て、こちらのお店で補給させてもらった。疲れているのに立って食べても何も気にならない。注文してすぐに食べられるアツアツの蕎麦とだし汁の香り。そして、ランニングウェアで入っても全く気にならないこの気軽さ。他のお客さんとの距離感も好きだし、立ち食い蕎麦屋には私の好きがたくさん詰まっている。

あっという間に食べ終わり、大満足で家に帰ることにした。中延駅から山手線の駅に出るのは少し面倒だったので、山手線でここから1番近い大崎駅まで再び走ることにした。
途中、ランニング仲間におすすめされていた銭湯があったけれど、開店2時間前から地元の方達が並んでおしゃべりに花を咲かせていた。この土地に住む人たちの飾りっけのない姿にほっこりとして、今度はここの銭湯にも入って帰ろうと心に違った。

今回スタンプラリー×ランニングを体験して、この2つはとても相性が良いことが分かった。
チェックポイントに着くと1度気持ちがリセットされるので、再び走りはじめるときに心も足取りも軽くなる。そして、スタンプを全て集めたときの達成感と走り終えたときの達成感をダブルで感じることで、いつものランニングよりも気分良く、そして休日を満喫した感じがあった。
またこのようなイベントが開催されていたら、走って参加したい。そしていつか、自分たちでもこんなイベントを開催して、他のランナーたちを楽しませたい、そんな風に思った。
大人の1人遊びは、走ることでもっと楽しくなる。そう感じる1日だった。

***裏話***

実は私は、本当は別のスタンプラリーに参加するはずであった。走る仲間に品川スタンプラリーの存在を教えてもらい、彼に私の好きな蕎麦屋も含めたルートを考えてもらい、張り切って当日を迎えた。
品川駅に着くまでの電車の中で、私はスタンプを集めるためにはどこで何を手に入れれば良いのかをスマホで検索し続けていた。それが間違いの始まりであった。
この期間に、品川でのスタンプラリーは複数開催されており、私が検索して向かったスタンプラリーは、全く別のスタンプラリーだったのだ。
この日、スタンプラリーを終えて家に帰ると、景品のキーホルダーを楽しみに待っていた娘にガッカリされた。それもそうだ、キーホルダーは別のスタンプラリーの特典なのだ。
後日仲間がスタンプラリーに参加したという記事を読み、コンプリートしたけれど休日だったのでキーホルダーは貰えなかったのだということを知った。私は彼の分もキーホルダーをもらって帰るべきだったし、丸一日たっぷりと時間を使うなら、両方のスタンプラリーをまわるべきだったのではないかと少し反省している。
おっちょこちょいには要注意だ。

そんな仲間の記事はこちら↓

品川で 鉄道ラリー 6駅を 電車に乗らず 駆け巡るラン “ 東京そぞろ走り #6 ”

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