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2022年3月2日から3月15日の映画と読書の記録

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3月2日


 近所の本屋さんに本を買いに行くが、お目当ての本がないので、「まさかね…」とおもいながら図書館に行くと置いてあった。
 古川日出男の「平家物語 犬王の巻」だ。
 アニメ版の平家物語の方が、平重盛が死んだぐらいから、かなり淡白なまま進んでいくのに、かなり観ているのがしんどかったのだが、こちらは非常に面白かった。
 猿楽能の名手と言われた観阿弥・世阿弥と人気を二分した人物だったそうだが、詳しい情報はほとんどないそうで、作品も一切残っていないそうだ。
 何故、平家物語と犬王を合わせるのか、という疑問があったが、読み進めるに連れて、平家という敗者の物語を語ることの意味が見えてくる。能には死者の幽霊がよく出てくるが、平家物語との相性が非常に良いのかもしれない。
 そして、残される物語を誰が決めて、残されない物語を誰が拾うのか、という問題設定が見えてくる。
 僕はどちら側にいたいだろうか?
 アニメ版は特に冒険も賭けもなかったが、こちらはどちらの要素もあり、映画も楽しみである。
 ううむ、これまでは地元の小さな本屋さんに無ければAmazonだよりだったが、図書館も利用していきたいと思う。


3月3日


 皆さんは、服屋さんに行った時にカタログを持って帰るだろうか?
 僕はフレッドペリーというブランドが好きでよく買っていたのだが、田舎に越してからは、新しい服を買う機会がめっきり減った。グラニフのTシャツやシャツも好きだったのだが、こちらも田舎にはないので、ECサイトを時々除く。
 この2つのブランドのカタログはとっても薄くて、写真勝負のカタログが多い。
 それに対して、2019年頃から始まった「D2C」のブームは、服屋や家具に物語や世界観を付与させていく。
 個人的には、これを最初からやっていたのが、「ほぼ日」ではないかと思っている。ユニクロも2018年頃に雑誌「ポパイ」の編集長がヘッドハンティングされて、カタログの雰囲気が変わった。
 

 前半は、新作の服の着こなしが紹介されているが、中盤からは服が制作される背景やクリエイターの思い、後半からは料理のレシピや都市情報という風に変わっていく。
 生活の中に服を置くだけでなく、「ユニクロ」という世界観を置いていくのかな、と考えさせられる。
 服のことを読もうと思ったら、料理や都市のことを知る。
 こういう偶発的な出会いがあるから、雑誌は面白いと思う。
 この町でユニクロの服を買う層にどれぐらいリーチしているかわからないが、僕はこういう予期しない出会いを続けたいし、自分でも作りたい。

3月4日

 光文社新書から出ている龍岡歩さんの「サッカー店長の戦術入門『ポジショナル』VS『ストーミング』の未来」を買う。
 僕は全くサッカーをプレイしたことはないし、日本代表戦すらもほとんど観ないサッカー音痴だが、著者のバックボーンに惹かれた。
 「あれ?この人、『激レアさんを連れてきた』に出てた人じゃん!」と思ったからだ。龍岡さんは、サッカー未経験だが、TVゲームによるシュミレーションや実際に海外のサッカーを見てきた。そして、サッカーショップの店長になり、ブログが大人気に。そこからプロのサッカーチームにスカウトされ、藤枝MYFC(J3)の戦術分析長を担当し、現在は「おこしやす京都AC」の戦術兼分析官をしているんだから、凄い。
 なんとなく、ヲタクの人ならば、一度は夢みたことがある、「自分が運営だったら…」をしている人だと僕は思う。
 この本は、彼のこれまでの研究を僕のような素人にも分かりやすく解説してくれている。
 最初は「3ー4ー3?何か公営ギャンブル?」とか、「5レーン?握手会のレーン?」みたいな感じだったが、読んでいくうちにだんだんと意味が分かってくる。
 そして、僕はふと思った。
 「戦術」って「文学」に似ているな。
 一つの「戦術」が確立されていくと、その「戦術」に対抗するカウンターが生まれる。
 そして、そのカウンターに対する新しいカウンターが生まれる。
 それぞれの「戦術」にはそれを生み出すパイオニアがいて、そのフォロワーが時間をかけて「戦術」を育てていく。
 まさに近代文学や近代史の世界じゃないか、と僕は感じる。
 たとえば、昭和初期の東京に小説家の太宰治がいて、詩人の中原中也がいて、批評家の小林秀雄がいる。彼ら3人が同時代の同じ街にいたことで、日本の文学はどれだけ豊かになったか。
 しかも、その太宰治をつまらない顔で見ていた青年時代の三島由紀夫も居たはずだ。彼自身は太宰と真逆の見た目だが、根本は凄く似ていると作品の文体から感じる。
 そうそう、この本は智将たちの輝かしい功績だけではなく、ちゃんと失敗も書いている。これも文学に似ていて、近代文学の作家や詩人は後世に残る素晴らしい作品を現代に残しているが、実は失敗作も多い。ちょっとしたおまけのように乗っているが、僕はこのページを読むと凄くホッとした。
 サッカーを知らない人にも一つの思考が様々な智将やプレイヤーたちの手に触れて進化していく過程が面白いので、おすすめである。


3月5日

 映画「JUNK HEAD」を観る。
 堀貴秀さんが独学で7年の歳月をかけて作ったストップモーションアニメだ。

 独特の言語とグロテスクだがどこか可愛いキャラクターたち。
 僕は「地獄の三鬼神」が存在していたシーンで大爆笑した。
 「いや、お前らかい!」と。
 3部作構成らしいので、応援する意味でもパンフレットを通販で買おうかと思う。
 こんなにスタッフロールで同じ名前が並ぶ映画も珍しい。
 今、Amazonプライムでも配信しているので、もし世界観があったら観てみて欲しい。

3月6日


 昨日の日記で書き忘れたが、僕が毎週noteで連載している「忘れられない1年シリーズ」について少し書いてみよう。
 このシリーズの面白いところは、完成図が見えないところである。
 募集しはじめた時に、「このメンバーならこんな感じになるかなあ」というぼんやりとした図面はあるのだが、コメントが集まるに連れて、図面と全然違うパーツが集まってくることが多い。
 これは、推しの方と見ているところが違うからだと思うのだが、予想外のパーツがどんどん集まってきて、それを金曜日の深夜や土曜日の朝に必死で編集して自分なりにメンバーの新しい姿を立ち上げていくのが面白い。
 多分、そのメンバーの推しの方からしたら知ってるよ、ということも多いかもしれないが、僕のような人間には勉強になることも多い。
 この連載もおそらく誰からもコメントが来なかったら終了になると思う。
 どうか、1週間でも長く連載が続きますように。

3月7日

 朝起きたら、「ウルトラマン」のフジ隊員でおなじみの桜井浩子さんにフォローされていた。
 びっくりだ。
 エイサーのタカハシヒョウリさんが最近、「いいね」をよく下さるからだろうか。それとも青山通先生つながりだろうか?
 子供の頃の自分に教えてやりたい。

 せっかくなので、「ウルトラマン」について少しだけ書くと、僕は初期のウルトラシリーズのタイトルセンスが好きだ。
「あなたはだぁれ?」(いきなりウルトラセブン)とか、「故郷は地球」とか、「撃つな!アラシ」とか( 変換したら『鬱なアラシ』が出てきて、苦労してんだろうなあと勝手に納得する )。
 大人になってからは、バリバリのセブン派になっているが、ウルトラマンもじっくりと見直したいシリーズの一つだ。「シン・ウルトラマン」も5月にあるし、見比べるためにも良いかもしれない。
 それから、特撮の俳優さんたちは子供の頃に出会うからか、ずっと自分の中でヒーローになる。
 最近は、ヒーローよりも自分の方が年上になってしまった。本郷猛をやっていた藤岡弘、の年を抜いた時はショックだった。それでも、やっぱり特撮を見ている自分がいる。きっと、ヒーローを未だに自分のロールモデルの一部にしているのかもしれない。全然、自分の方がモロボシ・ダンより年上なのに、未だに作中のダンを観ていると年上の大人を見る目線でみてしまう。
 ううむ、「仮面ライダー響鬼」みたいな大人の男の人が主人公の特撮をまた撮っても面白いかもしれない。
 半年ぶりにラジオ配信をする。
 めちゃくちゃ探り探りで喋っているのが分かる。


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