マガジンのカバー画像

臀物語

181
タイトルをしりとりで繋げる物語、です。 「しりものがたり」と読みます。 第1,第3,第5日曜日に更新予定です。 詳しくはプロフィールに固定してある「臀ペディア」をお読みください。
運営しているクリエイター

#打ち合わせ

ミルクセーキ

 集中する方法というのは人それぞれである。
 深呼吸をする、音楽を聴く、目標を設定して励む、集中力を阻害するものを回りから取り除く、環境を変えるなどなど。
 例えば学生であれば、勉学に励むことが本分なわけだが、自室ではどうしても集中できないからと、自習室や図書館、カフェなどに行って勉強をしたりする。
 残念ながら大人になったからと言って、そんなに人間は変わるわけではない。どうしたって集中できない時

もっとみる

カルボナーラ

「いやあ、これいいですよ。」
高森は机の上にある紙の束を見て、思わず笑顔でそう言った。
「はい、結構なものができそうです。」
雨相としても満更ではなかった。
「何ですかね、今日はバンバンいい感じで進みましたよね。」
「確かにそうですね。」
高森の言う通り、今日の打ち合わせはいつになく上手く進んだ。
「やっぱりたまにはこうして違うところに来てみるのもいいんですかね。」
「うん、確かにそうですね。」

もっとみる

裏切り

我々の使う言葉の中には、良くも悪くも取れるものがしばしばある。よくあるのが、カタカナ表記による印象操作だ。
例えば、レトロという言葉。この言葉を聞いてどう思うだろうか?古き良き、セピア色の思い出が浮かぶかもしれないが、古いということに過ぎない。ネット用語っぽく言うのであれば、懐古厨である。
リーズナブルという言葉だってそうである。本来は、提供されるサービスに対して適正な価格、という意味だそうだが、

もっとみる

小包

「この前、覚えのない小包が家に届いたんですよ。」
今日は打ち合わせということで、出版社の近くにある喫茶店へ。しかしなかなかいいアイデアが出ず、暗礁にのりあげていた。
「聞かせてください。」
雨相はずっとカチカチしていたボールペンを置き、姿勢を正した。
「あ、はい。」
高森もかしこまる。
「この間うちに小包が届いたんですけど、全然覚えがないんですよ。」
雨相は真剣そうな表情で頷く。
「なにかネットで

もっとみる