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伝説のつるぎ 大熊健司
2022年8月28日 00:07
午前中の授業もあと一つに残した休み時間、陽介と英一はいつものように勇樹の席まで足を運んでいた。「あと少しでお昼だね。」「そうだな。」「教室で食べるよね?」「ああ、今日は普通に弁当だからな。」「つくもっちは?」「僕も教室で食べるよ。」「じゃあ後でここに集合だね。」「オッケー。」「はいよ。」ここまでよく繰り返される定型句のような会話である。「そういえば、隣のクラスの岩永くんって分
2022年8月21日 01:56
6時間目の終了を告げる鐘が鳴ると、学校の中が一段と騒がしくなってきた。本来なら授業で使うような教室は、部活での利用さえなければ静かになりそうなものだが、この理科準備室だけは違う。ガラガラ、と引き戸を開け顔を覗かせるはいつもの学生。「ああ、大桃さん。お久しぶりですね。」「寂しかったですか?」「いえ、特に。」樽井はシレッとそう言った。「つまらないなあ……」不服そうな顔をするほのか。「
2022年8月14日 10:39
いくら厚着をしていようとも、凍てつくような寒さが体を刺した。冷たい風が吹く度に体がブルっと震えるのを感じた。そういえば今朝のニュースで、季節外れの寒さに気をつけて、と言っていたことを思い出したが、時すでに遅し。家を出た時はまだそれほどでもなかったし、何より気づかないフリもしていたのだが、さすがに外にいれば嫌でも気づくものだ。この極寒の中、公園で人を待つというのはなかなかに辛いものだ。もう少し
2022年8月7日 00:43
並々入っていたビールを、ごくごくと喉を鳴らしながら一気に飲み干す蕪木の様子を、天野はただただ見ていた。「はあ、美味しい!やっぱり仕事終わりのビールは格別ね。」 ジョッキを机にこつんと置くと、蕪木は満面の笑みを浮かべてそう言った。「そうですね。」「あれ天野先生あんまり飲んでないけど……ごめんなさい、もしかしてお酒苦手だった?」「あいえ、そうじゃないです。いただきます。」 そう言ってジョ