見出し画像

日本の真ん中をぐるっと一周 歴史をたどる・南北アルプスサイクリング

2022年春、長野にある諏訪大社で7年に一度の大きなお祭りが行われました。日本三大奇祭であり、平安時代以前から続いていると言われる「式年造営御柱大祭」、いわゆる御柱祭りです。
ニュースで「負傷者、死者が出るお祭り」とか「大木に跨って山を下る」みたいなのを見かけたことがある方も多いと思います。

実は前回の御柱祭の年にも諏訪周辺を訪れていたので、「ちょうど良いタイミングだし、再訪ついでにあのへん自転車で走ってみよう!」と思い立って新宿から特急あずさに飛び乗りました。思い立ったが吉日!

諏訪~奈良井宿~辰野 南北アルプスサイクリング - Ride with GPS

諏訪湖から反時計回りでスタート。以前から気になっていた中仙道・奈良井宿に立ち寄ったあと、権兵衛トンネルを通って伊那谷へ。Ride with GPSユーザーにはおなじみの「日本のゼロポイント」辰野を経由して再び諏訪湖に戻ってくるルートです。

Ride with GPS上では獲得標高が1800mぐらいになっていますが、権兵衛トンネル部分の標高計測がバグってるせいなので、実際は1200~1300ぐらいです。


1.諏訪大社にお参り&ケーキな朝食を

7時半の特急あずさに乗って約2時間で長野県・上諏訪駅に到着。この上諏訪駅、温泉街だけあってホーム内に足湯があるんですよね。足湯に入りながら特急が来るのを待つなんてこともできちゃいます。

そんな足湯を横目にしつつ駅の外へ。天気は快晴、梅雨のあいまの青空です。標高が800mぐらいあるおかげで気温も約20度と過ごしやすく、サイクリング日和としか言いようがない最高の天気。
勢いよく出発!

勢いよく出発して5分後に停車、諏訪大社(秋宮)に到着。

諏訪大社の正確な創建年は不明で、おおよそ1500~2000年前と言われています。諏訪大明神にまつわる「国譲り」神話とかおもしろいですよね、大昔はこのあたりに有力な豪族がいたんだろうなーとか。
実際、諏訪湖の周辺は大量の遺跡が出ているそうで、古代には日本有数の人口密集地・大都市だったのかもしれません。

御柱。以前、サイクリング中に御柱を切り出す森を通りがかったことがありますが、この大木をわざわざ山から引っ張ってくるんだからか凄いですね。

そんな御柱から削り出された「御柱御守」をゲット。これが欲しかった。
目的も果たしたので、近くのEric's Kitchenさんに寄って朝食をいただきます。

土日は朝8時からモーニング営業をやってるそうでありがたい限り。古い商店を改装したお店のようです。

あまりお腹が空いてなかったのでココアバナナケーキをチョイス。朝からケーキ。いいじゃないか。


2.中山道・夏のサイクリングと奈良井宿の街歩き

エネルギーとカフェインを充填したのでようやく本格的に走り出します。そうだ、俺はサイクリングをしに来たんだった。
諏訪大社の目の前から伸びる中山道を走って塩尻峠へ。

今回のコースで明確に「登ってる」と感じたのはここだけだった気がします。塩尻峠を越えたらそのまま旧中山道に入って南へ。

絵に描いたような夏の田舎道。気持ち良すぎる。しかもこのあたりは「アルプス展望しののめの道」と呼ばれていて、北アルプスを見ながら走ることができるんですよ!

見えない。北アルプス方面だけ雲がかかってる……。

気を取り直して。塩尻を過ぎると道の両側に山が連なってきます。ただ、谷底を縫うように走る旧中山道と違い、国道19号は斜度もおだやかで走りやすい感じ。名古屋と長野を結ぶ基幹道路だけあって大型トラックがかなり多いのには注意したいところ。

遠くの森からカナカナの鳴き声が聞こえてきて、「夏」の濃度が急激に高まってきます。6月なのにカナカナって鳴くんですね。

夏を満喫しつつ、今回の目的地である奈良井宿に到着。

これが見たかった。
奈良井宿は中山道の宿場町として栄えたところで、最盛期には「奈良井千軒」と謳われるほどの賑わいだったそうです。驚くことに、このタイムスリップしたような街並みが今もずーっと残っているんです。

これは無限に街歩きができるやつ。

いたるところで五平餅とおやきを売っていたので、縁側席のあった「てずから」さんで五平餅をいただきました。お餅とお焦げご飯の中間ぐらいの食感が、甘じょっぱいくるみダレとあわさってめちゃくちゃ美味しかったです。

五平餅を胃に入れたら急に食欲が湧いてきてしまったので、お昼ごはんへGo。

ざる蕎麦、シンプルイズベスト。さすが信州、蕎麦どころだけあってハズレがありません。あっという間に平らげてしまいました。

今回はサイクリングの途中で立ち寄りましたが、街歩きだけしに来てもかなり楽しそう。写真撮りながら五平餅食べ歩きとかやりたいですね。


3.長いトンネルを抜けて、南アルプスの展望路を走る

奈良井宿を後にしたら、中山道から離れて山の中へ。奈良井川に沿ってゆるやかに登っていきます。

奈良井ダム。

途中で国道361号に合流したら、いよいよ今回の最大?の難所が見えてきました。長さ約4.5kmの権兵衛トンネルです。

一般道のトンネルとしてはトップ10に入るぐらいの長さを誇るうえにトラックの往来が多い(しかも夜間は飛ばしている車が多い)という自転車にとっては最悪のトンネルですが、唯一幸いなことに木曽側から伊那に抜ける時はほぼ下り基調になっています。
フロントライトとテールライトをしっかり光らせながら突入。

10分ほどで抜けました。青空がまぶしい。
少し下ったら、盆地の西の端を走る県道203号線へと左折。

正面に南アルプスが見えた!と同時に、「JAPAN ALPS CYCLING」という真新しい看板を発見。なんでも長野県を一周するサイクリングルートなんだそうです。へー。最近はこういうの増えましたね。

写真撮ってたらバイクの人たちにめっちゃ見られて(あまつさえピースサインとかされて)しまった。恥ずかしい。

さすがにサイクリングルートに選定されるだけはある&バイクツーリングで走りたくなるだけはありますね。伊那盆地の縁の一段高いところにあって、とにかく見通しが最高。ひたすら展望台みたいな道です。

景色は良いし、車は少ないし、アップダウンも緩いしで言うことなし。

そろそろ喉が渇いたなーと思っていたところに、「右折すぐ」と看板が出ていたカフェを見つけたので立ち寄ってみました。

森のカフェかのんさん、小さな庭のある民家併設?のお店でした。あと30分ほどで閉店の時間(16時閉店!)だったにも関わらず、快く注文を受けていただけました。ありがたい。

パンケーキアイスのせ。考えてみれば今日2回目のケーキですが、ほら、サイクリング中はカロリー消費激しいし。仕方ないね。
ふんわり熱いパンケーキと冷たいアイスが疲れた体に沁みます。

カロリーを摂取したら、ながーい坂道を下って伊那谷の反対側へ。県道19号から諏訪湖に向かって北上します。

途中で通った辰野ほたる童謡公園は、6月中~下旬ごろになると1万匹を越えるホタルが乱舞するというホタルの名所なんだそうです。普通ホタルが出ると言っても1000匹とかそこらなので、文字通りケタ違いですね……。いつか泊まりでホタルも見てみたい。


4.諏訪湖でゴールした後は、"テルマエ"で汗を流そう

山を抜けて諏訪湖の湖岸に入ったら、ひたすらフラットロード。これはもうウイニングランと言っても過言ではありません。

何度でも言ってしまうんですが、初夏の陽射しと快晴の青空と20度前後の気温があいまって気持ちいいったらありません。サイクリングをマグロの部位に例えるなら、この状態は間違いなく大トロです。

そんなこんなで上諏訪到着。約100kmお疲れ様でした。


そして冒頭にもあった通り上諏訪は温泉街なので、走り終わったあとにそのまま温泉で汗を流せちゃうんですよ。諏訪湖の中でもひと際有名な立ち寄り温泉施設、片倉館に直行してみました。

片倉館はヨーロッパの公衆浴場、厚生施設を参考に昭和初期に建てられたそうで、大理石でつくられたプールのような巨大風呂・千人風呂で有名です。浴室の中は当然撮影できないので写真はありませんが、建物と同じく昭和ロマンとヨーロッパの雰囲気があふれるつくりでした。

サイクリングのシメの温泉、世の中にこれ以上の贅沢はないという気分になれます。

古代から始まって、江戸、昭和と歴史を味わいながら、南北のアルプスの絶景を堪能できる快走路。きつい登りも多くないので、ロードバイクに慣れた人ならぜひおすすめしたいコースです。
途中の権兵衛トンネルだけは注意が必要なので、どうしても怖いなら諏訪でスタートしてから奈良井宿や伊那で折り返すのもアリだと思います。


記事を気に入っていただけたら、ぜひ ♡ スキ・シェアをお願いします