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蹴りをつける大一番!オールブラックス v アイルランド ③プレビュー

ステインラガーシリーズ テストマッチの第3戦@ウエリントン
(※トップの写真は2012年Eden Parkの試合で筆者撮影)
1戦目-オークランドのEden Parkでオールブラックス(ABs)が42-19で勝利
2戦目-ダニーデンで行われ、レッドカードを含む4枚のカードが出るなど荒れた試合となったが、前週からアイルランドがっしっかり修正してニュージーランド(NZ)の地でABsに初めて勝利(23-12)する歴史的な試合となった。

1勝1敗のタイとなり最終戦の第3戦でシリーズの勝者を決める事になり、がぜん盛り上がってきた今年のステインラガーシリーズ。

筆者の住んでいるNZ国内では、先週の敗戦後は、いつものようにラグビーファンが荒れ気味となり、恒例のコーチ批判などがラジオでも頻繁に聞こえてきている。試合前日の今日は、朝から明日のテストマッチの話題で持ちきりになっており、改めてこの国のラグビーの注目度の高さがうかがえる。

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ステインラガーシリーズの勝者を決める大一番の試合のメンバーそして試合の展望、勝敗予想などのプレビュー投稿(写真はステインラガーのカップ)

オールブラックスのメンバー

2戦目からは4人の変更となっている。
1戦目は良かったセットピース(スクラム、ラインアウト)は2戦目ではアイルランドにやられた感があり修正が必須であることから、O.トゥンガファシかと代わってN.ラウララが3番入りスクラムの強化に出た。

⑤S.ホワイトロックが脳震盪から回復で先発メンバーに復帰、そして⑥S.バレットを1戦目以来の6番で起用。1戦目のラインアウトで有利になった事から、もう一度試す形となり再びラインアウトでの有利を狙う。

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(写真;2021年フィジー戦、ハミルトンにて筆者撮影)

BKを見ていくと1戦目はコロナウイルスに感染して欠場となったD.ハヴィリが12番で先発となった。

今期の新人のL.ファインガアヌクをメンバーから外し⑭からシフトチェンジとなったS.リースが11番に入る。1戦目はコロナ感染で欠場、2戦目は、リザーブスタートとなったW.ジョーダンが14番で先発に戻ってきてウイングはクルセイダーズのコンビとなった。

リザーブは、16番に大ベテランのD.コールズの経験を買って大一番の試合に入れてきたのは興味深い。ここで存在感を見せたら来年のラグビーワールドカップまで連れていくことになりそう。

もう一人の注目のリザーブ入りした選手は、ラグビーリーグの大スターのRTS(ロジャー.トゥイヴァサ=シェック)を大一番で抜擢は最大の注目でNZ国内でも騒がれている。

筆者の思う納得いかない今回の選考

ABsの試合メンバー発表前に筆者がTwitterで解説を付けたメンバー予想をしているが、今回もだいたい予想通りとなった。

しかし、疑問に思う事がある。

それは、2番の選考
上記のTwitterに書いた予想では②タウケイアホで控えはコールズにした。
ヘッドコーチが選んだのは、テイラーが先発でタウケイアホはベンチにも入れていない。
コールズのベンチ入りは、経験を買って良いと思うのだが、昨年のタウケイアホの爆発力は、強豪にも十分通用してインパクトを与えていたのは誰もが認めることだと思っている。
Twitterでも触れたが、テイラーはABsレベルでは伸び悩んでおり、タウケイアホをさらにレベルアップさせる為には、今回の大一番の試合を先発で経験させることが来年のワールドカップに活きて来ると強く思っている。

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タウケイアホ(写真左、2021年フィジー戦、ハミルトンにて筆者撮影)は昨年ABsに入ったばかりでまだ多少経験は浅いが、昨年十分やれることを証明した。彼ならこの大一番でも緊張せず普段のプレイができると思っている。
しかし、ヘッドコーチの保守的な考えが昨年の年末遠征でも感じたが全然変わっていないのが気になる。

唯一の冒険は、23番にRTSを入れたことだが、彼の方が経験が浅すぎてこの大一番に入れるほうがリスクに感じるが・・・
それに今季のスーパーラグビー決勝では、クルセイダーズ相手に何もできなかったRTSを見たばかりだし、強い相手にまだ対応できる能力がリーグから転校してきたばかりで準備がまだまだだと思っている。

コーチは、アイルランドの良いディフェンスがあるので、バックスで個人技で前に出れる能力のある選手を入れたく、ランにキレがありラグビーリーグでも大活躍していたRTSの能力を期待して賭けにでたのだろうか。

ニュースを見てるとRTSの自信に満ち溢れた表情が印象的で頼もしいが、ユニオンでのブランクが10年と長い事と、繰り返しになるがスーパーラグビーでも強い相手だと何もできない印象が強く残っている。
しかし、大一番でどんなプレイを見せてくれるか楽しみだ。

試合の展望と勝敗予想!

当たり前の事だが、2試合見てきてセットピース(スクラム、ラインアウト)がいかに重要か改めて分かった。そのセットピースの出来がそのまま勝敗に現れたことがいい例だ。
もちろん、ブレイクダウンの攻防も試合の有利度を決めるが、基本のセットピースが安定すると試合をしっかり組み立てれるので、まずはセットピースの出来を見極めたいところ。

ABsのメンバー紹介のところでも触れたようにホワイトロックが戻ってきてS.バレットも含む3人のラインアウトの核ができることにより、1戦目ほどの良さは難しいかもしれないが、スクラムも含めて2戦目よりセットピースは確実に改善できると思われる。

ABsのセットピースが改善されれば、次はブレイクダウンの攻防がカギになる。アイルランドにポッゼション(ボール支配率)を多くとられると、効率のいい攻撃ができるチームなのでABsはブレイクダウンでプレッシャーをかけて、早いボール出しをさせないようにしたいところ。

上記に触れたようにABsは、アイルランドにポッゼションを多く与えないようにしなければいけない。そのためにもキッキングゲームが大事になってくるので、⑩B.バレットをはじめキックの精度をあげなければ勝利をつかむことは難しいかもしれない。
今回⑫D.ハヴィリを入れた事により⑩B.バレットの負担が減り、B.バレットが動きやすくなり攻撃の幅が広がることが期待される。

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写真;ハヴィリ(左)ジョーダン(右)この二人の復帰は大きいか(2021年Eden Parkで筆者撮影)

ハヴィリは、最初にABsに選ばれたときは(確か2017年?)15番で選ばれていて、キッキングゲームにも長けており、12番で使うことにより10番からのキックだけでなく、ハヴィリからのキックのオプションを増えてプレイの選択度が増えるのも大きいとみている。ハヴィリは、周りが良く見える選手でキックも上手くディフェンスも悪くない。BKのポジションは9番以外は全てそつなくこなせる選手で、個人的に貴重な選手だと思っている。

ハヴィリの事で長くなったが、コロナに感染していなかったら1戦目から12番で出場していたと思われるので、今回のメンバーがベストメンバーか。

3戦目はキッキングゲームがカギを握るか!

上記に書いた、セットピース、ブレイクダウンは、互角になると予想しているので、キッキングゲームがカギを握ると思っている。

2戦目で弱点を披露したABsのキッキングゲームが心配で、昨年からの課題の点でいまだにそれが改善しきれていないのが気になる。
2戦目のレビューでも触れたことだが、アイルランドのキックに対して半分以上しっかりキープできていない印象で、これでは、簡単に地域も取られてしまうし、ボールも確保できるかは50%の可能性(それ以下の印象の2戦目)では、試合を有利に進めることは出来ない。
アイルランドは、3戦目もキックを多用してくると思われるのでABsはキック処理をしっかりさせたいところ。そこが上手くいけば勝てると思っている。

★アイルランドの唯一の弱点はここだ!★

アイルランドの弱点は、探すのが難しいが、2戦目で12番の選手が衝突時に脳震盪を起こしたので欠場となり12番にはB.アキが入る事が若干弱点か?
アキは、まっすぐ前に出るプレイは攻守に素晴らしい強さを持っているが、体を大きくし過ぎたのがあり、横の動きには俊敏さがない印象をこのシリーズをみて感じた。

ABsは、そのアキの弱点でもある横の動きについていけないところをついていけばラインブレイクが出来るチャンスが出てくるとみている。BKの攻撃でブラインドサイドからスピードのあるリース、ジョーダンの両ウイングを⑫アキの周辺に走りこませてアイルランドのディフェンスを混乱させる作戦をすれば、次第に他の選手も活きてきてABsの攻撃が効いてくると思っている。

FWが劣勢になれば、上記に書いたことも効果が薄れるが、展望で書いてきた事を参考にしていただければ試合が面白く見れるかもしれません。

見どころ沢山のマッチアップがある中で唯一挙げる注目マッチアップは上記に挙げたD.ハヴィリ v B.アキの12番対決

上記に書いた展開にある程度なるとみてABsが5点差で勝利と予想!

相手の6番に結構酷いことを言われたサム・ケーンが今回はやってくれるでしょう。堅実なアイルランドに勝つのは、簡単ではないと思うけど、3戦目は凄い試合になると思っているので勝敗に関係なく非常に楽しみだ。

決着を決める試合なので今回こそHakaは「Kapa o Pango」かな。
とにかく楽しみな試合で今からワクワクする。
試合会場のウエリントンは午前中は雨だが午後から回復する予報。

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