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来年、妊娠・出産するはずの私

「やすこちゃんは、どうして、ゆびわ、してないの?」

6歳になった姪は、母親ゆずりの大きな目でこちらを見て、私に問うた。
彼女の目線には、叔母である私の、左手の薬指。
6歳の少女は、叔母の手に、自分の母親が毎日付けている指輪がないことに気が付いたのだ。
そして、彼女は問うた。
それは純粋なる疑問、無垢な知的欲求の芽生えだった。

そうか。姪も大人になったね。
赤ちゃんの頃、天パが激しくて関口メンディーみたいな髪型をしていたあなたも―。
手づかみで納豆を食べたあと、両手で私の頬を包んだあなたが―。

私の名を呼び、天パは治癒し、妹が生まれ、お箸も上手になり。
ほかの指にはたくさん付けているのに、左手の薬指には、指輪が付いていない。
そのことに、ちゃんと気が付いたんだね。

一瞬、時が、止まった。(パァ――――――ン)
※『プロフェッショナル 仕事の流儀』で鳴る音


「やすこちゃんは、結婚していないからだよ。」

止まっているわけにもいかない。
愛する姪の疑問を解消してやらねば。
生まれた時から、これ以上の「かわいい」という感情が分からないくらいに溺愛してきた姪。
私が、左手の薬指に指輪をしていない理由を、シンプルにわかりやすく伝えた。
隣にいた姉は、吹き出した。(ひどい)

子供の疑問は時として残酷とも言うが、実際はどうなのだろう。
職場の先輩(独身・女性)も、先日愛する甥くんにこう問われたそうだ。

「ぼくは、パパとママと弟と4人でおうちに暮らしてる。どうして〇〇ちゃんは、ひとりで暮らしているの?」
(ドウ―――――――――――――――ン)
※彼女がそう表現した
そして、やはり同様に、「〇〇ちゃんは、結婚していないからだよ」と伝えたそう。

ここで共通したのが、姪も、甥くんも、私たちの答えを聞いて
「そっかー!」と納得して笑顔で話題を終了したこと。
姪も、甥くんも、答えを聞いて驚かないし、
「いい人いないの?」とか「マッチングアプリやらないの?」なんて野暮なことは言わない。
残酷なのは、案外、吹き出した姉や、時が止まった私のような大人の方なのかもしれない。

『結婚しなくても幸せになれるこの時代に、私は、あなたと結婚したいのです』
ゼクシィですらこう言ってる時代にあっても、まだまだ私たちは、左手の薬指を特別視している。
姪も甥くんも、どうか、そのまま大きくなってね。

そうは言っても自分が一番気になっている

「私は結婚できないんじゃなくて、しないんです」
「結婚しなくても、幸せですから!フン!」(キレた)
なんて、私はそんな風に思ってはいない。

「結婚したいと思う人がいて、その人が同じように思ってくれたら、もちろん結婚したいし、していない今も楽しくて幸せだけど、したら、もっと別の形の幸福感もあるんじゃないか」そんな風に思っているのが正直なところ。

だから、これから先、自分がどう進んでいくのか、とても気になる。
気になって、数年前、出来心で手相占いに行った。(単純オブ単純)
そこで、しわしわの手のひらを見せたら、言われたのだ。

「やすこさんは3〇歳で妊娠・出産します」

それが、来年に迫っている。
来年、妊娠・出産するのだ。そうらしんだよね。(誰に言ってる)
今のところ、気配も、予定も、何もない、予定は未定。

されど、人生は何が起こるか分からない。
結婚については一言も言及されなかったけど、来年、妊娠・出産するかもしれない。
だって、人生は何が起こるか分からないから。

鼻毛ワックス買いに行ったら、ナンパされることだってあるんだから。












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