愛されすぎて春、か行が言えない姪
「てちがちたんじゃない」
4か月ぶりに会った6歳と3歳の姪は、一丁前にテレビゲームをしていた。
プレステで時が止まっているやすこも、姪たちに言われるがままコントローラーを握る。
「すいっち」と姪たちが呼ぶそれは、小さなコントローラーでいろんなことができる模様。
もう、やすこなんかよりゲームの技術も知識もある。
すっかり赤ちゃんじゃなくなったなあ、としみじみした。
しみじみしているわたしに、3歳姪が一言。
姪:「てちがちたんじゃない」
や:「てち?」
姪:「てちだよ」
や:「てち…?」
姪:「てちじゃない、てち!(怒)」
新しいゲーム用語は知らない、もうアラサーなんだよと思っていたら、「てき」だった。
「てきがきたんじゃない」
か行の拙い3歳姪からのアドバイス。
「敵が来たんじゃない」
画面のマリオには、お化けのテレサがゆっくりと迫っていた。
よかった、まだ少しだけ赤ちゃん要素が残っている。
愛されすぎて、春
6歳姪も3歳姪も、赤ちゃんだった頃は、ただただわたしに抱かれ、眠り、あーあーうーうー言うだけだった。
それが最近では、わたしを「やすこちゃん」と呼び、遊びに行く日は玄関の外までお出迎えしてくれる。
コロナ禍になってから数か月に一度しか会えていないのに、何故こんなにわたしを愛してくれるのだろう。
食事の際は、「やすこちゃんのとなりがいい!」と姉妹で喧嘩。
気の優しい姉・6歳姪は、芯の強い妹・3歳姪の気迫に負けて泣いた。
仕方なく、椅子を移動させて、きょうだけ特別なフォーメーションに。
お風呂だって「やすこちゃんと入る!!」
なんでもできる姉・6歳姪は、ひとりでシャンプーするところを見てほしい。
甘え上手な妹・3歳姪は全部やすこちゃんに洗ってほしい。
お風呂あがりには「パパ(義理兄)がやすこちゃんのおしりを見たら大変」と2人して懸命に脱衣所の鍵を閉めてくれた。
夜は夜とて「やすこちゃんと寝る!!!」
どちらがやすこちゃんの隣で寝るか、また喧嘩が勃発しかけたので、2人のマットレスの継ぎ目にポジショニング。
右に6歳姪、左に3歳姪。
遊び疲れてもう眠い6歳姪は早々に寝息を立て、か行が苦手な3歳姪は暗闇の中ひとり何かをしゃべっている。
少しずつ静かになってきたと思ったら、わたしの左腕を両手で抱きしめて眠りだした。なんだこのかわいい生き物。
3歳姪の寝顔に見入っていたら、6歳姪が同様に右腕に絡んできた。
やすこ、両手に姪。
愛されすぎてる。
こいつらが間宮祥太郎と竹内涼真だったらいいのにって一瞬思った叔母・やすこ。最低でごめん。
赤ちゃんじゃなくなるの寂しいからずっと3歳でいてほしい
これはわたしが3歳のときの母のセリフ。
早く5歳になりたかった当時のわたしは「ママなに言ってるの」と思ったが、母の願いも虚しく3〇歳になったいま、この気持ちが痛いほどわかる。
姪たちは、この春から新たな生活へ。
6歳姪は小学校に。
3歳姪は幼稚園に。
子がいないやすこにとって、2人のことは、これ以上の「かわいい」という感情がわからないくらいに、かわいくて大切な存在。
これからいろんなお友達に出会い、嬉しいこと、辛いこと、いろんなことを経験して、どんどん大人になっていくのだなあと思う。
出来る限り、優しさと愛に包まれていてほしい。
「こうえんのさくらみた?きれいなんだよ」
いつの間にか、大人の世間話みたいなことを言ってくるようになった6歳姪を見て、しみじみそう願った。
「ちれいなんだよ」と3歳姪も笑った。
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