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【小説】むらさきのスカートの女 (今村 夏子)

近所に住む「むらさきのスカートの女」と呼ばれる女性のことが、気になって仕方のない〈わたし〉は、彼女と「ともだち」になるために、自分と同じ職場で働きだすように誘導し…というお話し。

胸糞ってわけじゃないけど、なんだこの嫌な読後感は…というのがなんか芥川賞っぽい。
「何も起こらないのに面白い」と帯に書かれているけどそんなことはなくて、日々歪な変化は起こってるんだよな。

むらさきのスカートの女は、不気味なのは最初だけで、よくよく聞いてみると学生時代は運動部で子供を可愛がったり、恋もおしゃれもできる人間味ある人物と分かってくる。
なんとなくそれを歓迎してないような気がするのは観察者である語り手。
人となりは一切不明で、どこにいても存在を軽んじられている。
なんならむらさきのスカートの女に偶像崇拝的な或いは彼女に執着するストーカーまがいの一方的すぎる行動の方が変だし怖い。
変人の観察者を気取っているが本当のむらさきのスカートの女ポジションはコイツでは、というのがじわじわ分かってくるのは面白かった。
だけどなんだか不穏な感じは拭いきれない。

歪な思いを持つ「わたし」はむらさきスカートのおんなの夢を見るか?

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