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栄養学・栄養疫学・疫学の一端

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#公衆衛生学

論文執筆について思うこと ④・・ガイドさんに従ってみては?③・・バイアスの評価基準から考える

論文執筆について思うこと ④・・ガイドさんに従ってみては?③・・バイアスの評価基準から考える

論文の執筆の際には「ガイドラインに従ってみては?」という主旨で、研究デザインに応じていろいろと発表のガイドラインがありますよということを概要として、そして栄養疫学に特化した内容として以前、紹介しました。

論文執筆について思うこと ②・・ガイドさんに従ってみては?①

論文執筆について思うこと ③・・ガイドさんに従ってみては?②・・栄養疫学研究向け

さて、論文を執筆する際のガイドがあると同時に、

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論文執筆について思うこと ③・・ガイドさんに従ってみては?②・・栄養疫学研究向け

論文執筆について思うこと ③・・ガイドさんに従ってみては?②・・栄養疫学研究向け

以前、「ガイドさんに従ってみては?①」という主旨のNoteで種々の論文執筆に関するガイドラインを紹介しました。今回はそのひとつであるSTROBEを拡張した、栄養疫学研究の著者に向けられたSTROBE-Nutというものをここに紹介したいと思います。

STROBE-NutSTROBEとはStrengthening the Reporting of Observational Studies in E

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科学や健康に関する情報を伝える際の推奨される10項目

科学や健康に関する情報を伝える際の推奨される10項目

ここ何年もの間、公衆衛生関連の情報を含め、科学研究の内容がメディアで公開されることが増えてきたように思います。英国ではそうした報道の内容に関してScience Media Centreという機関から指針が発表されています。原著はこちらのPDFです。

簡単ではあるものの、それを翻訳したものをここに記載します(許可は別途、得てあります)。実は過去に公衆衛生関係、疫学関係の複数のメーリングリストに流し

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論文執筆について思うこと ②・・ガイドさんに従ってみては?①

論文執筆について思うこと ②・・ガイドさんに従ってみては?①

先日、「関連性・因果推論の表現は正確に」というNoteを残しました。よく考える問題点・懸念材料について書き記しておこうという意図です。お役に立つようであれば嬉しいです。

さて、このNoteに記しているのも同様の意図です。ヒトを対象にする医学研究に限る内容かもしれませんが、「こういうのもある」と理解してもらって、うまく使えるようならぜひどうぞ・・と思っている内容です。

私が関わる学生やポスドク、

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論文執筆について思うこと ① ... 関連性・因果推論の表現は正確に

論文執筆について思うこと ① ... 関連性・因果推論の表現は正確に

写真はマンチェスター大学の図書館。公開後、てにをは、ですます調、ちょっと説明を足したり微調整しています。タイトル変更。内容には変更なし。

このNoteは、回り道しつつ「論文を書くとき、気をつけるといいのではないか」と高い頻度で思ってきたことを書いています。特に科学論文を書いたりする方に読んで頂いて、生かしてもらえると嬉しいです。多くは私のこれまでの論文を査読した経験に基づいています(査読について

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選択バイアス・・栄養疫学において考えられる例

選択バイアス・・栄養疫学において考えられる例

先日、選択バイアスに関するNoteを残しました。たまたま先日、読む機会のあった次の論文にそのバイアスが疑われるので追記+備忘録という意で記しておきます。

Buijsse et al., Plasma 25-hydroxyvitamin D and its genetic determinantsin relation to incident type 2 diabetes: a prospect

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選択バイアスと疫学を伴う論文執筆の際のちょっとした注意点・・メモ

選択バイアスと疫学を伴う論文執筆の際のちょっとした注意点・・メモ

私たちは研究から得られた情報、市場調査、該当アンケートなどの情報をよく耳にします。あるいはそういった情報に基づいた二次的な情報によく触れます(e.g. アンケートに基づいた意見など)。そういった情報には予期しない偏り(バイアス)が潜んでいる恐れが常にあります。いろんなバイアスの原因があるのですが、「誰を対象にした調査なのか」に由来する「選択バイアス」(Selection Bias)についてここに記

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栄養疫学課程のカリキュラム

栄養疫学課程のカリキュラム

このNoteは私の経験に基づいた私見です(註1)。栄養疫学の専門家として要するためには、次の三つの領域について、大学院レベルの学を系統的に修め、その修練/習熟度を客観的に試験される機会をもち、パスすることが必要条件でしょう(註2)。
① 栄養学
② 疫学
③ 統計学

私が博士号を取得した米国のTufts大学では、博士課程の中間に設けられた口頭試問において、これらの三つの領域について問われました。

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