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科学や健康に関する情報を伝える際の推奨される10項目
ここ何年もの間、公衆衛生関連の情報を含め、科学研究の内容がメディアで公開されることが増えてきたように思います。英国ではそうした報道の内容に関してScience Media Centreという機関から指針が発表されています。原著はこちらのPDFです。
簡単ではあるものの、それを翻訳したものをここに記載します(許可は別途、得てあります)。実は過去に公衆衛生関係、疫学関係の複数のメーリングリストに流したものです。大学関係でプレスリリースなど用意する人をイメージして用意したものでした。しかし、読者として健康に関するニュースを読む際などに注意する事柄としても有用と感じており、今でも(いつでも)同内容は再確認する価値はあるなと感じています。参考にして頂けたらと思っています。以下、翻訳内容です。
################ 訳はじまり
広報の際に推奨されるべき事柄をここに記しました。これらは研究者や科学系の学術誌編集者との学術交流を通じ培ってきたものです。チェックリストとしての利用や(速報などにて)全項目のカバーを期待というものというよりも、科学や健康に関し情報を発信する際に念頭に入れてほしいものと考えています。また専門的な知識や科学におけるよくある落とし穴への理解は大前提であって、科学に精通した広報のスペシャリストに協力を仰ぐべきなのですが、そういったリソースの無い広報部の方にとっては有用と捉えています。
1.
情報のソースを記載しましょう。インタビュー、学会の発表、学術雑誌の論文、ある調査の発表など、できれば読み手が情報のソースを確認できるようにするのがよいでしょう。
2.
研究の規模や特徴を記載しましょう。研究の対象となったものは何なのか、対象に対し何が試験された、あるいは観察されたのか、その期間はどれほどかなど。できれば問題点がわかるようにするとよいでしょう。
3.
2つの事象の関係性を描写する際は、その情報源が因果関係を示しているのか明確にしましょう。
4.
研究がどの段階なのか記載しましょう。実験室における細胞学的な研究なのか、ヒトを対象にした臨床研究なのか、技術や治療などが実際に応用されるまでの経緯がつかめる内容がよいです。
5.
健康に対するリスクに関する情報では、できればリスクの絶対値を示すのが望ましいです。「ケーキががんのリスクを2倍にする」という内容であれば、ケーキの有無に応じたそのがんのリスクを記載するのがよいでしょう。
6.
一般人の健康に関する情報については、相反する内容や過去のエビデンスの有無を鑑み全体像を押さえた記載が望ましいです。総じて懸念や混乱を生むようであれば、既存のエビデンスは無視するべきではありません。
7.
できれば研究の著者と専門家との意見との両方を引用しましょう。ある特定の研究のみが際立つような記載には気をつけましょう。
8.
研究の内容と解釈された内容との分別をはっきりしましょう。健康に関するアドバイスは、研究での明示がない限りは止めましょう。
9.
患者のことを忘れずに。治るわけでもないのに「治る」とする表現は止めましょう。
10.
読者に誤解を生むようなヘッドラインは止めましょう。ある内容だけを誇張するような引用は避けましょう。
################ 訳おしまい
以上です。
実はScience Media Centreについては以前の別のインタビューの機会で紹介いたしました(↓↓)。そのときから、また紹介する機会があればいいなと思っていた次第です。他にもリソースがあるのでここでの公開も模索したいと思っています。
第9回 「食」にまつわる健康情報との付き合い方は?: 論文の査読者としても評価の高い今村文昭さんは、「間違った論文がそのまま掲載される」とも。栄養疫学の最終回は、医学情報全般に関する話題にも及びました。 https://t.co/DTZhDvLQek #ナショジオ
— ナショナルジオグラフィック日本版 (@NatGeoMagJP) November 15, 2018
トップ画像はWallpaperSafari.comより
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