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全身をぼろぼろにしてしまう糖尿病の怖さ

昨年11月末に、俳優の渡辺徹さんが敗血症のため亡くなられました。
61歳だったということで、大変驚き、ショックを受けました。

敗血症は、世界では約2700万人が罹患し、うち約800万人が死亡していると言われており、とても頻度の高い疾患です。
主な原因は感染症です。体の一部に細菌やウイルスが はびこり、そこから血液中に絶え間なく菌による毒が流れ込みます。
その毒が全身に回って、体の抵抗力が負けて、肺や腎臓などの大事な臓器がおかされる病気です。
発症しやすい人は、糖尿病、悪性腫瘍、肝硬変、腎不全、ステロイドや免疫抑制剤内服等のある方です。

渡辺徹さんは、30歳の時に急性糖尿病を発症されてから、ずっと闘病をされていたようです。

では、糖尿病はなぜおきるのでしょうか?


私たちが生きるためにエネルギーが必要で、そのエネルギーを食べ物から得ています。
食べることで摂取したご飯やパンなどの炭水化物が唾液などで消化され、ブドウ糖(グルコース)として小腸から吸収されます。
小腸に吸収されたグルコースは、小腸の細胞から血管に流れこむことで血糖値はあがります。

血糖値の上昇を感知した膵臓は、血糖値を下げるはたらきを持つホルモンである「インスリン」を分泌し、筋肉や 肝臓、脂肪にグルコースを取り込むように働きかけます。
これらの細胞でグルコースは中性脂肪などに変換されて蓄積されるので、血糖値は高くなりすぎることなく、常に 一定の濃度に保たれているのです。
しかし、このインスリンが分泌されなかったり、細胞レベルでうまく働かないと「糖尿病」となるのです。
ちなみに血液中を流れるグルコースの量を「血糖値」といいます。

1型糖尿病は、免疫にかかわる細胞が膵臓の細胞を“敵”と誤認し、破壊してしまうことで発症します。
膵臓が壊されると、グルコースに働きかけるインスリンが分泌されなくなってしまい、高血糖になってしまうのです。

一方、2型糖尿病は、インスリンの分泌が少なくなったり、働きが悪くなるために起こります。
遺伝的要因に暴飲暴食や運動不足などの生活習慣が重なって肥満となります。

肥満化して、脂肪をたっぷり溜め込んだ脂肪組織は、インスリンによる「糖を取り込みなさい」という指令を細胞内に伝達されにくくする働きを持つホルモンを分泌します。
そうなると、肝臓や筋肉は、高血糖な状態でも、グルコースを細胞内に取り込まなくなってしまいます。

インスリンは分泌されているのに、糖のとりこみがあまり行われず、血糖値が下がらなくなります。
すると、さらにインスリンが分泌され、血管内にはグルコースやインスリンが大量に含まれる状態になります。
これが2型糖尿病の初期状態で、最終的には膵臓の細胞が機能低下し、インスリンが分泌されなくなってしまうのです。

糖尿病になって、高血糖状態がつづくと、血管の劣化が進みます。
血管の劣化は、さまざまなところで機能低下をおこします。

渡辺徹さんの病歴をみても、2012年に虚血性心疾患、
2013年に急性膵炎。2016年に腎機能低下で人工透析となり、2021に大動脈弁狭窄(きょうさく)症になられたそうで、糖尿病が引き起こす症状が次々に出て、大変な半生を送られてきたことがわかります。
心より、ご冥福をお祈りいたします。

糖尿病が原因となる、さまざま症状

脳梗塞
脳に酸素や栄養を届ける動脈が詰まることで、その先の脳の領域が壊死する疾患。
高血糖の状態が長く続くと血管がもろくなり、つまりやすくなり、脳梗塞の発症率が上がる。

虚血性心疾患(心筋梗塞・狭心症)
心臓を動かす心筋に酸素や栄養を送る「冠動脈血管」が詰まったり細くなることで、心筋が酸欠状態で壊死してしまう疾患。
アメリカでは、糖尿病患者の7割が、脳梗塞または心筋梗塞で亡くなる報告がある。

感染症
糖尿病になり、高血糖になると、生体防御に関わる「白血球」の機能が低下。
その結果、肺炎、膀胱炎、歯肉炎、そして風邪などの感染症にかかりやすくなる。

糖尿病性腎炎
高血糖の障害により腎臓の血管障害がおきると、血液をろ過する機能がおちるため不要物を尿として排出できなくなる。
日本において透析をはじめる第一原因が、糖尿病性腎炎である。

昏睡
糖尿病の発症によってインスリンの効き目が悪くなると、血液中にはグルコースが大量に存在しているのに、それを細胞内に取り込むことができなくなり、細胞が飢餓状態になる。
その結果、意識障害がおき、最悪の場合、昏睡に陥り、死に至る。

糖尿病網膜症
高血糖の状態が長時間つづくと血管がもろくなり、網膜に酸素を送る血管が詰まる。
酸欠状態になった網膜は、新たな血管をつくろうとするが、新しい血管は非常にもろく出血しやすい。
それによって目の機能に障害がおきたり、失明したりする。失明原因の上位を占める。

動脈硬化
糖は、酸化などの化学反応によって血管の内側の壁を傷つける性質がある。
高血糖の状態が続くと、血管の劣化が進み、硬くなる。
その結果、脳梗塞や心筋梗塞、抹消動脈疾患などを引き起こす。

糖尿病性神経障害
高血糖の状態がつづくと、神経細胞に酸素を供給する毛細血管の血流が悪くなる。
その結果、感覚神経や運動神経の情報伝達に障害があらわれる。
さらに神経細胞そのものも機能障害をうけ、手足の先の痛みやしびれを感じるようになる。

抹消動脈疾患(足の壊死)
足の動脈が狭くなったり詰まったりすることで血液の流れが悪くなり、足に痛みやしびれ、冷たさなどを感じる疾患。
その結果、足指の傷に気づかなかったり、血管の詰まりによって傷が治りにくくなり、足の壊死に至る。
糖尿病が原因となる、さまざま症状
参考文献:別冊Newton 人間の取扱説明書参考

ビタミンを含めた栄養素と糖尿病の関係

実は、日本人などのアジア人種は、欧米人に比べて体質的にインスリン分泌の能力が低く、糖尿病になりやすい体質なのです。
だから、決して他人事ではありません。

つまり、少し脂肪が蓄積した状態の人でも、外見上明らかに太っている欧米人と同じくらい糖尿病になりやすいということです。
見た目は痩せていても、内臓脂肪型肥満の人も要注意です。

糖尿病の治療、そして予防の基本は、「食事」と「運動」です。
運動がもたらす生理学的効果の多くは、なぜ生じるかは正確には分かっていませんが、2型糖尿病の発症リスクは大幅に減らすことができることが分かっています。
また、食事面では、血糖値の上昇を抑えるために野菜を一番先に食べるようにしてください。

アメリカのタフツ大学とタフツ医科大学の研究者は、ビタミンDに2型糖尿病の予防効果があることを発見しており、フィンランドの研究では、幼児期にビタミンDのサプリメントを摂取していた子供は、のちに1型糖尿病と診断される確率が90%も低かったと報告があります。
そんなビタミンDは、ニュートラBK9とVITAに、たっぷり配合されています。

ビタミンを含めた栄養素と糖尿病の関係の研究は、ますます進んでいくことでしょう。
今後もそのような研究結果を、皆様にたくさんお伝えしてまいります。

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