The Beatles 全曲解説 Vol.47 〜Tell Me Why
筆者思い入れ度ナンバー1! “Tell Me Why”
『A Hard Day’s Night』6曲目。
ジョンの作品で、リードボーカルもジョンが務めます。
バラード調の楽曲や黄昏たロックなどが3曲続きましたが、ここで再びメジャーキーのアップテンポなナンバーの登場です。
ジョンが参考にしたのはアメリカのガールズグループの雰囲気。
これまでグループとしてカバーしてきたものは、 “Chains” や “Boys”、 “Devil In Her Heart” などがありました。
ジョンがボーカルをとったカバーでは “Please Mister Postman” が有名ですね。
ジョンの全キャリア中、屈指のパワーに溢れたボーカルが聴けるカバーですが、それに匹敵するボーカルとコーラスがオリジナル曲で聴けるのが、この “Tell Me Why” です!
この曲でのポールとジョージによるコーラスは、いわゆる「追っかけコーラス」ではなく、ジョンのボーカルに沿ったものとなっています。
こういった場合、普段はジョンが低音域を担当するのですが、ここでは珍しく、ジョンが主旋律高い音域を歌い切っています。
コーラスはジョンのボーカルを増幅する役割を見事に果たしていますが、あくまで主役はジョンという雰囲気がバシバシ伝わってきます。
サビの「♪And why you lied to me〜」の部分や、3番の「♪Is there anything I can do?」と、いつになくファルセットを多用するボーカルスタイルをとっていることからも、このアルバムでのジョンがいかにエネルギーに満ちているかが分かります。
演奏も、従来のガールズグループのカバーよりも、かなりカラフルに聴こえます。
ジョージ・マーティンがピアノでサポートに入っていますが、ベースに沿った演奏をしていることで、曲の土台からゴージャスな印象を受け、聴き手を楽しませてくれます。
間違いなく、アルバムA面のひとつのハイライトと見て間違いない楽曲です。
補足情報①: ステレオとモノラル
“Tell Me Why”モノラルバージョンは、ジョンのボーカルがシングルトラックとなっています。
また、全体的に音がクリアになっている印象を受けるのですが、ステレオバージョンに特段エコーがかけられているとの情報もないので、この背景については分かりません。
当時の技術的問題でしょうか…。
補足情報②: 筆者初めてのビートルズ体験
あまり記事で個人的な体験には触れないようにしているのですが、この曲はビートルズ全曲の中で、筆者が一番最初に触れた曲なんです。
まだ小学1年生の頃、父親に連れて行ってもらったデパートで、CDのワゴンセールに通りかかった際、見つけたのがビートルズのパチモンのベスト盤(100円ショップとかにあるやつ)でした。
「ビートルズ」という名前が、誰に教わるでもなく、何故か頭にインプットされていた筆者はそのCDをねだって買ってもらいました。
帰りの車のカーステレオでCDをかけ、1曲目に流れてきたのが、この “Tell Me Why” でした。
あの時、何かが耳元で爆発したかのような感覚は一生忘れられません。
それから約20年強、筆者の傍には常にビートルズがいました。
そういう意味で、個人的にもずっと大切にしていきたい一曲です。
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