佃のタワシ

隅田川のほとりに暮らし、いにしえ人の足跡を探して、ひたすら歩き回る日々の記録を綴ります。

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最近の記事

生まれて初めて一人で街を歩いたのは…

天皇の「またいとこ」に当たる三笠宮家の彬子女王が書いたオックスフォード大留学記「赤と青のガウン」が人気を呼んでいる。博士号取得は女性皇族として初、海外の大学で博士号を取ったのは皇族で初めてなのだそうだ。読んで、何より印象深いのは、瑞々しい感性、ユーモアあふれる筆致だ。皇族が自分の言葉で、自らの気持ちや暮らしを率直に語る、その記録に心を動かされた。 彬子女王は、昭和天皇の弟で、古代オリエント史の歴史学者としても知られた三笠宮崇仁(たかひと)親王の孫。というよりは、崇仁親王の息

    • 「必殺仕業人」の仕事場

      霊感が強い人だったら、間違いなく、何かを強く感じるに違いない場所に行ってみた。東京メトロ・日比谷線の小伝馬町駅のすぐ近くにある「伝馬町牢屋敷跡」。江戸約260年を通して、死刑囚を収容し、刑の執行も行っていた場所だ。幕末の「安政の大獄」で処刑された吉田松陰のほか、高野長英や平賀源内、鼠小僧次郎吉、八百屋お七もここに収監されていた。藤田まこと演じる「中村主水」が「必殺仕業人」で勤務していたのも、この牢屋敷だった。 新緑の木々の下で、談笑するカップル、子どもたちが走り回る「十思公

      • カラオケないけど、カンオケある!?

        犬も歩けば棒に当たる。GWの休日、東京の下町、森下界隈をぶらぶら散歩をしていて、面白い店に出くわした。「終活スナック めめんともり」。ママやチーママもいて、人生の幕引きをどうするか、お客さん同士で和気あいあいと話すのだそうだ。調べてみると、2月にオープンしたばかり。メディアにも登場し、話題になっているようなのだ。 別に目的地があったので、突撃取材を敢行することはしなかったが、後で調べてみると、とてもユニークな、考えさせるコンセプトの店だ。 「終活」とは、少子高齢化の中で、

        • 名付け親は「暴れん坊将軍」

          旬の時期は過ぎたが、天気がよいので自転車でのポタリングついでに、「小松菜」発祥の地に参った。東京都江戸川区の小松川地区。小松菜の名は、テレビの時代劇シリーズ「暴れん坊将軍」で知られる八代将軍、徳川吉宗が名付け親だった。 住宅地の中に、突然、鳥居と「小松菜の産土神」の立て看板が目に飛び込んできた。新小岩厄除香取神社。千葉県香取市の香取神社を総本社に、関東の江戸川、利根川流域には多数の香取神社があるが、その一つ。 時は400年あまり前、享保4年(1719年間)。「享保の改革」

        生まれて初めて一人で街を歩いたのは…

          「全国殿様ハンドブック」!!

           共同通信社が毎年出している「世界年鑑」は、最新の国際情勢や各国の政治体制、経済指標、人口などのデータ、歴史、閣僚名簿まで載っている大変有用なハンドブック。日本のメディアで働く海外特派員の多くは、これがないと仕事にならないというニュースの手引だ。  それと比べるわけではないのだが、参勤交代などで江戸城に参内する大名たちの行列を見物する町人たちにとって、必須アイテムがあることを最近知った。言ってみれば「全国殿様ハンドブック」。ちょっと調べてみたが、これがなかなか面白い。 きっ

          「全国殿様ハンドブック」!!

          赤レンガと平和

          今月初め、満開の桜で賑わう東京・北区の飛鳥山公園を訪れたついでに、王子、十条一帯に残る古い軍事施設の跡を歩いてみた。広大な土地に、武器弾薬や軍服などをつくっていレンガ造りの工場が多数あった。今は家族連れでにぎわう公園や住宅地になっているその場所が、旧日本軍の装備を支えていたのだと思い知る。 まずは北区十条台の中央公園文化センター。白亜の堅牢な洋風建築が印象的。中には立ち入らなかったが、学習室や和室、視聴覚室などがたくさんあり、さまざまなサークルやグループの活動の場、生涯学習

          赤レンガと平和

          「お犬さま」の地を歩く

          五代将軍綱吉が出した「生類憐れみの令」は、江戸時代の「天下の悪法」と習った覚えがある。「人間よりも犬を大事にするとは、なんという殿様!」としか思わなかったが、最近は歴史の見直しが進んでいるらしく、悪法とばかり言えないと教科書にも書かれている。 犬だけでなく、あらゆる殺生が禁じられ、飼っていたアヒルを襲った犬を殺したら切腹、釣りをしたために流罪、ということもあったらしい。家康が好んだ鷹狩りもすっかり廃れてしまった。綱吉は、世継ぎになるはずだった子供が幼くして亡くなった後、高僧

          「お犬さま」の地を歩く

          花街、ジュリアナ、タワマン

          この記事に「バブルの象徴」と書かれているジュリアナ東京、実は行ったことがない。バブル景気がすでに下り坂に向かっていた1991年に開店。そこのころは入社間もない駆け出し記者で、地方で事件や事故の取材に走り回っており、東京でのバブルの喧噪とは無縁だったからだ。開店から3年後の1994年、自分が東京勤務になる前に閉店してしてしまっていた。 足を運んだことがあれば気づいたのかもしれないが、昨日、まさにこの跡地の前を通った。週末の街歩きで自転車に乗って、東京・芝浦にある「港区立伝統文

          花街、ジュリアナ、タワマン