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第1回講座「地域コミュニティをつくる」レポート (後編)2/2

福島明美さんのおはなし

後半は長野県辰野町でボランティアコーディネーター、松本大学の地域づくり考房「ゆめ」の専任講師、茅野市市民活動センターを立ち上げセンター長や参与として関わり、地域づくりコーディネーターとして長年活動し、現在AICラボを主宰されている福島明美さんのお話し。

まちづくりプロジェクトは800以上

  配食・入浴・移送サービスなどの地域福祉を起点に、健康・環境・国際・文化・歴史などいろんな活動に関わるようになり、住民、学生、市民団体、法人、行政、企業、あらゆる人たちと地域を元気にする800以上のプロジェクトを進めてきたと伺い驚く。福島さんは地域づくりを「幸せづくり」と考え、幸せの好循環を起こしてきた。

 どこの地域も様々な課題を抱えていて問題が山積している。孤立無縁化は、コロナによりさらに加速。私たちは絶望を抱え暮らさなければならないのだろうか。
 絶望を希望に変えていくには、一人ひとりの生き方が尊重され、「困ったら助けて」と言える日頃のつながりと、多様性を認めあえるコミュニティが必要で、そして持続可能な地域社会をめざして、市民一人ひとりの主体的なまちづくりへの関わりが大切だとにこやかに話さてれた。

できる時にできる人ができる事を

 とはいえ、そんなに市民がまちづくりに関わることができるものだろうか。関わり続けられるコツとして、できるときに無理ない形で、できる人ができることをしていく。そして、コーディネーターは、その一人ひとりの出番と役割を作っていく。

 人は役割ができると、持てる力を発揮し、いきがいを持ち、自主的に動くようになって自分も元気になるし、まちも元気になる。地域の課題を活動のエネルギーに変えていくことで、3間=サンマ「時間」「空間」「仲間」を増やし、やる気をひきだし、地域のつながりをつくる。

場づくりと人づくり

 「場」は人が動き出すきっかけを与え、活動することでつながりが生まれ、関係性ができ、共に活動し、多様な人たちが話しあい、認め合うことができる。単に場を用意しただけでは機能しない。
 「場づくり」と並行し、「人づくり」も福島さんは行ってきた。地域づくり講座などの人材育成を行い理解者、活動実践者を増やしていく。そしてその実践者たちのつながりをつくるために、地域づくりコーディネーターの育成を行い、多様な人たちが話し合いを活性化するためのファシリテーター育成も行った。

 「場」に地域の課題が入ってきて、様々な人が関わり、支援の仕組みができてネットワークができる。つながりは自然にできないので意図的に作っていく必要があり、コーディネーション力を持つ人材、地域づくりコーディネーターが地域づくり活動の中核にいて、各々のよりよい関係を築き、それが住みよい地域社会をつくる仕組みとなる。

明るく・楽しく・前向きに

 不登校や障がい者など親が自分達の困り事から、こんなサービス(支援)があったらいいなというつぶやきから、当事者主体で活動がはじまり、多様な人たちがつながり、地域に活動が広がっている。
 お互いを認め合うための仕組みづくりは、みんなで話し合い、決めていき、役割を持つ。みんなが元気に暮らし続けるための実践で福島さんが大切にしているのは、「明るく・楽しく・前向きに」という気持ち。できる時にできることをできる仲間と共にまちづくりを進めることで、自分の住んでいる地域が、幸せで安全に安心して心地よく暮らすことのできる地域社会の実現につながるとにこやかにお話をしてくださった。

福島さんは、かもがわ出版より「未来を拓く地域づくり~楽しく実践する12のヒント」を出されてるのでさらに詳しく知りたい方は、是非手に取っていただきたい。

 沼津市民シンクタンクではコミュニティ・オーガナイジングの学びを進めており、お二人のお話に住民組織化の要素がふんだんに盛り込まれていた。
 まちづくりは、都市計画、箱モノや道路などのハード面だけでなく、ソフト面、人のつながりやコミュニティが重要となる。その時に多様な人のつながりがあるのか。
 加藤さんと福島さんは、ともにケア視点でまちづくり、地域づくりを行っており、暮らしに困難を抱えている人たち、弱者が置き去りにされることがないよう、誰もが話すことができる開かれた場をつくり、そして、弱さを補完できるよう、私たちのもつ力を理解し、連帯していく(つながりあう)しくみの旗振りをしている。
 わたしたちも、お二人のようにいつもあかるく楽しく前向きに、仲間を増やし、学びあい、活動していく。
「まちづくりってなんだっけ」。すっかり報告が遅くなったが、まずはnoteで学びの共有から。

レポート担当 小和田尚子