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夢分析

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#夢判断

夢と鏡

夢と鏡

会議の合間にその部屋…講義室だか会議室だかわからないその部屋を抜け出し、わたしは化粧室の鏡を見ていた。
その会議では、わたしが先送りしまた先送りし、を繰り返してきた当該の課題について慎重に議論がなされていた。そこからこっそり抜け出して、わたしは化粧室の大鏡に映し出された自分の顔を見ていたのだ。すると黒い帽子の下からくるくるっと丸まった長い癖毛がはみ出しているのに気づいた。
夢の中のわたしはなんとな

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夢・異界・神隠し

夢・異界・神隠し

この『神隠しと日本人』は三十年ほど前に刊行されたものだが、中で夢について言及されているので、どうも捨て置けないという気がしてならない。だから少し深くまで分け入ってみるとしよう。

著者の小松氏がここでいう「柳田国男に徳田秋声が語ったという、秋声の隣家の青年の異界体験」とは柳田国男の『山の人生』にある次のような話である。

また小松氏が「愛知県北設楽郡本郷町の青年の体験した異界」と言っているのは次の

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夢で靴を燃やす

夢で靴を燃やす

ゴミ出し当番の小学生、といった心持ちで、わたしは手に古い靴を持って、靴の処分場に向かう。そこは、広大な団地の一角にある。金網フェンスがあり、休憩中に喫煙所に集まってきた周辺の勤め人といった風情の、お互い見も知らない大人の男女がそれぞれの靴を持ってくる。そして、タバコでも吸うように靴を燃やしてぼんやりと屯している。わたしは、少し恥ずかしかったが皆の前に出て捨てられた靴の脇に置いてある備え付けのものら

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夢を弔う

夢を弔う

私は見知らぬ駅を目指して碁盤の目のような街の路地を歩いていた。この辺りを曲がればいいかな、と思い角を曲がる。すると視点は移動し、駅の反対側の町の光景を斜め上から見下ろしている。田舎の小さな駅の周辺、不動産屋の受付のような、という印象の紺色の事務服を着た中年の女性が軽自動車を運転して粗末な駐車場、というより空き地に滑り込んで行く。捨てられた廃コンクリートで周囲を固められたような、砂利を敷かれただけと

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夢の時間層

ここは居酒屋かレストランのはずだが、案内され通されたのはまるで廃墟のような、というよりゴミ屋敷と言っていいようなとんでもない部屋だった。臭ってくるような目の前の生ごみを次々と片付けていくと、驚いたことにその下には小学生ほどの少年が横たわっていて、突然起き上がったではないか。いったいいつからこの生ごみの下に埋もれて寝ていたのか。ゴミのたまり具合からするともう何年も前からゴミの層の下で眠っていたのだと

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雑草と夢

夢のなかの駅前広場が賑わっている。その隣は交番。その賑わいはそのまま自分が職場でいつも通りの仕事をしている場面に接続する。そのあと郊外の、どこにでもありそうな細いアスファルト道の場面に転換する。夏の盛りで、萱草や葛の葉が盛り上がり道を覆わんばかりである。

自宅の近くには、自分にとってとても大切な〈雑草ポイント〉がいくつかある。週末ともなれば、その〈雑草ポイント〉に向かって車を走らせたり、散歩した

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聖杯探求としての夢

著名人のA子さんの部屋が私が外へ出るための通り道になっている。ごめんね、いきなり入ってと言ってぼくは部屋を通り抜けようとする。するとA子さんが、ある絵本がなくなったと言って困っている。その絵本なら昨日学習机の棚の隅で見かけたよ、と私は答える。緑色の表紙の絵本だ。A子さんはその学習机をひとりで出口側に移動させようとしている。部屋を抜けて私は自転車に乗ってどこかへ出かけていく。スポーツウェア姿の男がジ

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夢の構造

高校の頃の友人たちの狂騒…仲間の誰と誰が付き合ってるとか、付き合いそうだとか、そんな大騒ぎをしているのをどこか遠くで見ながら、私は、あぁ、いいな、あんな普通の学校生活を送りたかったな、と思っている。その友人たちのなかには娘もいる。アーケード街で私は娘たちの一団と擦れ違う。学校をさぼってこんなところで何をしているのやら。一団の中の制服姿の娘は、恥ずかしがって後ろを向いて、私に顔がばれないようにしてい

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夢の衝撃力

娘がこれは自分でやる、あれも大丈夫、と言うので、私は、昔のように、親たちがいちいち干渉したり、口出ししたりしなくとももう大丈夫なのだな、と思う。そうだ、全部任せよう、あとは娘が思う通りにすればよい、肩の荷が少し降りた…そんな風にほっとしている。

まぁ、ただの夢だろうけど、と思う。たまたま、これまでにないほど今は娘の調子が上向きで、毎日図書館に行ったり、散歩に行ったり、料理をしたり、食器洗いをした

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夢の背後

まったく気にも止めていなかった前日の出来事が夢になって現れたことに驚いた。なぜ私的な関わりのほとんどないような人物が夢というプライベート空間で主要なプレーヤーになっているのか。またその夢の舞台は、これまたプライベートな場所だった。なぜその人物が、自分のプライベートな空間に押し入ってくるのか、さっぱりわからなかった。

A氏が我が自宅の玄関扉の向こう側で何か作業をしている。玄関扉の中央は透明ガラスに

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迷夢の展開

かつて帰り道がわからなくなるという夢を何度も見た。無数にあるバス停留所のうち、どれに並べばいいのか分からずウロウロと歩き回ったり、見知らぬ路線に乗ったのはいいが、車内の路線図に知っている駅名が一つもなくて困惑したり、遠い遠い見知らぬ地でどこへ向かっているのかもわからぬ電車に乗っていたり…今回の夢はそんな迷夢の続編となっている。

見知らぬ路線に乗っている。降りるべきターミナル駅を過ぎてしまったよう

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夢の隠喩としての夢

週末の会社で遅くまで残業している。本当に瑣末なことをして時間が過ぎる。そのうち社員の一人の机の引き出しが飛び出しているのに気づく。彼の机のなかや周辺を物色してやろうかという考えが頭をもたげる。いや、しかし、いつ誰が部屋に入ってくるかわからないのだから、それはダメだ、とも思う。たとえ周りに誰もいなくても、誰かがいるのと同じように振る舞え、とぼくは思う。壁に耳あり…ともいうではないか…そう思っていると

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連続夢の展開

その夢のなかの街では、絶えず何処かで工事をしていて、重機の音が絶えない。街じゅうに槌音が響き、何かを期待させるような感覚が昼の乾いた光や夜気に満ちている。アスファルトは剥がされ欠片となって無造作に積み上げられ、工事中の敷地を囲う白い塀パネルやシートが至る所に目に付く。工事に携わる人たちの姿を見たことはない。繰り返し現れるその街が舞台の夢を、私は連続夢と名付け、注意深く観察してきた。ずっと昔から、何

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夢の哲学

夢の中で私は数字の一覧が書かれたノートを見ている。その数字はとある雑貨店の商品の小売価格と店のマージン率を表したものだった。あまりにも売値が安くまた儲けが少ないことに驚き、この店も大変だな、と私は思っている。

次の場面では、元気な中年女性が、路上の車の脇で、錨のマークを手で、というかジェスチャーで宙に描いてみせた。私は錨のことかな、近くの港のことを言っているのかな、と思う。

さらに場面は転換し

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