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インターネット古書店にできること

第9章 ぼくはこうして本屋になった(10)

 二〇一七年七月、長野県上田市を拠点に、インターネットで古本のリユース事業を行う「バリューブックス」が創業一〇周年を迎えた。一〇周年記念サイトのキャッチフレーズは「本屋が変われば、世界が変わる。」。ぼくは二〇一五年末より、同社の社外取締役として参画している。

 バリューブックスは、常時約二〇〇万冊の在庫を持ち、四〇〇人以上の従業員が、毎日約一万点の古本を買取・販売する、業界大手の一社だ。その一方で、古本をお金に換えて寄付する「チャリボン」や、販売できなかった本を寄付する「ブックギフトプロジェクト」など、リユース事業を核にしながら、社会に還元する取り組みを行っている。また、二〇一五年一月には上田市にリアル店舗「NABO」をオープンし、同じ地域に暮らす人たちに豊かな本との出会いを提供すべく活動している。

 きっかけは、社長の中村大樹が「これからの本屋講座」に受講生として参加してくれたことだった。自分たちの商品である本を生み出す出版業界に対して何らかの還元をしたり、既存の枠組みを超えて人々に本を届けるための新しい可能性を探ったりするにあたり、力を貸してほしいということで、声をかけてもらった。彼が語ってくれたビジョンに心から共感し、喜んで仲間に加わることにした。

 以降、バリューブックスはいくつかの新しい取り組みをスタートした。その一つである「バリューブックス・エコシステム」は、古本の利益の一部を出版社に還元するプログラムだ。市場で値崩れしにくい、長く読み継がれている本をつくっている出版社と、バリューブックスにおけるリユース率を基準にパートナーシップを組み、よりよい本の循環を起こしていくことを目指している。また、「ブックバス」はその名の通り、古本を載せて走るバスだ。移動図書館車として使われていた車を改修し、本屋のない自治体やブックイベントなどを中心に、全国各地に本を届けている。

 ぼくはこれまで、ずっと小さなチームで動いてきた。けれどバリューブックスに加わってからは、同じ志を持つ仲間が一気に増え、よりダイナミックな動きの中で、会社として取り組むことに挑戦できるようになった。まだまだ道半ばのことも、手をつけられていないこともたくさんある。これからの動きに期待していただきたい。

※『これからの本屋読本』P309-310より転載


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ブック・コーディネーター、クリエイティブ・ディレクター。新刊書店「本屋B&B」(東京・下北沢)と出版社「NUMABOOKS」を経営しつつ、「八戸ブックセンター」「神保町ブックセンター」「BIBLIOPHILIC」などの仕事をしています。散歩社取締役、バリューブックス社外取締役も。
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